痛くない注射、振動させて脳をごまかすテクニック

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痛くない注射、振動させて脳をごまかすテクニック

注射は嫌。

人類はもう長いこと注射を恐れ、泣き叫んできました。注射は痛い、怖い、嫌だ、やめてやめてーという気持ちだけを研究の糧とし、研究開発を行い少しでも痛くないようにと精進してきました。注射の代わりに小さな針がついた薬を飲むというのも出てきており、それはそれで恐ろしい話でもあります。今回の人類の痛くない注射への挑戦は、振動を利用することで神経が感じる痛みをごまかそうというもの。痛くなくなるのなら、ごまかされたい、騙されたい!

American Society of Anesthesiologistsで発表された研究が、この震える針に関するもの。テストでは、21人のヴォランティア被験者の肩を様々な環境下で突いて調査を行いました(テストでは本物の注射の代わりにプラスティックのものを使用。ゆえに肌に刺さることはありません)。肩をプラスティック針で突く時に、熱を加える、冷却する、圧力をかける、そして振動させるというパターンが試されました。その結果、突く前に20秒程度、振動や圧をかけた場合、最も痛みを軽減するのに効果的であることがわかりました。熱いのも冷たいのも、温度差はあまり役にたたなかったようです。

なぜ、振動で痛みが軽減されるのでしょう。何やら難しい話にはなりますが、疼痛抑制に関する理論ゲートコントロールセオリーが関係しているといいます。

これは、ものすごーく簡単に言うと、体のあちこちにあるセンサーが痛み情報を受け取りそれを脳に伝えるということなのですが、「痛い」と私たちが感じるのは脳に情報が伝わるからなのです。例えば、指を切った時に痛いのは指そのものですが、「痛いよー」という指令を出しているのは脳ミソなわけです。ということは、脳に指からその情報を伝えなければ、痛いという指令がでないということになります。今回の研究は、このセオリーを利用して、振動という針以外の物理的刺激によって、脳へ伝わる情報をごまかそうというものです。

…なるほど。難しいことは君たちにまかせた。とにかく注射が痛くなくなれば万々歳だ!

image by Visun Khankasem / Shutterstock

source: ASA via Popular Science

Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(そうこ)