ディズニーだけの特権。
ここ10年ほど、アメリカのディズニーランドとウォルト・ディズニー・ワールドの空中写真は珍しいそうです。なぜかって? つまらないからではなく、単に撮影することが不可能だから。2つのテーマパーク上空は飛行禁止区域に指定されているんです。しかもその理由はテロの脅威だけではないそうですよ…。
遡ること2003年、アメリカ連邦議会を説得するのに成功した米ディズニーは2つのテーマパーク上空を飛行禁止区域であると宣言しました。連邦議会がイラクとの戦争に先駆けて莫大な支出案を急いでいたところに、同社が何年も前から実現させたかった、自身のテーマパークを飛行禁止区域に設定する契約条項をこっそりと含めたのです。その当時は理にかなったアイディアかと思われました。アナハイムのディズニーランドとオーランドのウォルト・ディズニー・ワールドに設定された飛行禁止区域は今や周囲3マイル(約4.8km)になったのでした。
この裏話はその当時、地元紙オーランド・センチネルが行った取材で明らかになっています。「公開討論や新設された国土安全保障省からの要請があったわけでもなく、人脈が豊富な『とあるロビイスト』の主張により、ディズニーの飛行禁止区域獲得を助けるべく連邦議会は自身の決定を曲げるに至ったのです」ディズニー側ロビイストの影響力の大きさには驚かずにいられません。
しかしディズニーは何故テーマパーク上を飛行禁止区域にしたいのでしょうか? これはセキュリティーというよりも目障りな空中広告に原因があったとわかりました。
ウォルト・ディズニー・ワールドを1971年の開園当時、上空から撮影した貴重な1枚2つのテーマパーク上空を飛行禁止区域にしようとする米ディズニーの企ては記録されています。ただ単にテロの脅威(そもそもそんなものがあったらの話ですが…)だけが理由ではないと認めているのが同紙で公表されていました。同じような集客があるにも関わらず、シックス・フラッグス等のテーマパークは飛行禁止区域に指定されなかったわけですしね。しかしディズニーの関係者は同紙にこう語っていました。
ディズニーのスポークスウーマンであるLeslie Goodmanさん曰く「この規制を求めた唯一にして絶対の理由はゲストの安全と楽しみのため」であり、この「楽しみ」とは「法廷弁護士のバナー広告」や、パイロットが「パーク上空を低空飛行する」のを排除するまでを含めた意味だと説明しています。
そうは言っても空中広告に比べれば、生物兵器のほうがよっぽど恐ろしいかと思うんですが…。ディズニーによるこの政治的な策略ですが、飛行禁止区域に設定されたのちは、かつてパーク上空を飛んでいた100社以上の空中広告業者が廃業に追い込まれるという酷な一面も持っていました。
そしてつい最近のロサンゼルス・タイムズ紙の記事によると、この規制が近いうちに解かれることはなさそうです。10月下旬の更新されたFAA(連邦航空局)のサイトには、「Permanent(恒久的)」と記されていますしね。
image: Flickr / Dave Bloggs / State Archives of Florida
Adam Clark Estes - Gizmodo FACTUALLY[原文]
(たもり)