ウェアラブルなフィットネストラッカーを出しているFitbitが昨年末に発表した3種類の新製品。その内のフラグシップモデルであるFitbit Surgeを、米GizmodoのLimer記者がレビューしています。運動や睡眠をトラッキングする機能に、通知機能も付いたこの製品、実際使ったところはどうだったのでしょうか?
私には夢があります、完璧なウェアラブル・テックについての夢が。それはバンド状で、最高のスマートウォッチのシンプルな通知機能を全部備えて、フィットネストラッキング専用機器のトラッキング機能も全部ついたものです。Fitbit Surgeはかなりいい線をいってるので、本当に惜しくてなりません。
Fitbit Surgeって何?
これはFitbitの発表した3つの新作のフラグシップで、最も多機能。Fitbit Surgeは基本的にはCharge HRであり、それに大きなスクリーンとテキストメッセージ通知、そして専用のGPSがついており、お値段は100ドル(約1万1,700円)ほど高くなっています。
心拍数トラッキング機能、歩数計などにもあとで触れますが、それはCharge HRとかぶるので、ここでは違いに注目していきたいと思います。それは(とっても初歩的な)スマートウォッチとして機能すること、そしてスマホをポケットに入れていなくても自分の走りが記録できるところです。
デザイン
小さなストリップ状スクリーンが特徴的だった昔の(リコールされた)Fitbitや、新たなChargeやCharge HRとも違い、Fitbit Surgeには本格的な正方形のスクリーンがついています。本体は平凡なグレーのプラスチック、その両脇から黒のラバーバンドが伸びています。まるで小さいFitbitsがスマートウォッチへと成長したかのような感じです。(でももしホントにそうだったらもっと良かったことでしょう)
Surgeの盤面はモノクロのLCDタッチスクリーンとなっており、言ってみればPebbleをタッチスクリーンにした感じです。ウォッチフェイス画面から現在の心拍数や歩数計へ、といった大抵の操作はスワイプして行いますが、ボタンもついています。右側に付いているボタンは、基本的にはSurgeの出力モード(「自分の状態が見たいな」)と入力モード(「エクササイズのトラッキングを始めたいな」)モードの切り替え用です。右側には他にも2つのボタンが付いており、それらは通常タイマーのスタート・ストップや、最近あった通知を見返したりするときに使用します。
内側には心拍数センサーがついています。小さなカメラの両脇に緑のLEDが2つついており、ピカって光るので外すときには毎度びっくりさせられます。センサーは滑らかな突起部分についており、ストラップを止血帯のごとくきつく締め上げなくても肌に触れることができるようになっています。これはいいですね! ラバーストラップは他のラバー製のストラップと同じく時々蒸れますが、それでもなおFitbit Surgeのものはとてもつけ心地がいいです。
使用感
Charge HRと基本的には同じフィットネストラッカーの部分に関しては、夢のような出来です。設定もシンプルで、アプリにサインインし、スマホからBluetoothでペアリングするだけ。その後はほとんど全部自動でやってくれます。Charge HRと同じく、Surgeは心拍数を常時トラックしている他、歩数も、登った階段の段数も、歩いた距離、大体の消費カロリー(アプリに登録したデータを元に出されています。身長、体重、性別、年齢、希望に夢に、心に抱える暗い秘密に、その他もろもろ)もトラックしてくれます。また、Charge HRと同じくSurgeも睡眠トラッキングが自動で行われます。そう、腕に時計をつけたまま眠る事ができるようになれば、それ以外に何もしなくてもやってくれるのです。
Surgeの心拍数計と歩数計で初歩的なテストを行い、Charge HRと同じくらいの精度があるか確かめてみました。どうやらそのようです! その差は1分間に1、2拍、数千歩につき5~10歩ほどでした。
しかし、心拍数のトラッキングに関しては時々問題がありました。普段はしないリビングでのエクササイズ(ダンスゲーム「Dance Central Spotlight」!)をした時です。心拍数が140BPM台に上がったあたりで時折トラックされなくなりました。心拍数が高くなったからなのか、それとも腕を馬鹿みたいに振り回していたから(Fitbitはやるなと警告しているんですが)なのかはわかりません。心拍数は数秒待てば表示されましたが、心拍数を確認するために見下ろしたのに、そこにそれが表示されていないというのには一瞬イラッとします。自分のヘルスデータを詳しく調べてみると、月曜の夜、ベッドに入っていた午前1時30分に、不可解な137BPMの急上昇がありました。悪夢を見た覚えもないですし、心臓発作があったわけでもないので、これは偶然と考えるしかないでしょう。
FitbitのアプリはRose記者の書いている通り、集約された自分のヘルスデータがシンプルにわかりやすく映し出されており、これまでの使いづらいアプリが生まれ変わり、カタパルトで飛んできてレースのトップに踊りでたかのよう。アプリのデフォルト画面はこの神々しいデータのダッシュボード、明瞭でさっとアクセスできるし素晴らしいものです。
ここまでは(100ドル安い)Charge HRができることと同じ大体一緒。でもそれ以外の部分ではどうでしょうか?
Surgeが普通のスマートウォッチのように機能してくれるんじゃないかと期待するのはやめたほうがいいでしょう(ええ、今すぐやめてください)。Surgeはスマホに受けた着信通知とSMS通知ができて…それだけしかできません。繰り返します。もしスマホをSurgeとBluetoothでペアリングしたら、それでできてCharge HRでできないことは、受信したテキストメッセージのコピーが見れることだけです。それでわかったことと言えば、自分は誰ともショートメールしないということぐらい。もしSurgeにメールの通知機能があれば、興味が持てたかもしれませんが。もしかしたらね。
それでも最後に受信したテキストメッセージ(そう、一番最後のものだけ)と着信とを確認することができます。表示させるまでも面倒ですし、スクリーンがそれだけで埋まっちゃいますけど。こんな感じで。
もちろんFitbitがSurgeをアップデートしてくれる可能性もありますが、現時点では役立たずって感じです。特に米Gizmodoが選ぶベスト・フィットネストラッカーの現王者、Basis Peakに最近アップデートがあり、スマホに来た通知をほぼすべて表示できる完全な通知サポートが可能となった今ではそう感じてしまいます。
Surgeの大きなタッチスクリーンは時計として使うには便利です。時間を表示するスペースが大きく、Pebbleのようにコンパニオンアプリから様々なウォッチフェイス/盤面を選ぶことができます。タッチスクリーンによる操作は、ボタン操作との組み合わせで変な感じです。例えば右側のボタンを押すと、時計表示モードから、時間を限定してのアクティビティトラッキングモードへの切り替えができます。この切替時には、まるで垂直方向へのスワイプでスクリーンが切り替わるかのようなアニメーションが表示されますが、実際に垂直スワイプをしてもなにも起こりません。ボタンを使わないといけないのです。その一方、どのモードでもオプションの切り替えは左右へのスワイプです。なんだかおかしな混ぜあわせです。
別のマイルドにいらいらさせてくれる事としては、意図せずにスクリーンがスワイプされてしまうことがあります。特にこれをつけたまま寝ている時とか。明け方に、手首を回して今何時か確認しようとしたら、画面が意気揚々と表示してくれたのは昨日何段階段を登ったかでした。これは何晩も一緒に過ごした中で4回起きました。時計以外の表示画面からは、1分なり10分なり一定時間でタイムアウトして時計画面に戻ってくれたらいいのですが。
この大きなスクリーンで得することといえば、様々なエクササイズを始めるためのオプションが時計から選べるということです。例えばハイキング、ヨガ、キックボクシング、テニス、マーシャルアーツ、などのショートカットを時計に最大7つ読み込めます。それぞれ自動でストップウォッチ的な一連の心拍数トラッキングを始めると共に、GPSも対応すべきエクササイズなら作動します(ハイキングは対応しているけれども、ヨガは非対応)。どれを選んでも大抵の場合は、Surgeがアクティビティをトラックする方法が変わるわけではありません。ヨガ、テニス、マーシャルアーツ、そして他の多くは心拍数だけトラックされます。しかし、少なくともアプリに戻った時に、この時なぜこの心拍数になっていたのかを思い出すことがでるのです。
GPS使用時には、衛星をロックオンするのに少し時間がかかります。私はマンハッタンを散策したのですが(Surgeには「走る」と設定して嘘をついたのですがね)、GPSがロックされるまで、まるまる5分間かかりました。でもへんぴな場所(クイーンズ)からではロックオンはほぼ一瞬でできました。どれだけ待ってもダメな場合には、その過程をスキップして、GPSがロックオンされる前にワークアウトを始めることもできます。そうしても、心拍数と走った(もしくは歩いた)距離はちゃんと計測されますが、SurgeがバイブしてGPSロックオンが完了したと教えてくれるよりも前にすでに走ったコースはマッピングされません。
いいね!
Surgeは素晴らしいフィットネストラッカーで、とてもシンプルです。腕につけてシンクさせればバチコーンっと即座に自分のステータスが表示されます。アプリも情報をわかりやすく伝えてくれるものとなっています。
自動睡眠トラッキングもイケてます。バッテリーライフも良さそうです。満充電からバッテリーが無くなるまでテストするほど長くは使っていない(例えば連続1週間とか)のですが、それをやった時には教えますね。今のところ、半分充電されたバッテリーで4日間、そして「低バッテリー」と最初に表示されるまでには24時間以上のトラッキングができました。
よくないね!
Surgeにはよく(特に睡眠中に)間違ってスワイプされてしまい、その後デフォルトの時刻表示に戻ってくれません。時計タイプのアクセサリーが、時計の根本的な機能を果たさないのは嫌なものです。
Surgeは耐水性ですが、耐シャワーとか耐水泳ではありません。うーん。
ほぼ同じことができるCharge HRが150ドル(約1万8000円)であることを考えると、250ドル(約2万9,000円)というのは高すぎます。
これが気づかせてくれたのは、私が本当に欲しいものはPebbleにFitbitが合体したものなんだということ。Surgeはそれになれたかもしれないのに、そうじゃないということです。
買うべき?
いいえ。スマホを持たずに走りたくて、でもGPSでコースを記録するのが重要だというなら別ですが。Surgeはフィットネストラッカーとしては素晴らしいですが、Charge HRと比べて100ドルも高いのです。その非常に限定的なニーズを持っているというなら別ですが、これに100ドル高いだけの価値はありません。テキストメッセージ通知が良いとかなんとか、でもそれだけじゃあ購入に十分な理由にはなりません。たとえFitbitがSurgeをアップデートし、将来もっと通知機能がパワフルになるとしても、(テキストメッセージが届くだけなら十分な)このインターフェースを元からオーバーホールするくらいのことをしないと、数も種類も増えた通知に対応できはしないでしょう。
Fitbit SurgeがホントはPebbleに強力なフィットネス機能が付加されたものだったら…という夢にはそそられます。でも実際にはそうでなく、そのことがよりその夢に対する欲求を刺激するんですよね。Basis Peak(米Gizmodo選出総合ベスト・フィットネストラッカーで、たったの200ドル)はそれかもしれません。最近のアップデートで通知機能がつき、現在米Gizmodoが試しているところですので、レビューが出るまでもう少し待ってみてください。でも、もし手首で通知を読むことに興味がなく、スマホを持たずに走るようなランニングジャンキーでもないならば、Fitbit Charge HRの方がFitbit Surgeより同じくらい良くて、安価なのでそちらを代わりに手に入れたほうがいいでしょう。
以上Limer記者のレビューでした。なお、仕様詳細やカラバリなども日本語で確認できるFitbit Surgeの公式ページも存在し、そちらでは現在「近日発売予定」となっています。
Eric Limer - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)