自転車とか、もっと安くなるかな。
カーボンファイバー、スカンジウム、ダイヤモンドなど、最高のマテリアルは値段も高価なものですが、そんな高級素材と同じくらいの質を持ちながら、コストをわずか10分の1に抑えた新素材が誕生しました。
韓国の浦項工科大学校のチームは、新素材の開発のためにアルミニウム合金の構造を変え、自転車から飛行機まであらゆるものに応用できる新素材を開発しました。
硬くて安いのは鋼鉄ですが、とても重いのがネック。軽さが要求されるなか、高価なチタンに頼りたくないシーンでは、軽くて安いアルミニウムがよく混ぜられます。アルミニウムと鋼を混ぜた合金には、補強のために通常マンガンが混ぜられますが、それでも、乗り物に使用するには脆すぎるという問題がありました。
そこで、浦項工科大学校が混ぜたのがニッケルです。これによってアルミニウムに変化がもたらされ、B2クリスタルと呼ばれる状態が形成されます。合金の鋼鉄の粒子内とその境界を覆う、幅わずか数ナノメートルのクリスタルには、素材のせん断に耐える力があります。どんな素材も最後はせん断でダメになるので、その力が増えると強度が上がり、素材も割れにくくなるのだそうです。
そして生まれたこの新素材の強度は、チタンと同じ。密度も他の高価な金属並みで、原料コストと製造工程から試算すると、コストはわずか10分の1に下がるとのこと。
たしかに実用化したらスゴイけどまだ研究段階でしょ、と思ったあなた。英エコノミスト誌によると、世界最大の製鉄会社のひとつPOSCOが、今年中にこの合金の実用化に向けたプロジェクトをスタートさせるそうですよ。
Image by Hansoo Kim
source: Nature via The Economist
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(渡邊徹則)