Apple Watchは大丈夫なのか?
スマートウォッチやフィットネスバンドを常時身につけて、日中は運動量や消費カロリーの記録、夜間は睡眠サイクルの測定など、健康管理にフル活用する人も少しずつ増えてきました。でも、その陰には、常時着用スタイルが災いして、皮膚炎などの異常反応を訴えるユーザーが後を絶たない事態に発展している現実もあることは、あまり知られていないようですよね。なかにはヘルスケアバンドのリコールという対応を取らざるを得なかった製品メーカーもあり、この問題は業界に深刻な影響を与えつつあるみたいなんですけど、現在までに判明している三大要因と対処法をまとめておきたいと思います。これからスマートウォッチやスマートリストバンドなどを購入しようという人も、まずは必見ですよ~。
心拍センサーやGPS機能などを内蔵したフィットネスバンドのトップメーカーとなるFitbitは、ユーザーから同社製品の着用で皮膚に異常が認められるとのクレームが2014年に殺到し、調査のうえで一部ラインナップの製品リコールへと応じたことで、北米では大いに話題となりました。現在は、同社製品の購入ユーザーに対して、問題を避けるための使用上の注意にかかわる詳細なインストラクションが事前に提供されるようにもなっていますけど、とりわけ身体に悪影響がおよぶ三大要因が突き止められてもいるようですよ!
1. アレルギーFitbitが、昨年中に「Force」シリーズのフィットネスバンドの全製品リコールへと踏み切った最大の理由には、一般的にアレルギー反応を引き起こしやすいとされる素材がフィットネスバンドの製造に使われてしまっており、その結果として、一部のユーザーが皮膚の炎症やかゆみを日常的に訴える事態へと発展していることが判明したという点があげられています。
その素材のうち、もっともアレルギー反応の原因となったのは、部品接合部に用いられたメタクリル樹脂だったとされていますよ。また、米疾病対策センター(Centers for Disease Control)によって、全米で1割から2割がアレルギー反応を訴えていると指摘されるニッケル系合金がステンレス製パーツに使用されていたことも、リコールの要因になったことが示されていますね。もちろん、このいずれの素材も、通常は大半のユーザーにとって問題ないものの、一部の人が着用時にアレルギー反応を示してしまうことが調査によって明らかになったんだそうです。
すでにFitbitでは、同社のフィットネスバンドの全製品ラインナップにおいて、接合部へメタクリル樹脂を使用するのをやめ、基本的にネジによる接合スタイルへと切り替えられたことが発表されています。また、ユーザーの皮膚に触れるステンレス製パーツを極力減らすデザインが採用されるように設計変更が加えられたとも説明されていますよ。他のスマートウォッチやスマートリストバンドメーカーも、こうした流れで製品仕様の見直しを進めていってほしいところですよね。
2. 刺激物たとえ通常はアレルギー反応を起こさない、基本的に安全な物質であったとしても、皮膚にとっては刺激物となるものが存在しています。そのわかりやすい例は石ケンですね。普通に手を洗ったり、台所で食器洗いをするときに石ケンを使うくらいでは、よほどのことがない限りは皮膚への異常が問題になったりしないはずでも、ずっと石ケンを皮膚に押しつけて過ごしたりすれば、どうなってしまうでしょうか?
ところが、防水仕様のフィットネスバンドなどを、入浴中や水回りの仕事をするときでも着用し続ける人にとっては、リストバンドと皮膚の間へ洗い流されずに残ってしまった石ケンが、皮膚に異常を引き起こす刺激物となってしまい、大きな問題となるケースは少なくありません。皮膚の細胞が、ずっと表面に付着する化学物質への免疫反応を起こし、それが皮膚の炎症やかゆみなどにつながるというわけですね。ちなみに、同じような問題は、例えば、結婚指輪を常にはめている人などにもよく生じていると指摘されており、スマートウォッチやフィットネスバンドに特有の事象というわけではないみたいですけどね……。
3. 汗医学用語で汗疹とよばれる問題点も、フィットネスバンドと皮膚の異常の相関関係を調査した皮膚科学者のCameron Rokhsar博士によって指摘されていますよ。リストバンドが肌に密着することで、汗腺がふさがれてしまい、その結果として、皮膚の炎症やかゆみが生じてしまう現象で、とりわけ暑い時期には要注意とのことですね。ボクらの身体は、有害物質が体内へ入ることがないように、非常に敏感に反応する皮膚の細胞で守られていて、通常はなにも皮膚をブロックすることなく、通気性のよい状態で生活すべきところへ、急に24時間体制でスマートウォッチやフィットネスバンドを着用したりすると、いろんな異常反応が生じてしまうこともあるというのが正直なところなのでしょうか。
対処法は?皮膚の状態というのは、基本的に人それぞれで異なるものがあるので、一概には特定の素材や利用スタイルが有害であると断言したりできません。ただ、はっきりといえるのは、プラスチックやメタルバンドが1日24時間ずっと皮膚に触れ続けたまま生活していくことは、決して健康的ではないということだけは確かでしょうね。
だからといって、スマートウォッチやフィットネスバンドの使用をあきらめるわけにはいきませんので、まずはどのような素材を用いたデザインのモデルなのかを、購入前に吟味してみることをお勧めしたいと思います。できればリストバンド部には、ソフトな通気性のよい構造が採用されているモデルを選びたいものですよね。
そして、とにかく同じ場所への連続着用スタイルはやめておきましょう。いくら防水仕様だからといって、入浴中まで肌身離さずつけておくのは考えものですよ。たとえ常時腕にはめておきたい人でも、左腕と右腕の交互にはめるように気を配るだけでも、ずいぶんと皮膚には優しい利用スタイルとなるはずです。
ちなみに米Gizmodo編集チームもお世話になっているウェアラブル系ガジェットのヘビーユーザーかつレビュアーからのフィードバックですけど、ありとあらゆるスマートウォッチならびにヘルスケアバンドを使いまくってきた正直な感想として、どのモデルでも必ず常時着用時にはなんらかの皮膚の異常が認められるんだそうです。できるだけ肌に触れる部分を清潔に保つようにし、交互の腕に着用することで問題は軽減されましたが、絶対に24時間着用し続けても大丈夫なモデルなんて存在しないと語っていますよ。
セーターを購入するときを例に考えると、どんな素材でも気にせず着られる人もいれば、常に購入前にラベルで使用素材をチェックしなければならない、アレルギー反応に敏感な人もおり、どれだけナイーブな肌なのかは人によっても異なります。スマートウォッチやフィットネスバンドでも、結局は各ユーザーとの相性があり、それぞれの人にベストなモデルは異なってくるんでしょうけど、肌に優しい利用スタイルに少しは気を配りながら、長く仲良く付き合っていきたいところですよね。
Sarah Zhang - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)