アウディ渾身の電気自動車。
ガソリンからの脱却は自動車メーカーにとっては最大の課題。これを乗り越えなければ確実にメーカーとしての未来はありません。ゆえに、各社が電気や水素などさまざまな動力による車を開発しています。既存車をベースにして開発される車も多いですが、アウディの新型電気自動車はとんでもない二代目なんです。
今回発表された「R8 e-tron 2.0」は、同時発表された新型のハイパフォーマンススポーツモデル「R8」をベースにした電気自動車です。R8も2代目ですが、このe-tronも実は2代目。蓄電容量が初代の49kWhから92kWhと大容量化し、走行可能距離450kmと2倍以上に伸びています。動力性能はさすがスポーツカーといったところで、最大出力462ps、最大トルク93.8kg-m、0-100km/hの加速が3.9秒、最高速度はリミッターがかかった状態で250km/hです。
初代の「R8 E-tron」は2009年に発表されたのですが、走行可能距離が210km程度と少なかったことから不評で、人知れず市販化を断念していました。とはいえ、車のサイズが違うので単純に比較は出来ませんが、現行の日産「リーフ」でも公称228kmですけどね...。市販化を一度は諦めたもののアウディは開発を続け、再びEV業界に参戦してきたわけです。
比較対象として真っ先にあげられるのはテスラの最高モデル「モデルS 85kWhパフォーマンス」でしょう。こちらは走行可能距離480km、0-100km/hの加速が3.4秒、最高速度は250km/hです。後輪だけで最大出力が475psというモンスター。それでもって約1,300万円という常識的?な価格だからすごい。R8は通常のガソリン車で約2,200万円からですからね。数字だけ比較するとアウディの方が不利な印象をうけます。ただ、ご存知のとおりアウディは多くの既存顧客やファンを持ち、卓越したデザイン力やVWグループという大きなバックボーンをもつ安心感を加味すると、なかなかいい勝負になるようにも思えます。
それに、この価格の車は値札を見ないで買い物をする人向けの商品ですから。細かいことはいいんです。欲しいと思わせる力があるか、問題はそこだけでしょうね。
(小山和之)