INFOBARの歴史、変わらないデザイン性はどんな空間で生まれ、育まれたのか。
ときは2003年、パカっと開いて使うクラムシェル型携帯電話全盛の時代に生まれたストレートタイプの携帯電話、それがINFOBARでした。
少しでもピクセル数の多い画面を、少しでも早いCPUを、またはカメラの解像度を、当時は携帯電話の開発とはスペック競争の側面がありました。そんな時代にあって、「性能も大事だけれどデザインだって重要ですよ」と立ち上がった、au design project。INFOBARは、このプロジェクトの第一弾としてプロダクトデザイナー深澤直人さんのデザインにより開発された携帯電話だったんです。
新型MacBookの筐体キワキワまで攻めたフルサイズのキーボードが話題の昨今ですが、初代INFOBARのボタンもご覧のとおりマグネシウム製の筐体ギリギリまで使ってデザインされています。上に突き出ている電波受信のためのアンテナこそ2003年という時代を感じさせるものの、10年も前にデザインされたものとは考えにくいモダンなデザインに、いまあらためて驚かされますし、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のコレクションとして所蔵されているのも納得です。
4年後の2007年には後継機となる「INFOBAR 2」が発売されました。「口の中で溶けかけた飴」というコンセプトの通り全体が丸みを帯びたボディは、サイドボタンひとつの出っ張りも許さないという徹底的なこだわりによってデザインされていて、それはそれは、見るからにさわり心地の良さそうなデザイン。
やがて2008年に日本でiPhoneが発表されると、時代はスマートフォン全盛。2011年には満を持してスマートフォン「INFOBAR A01」が誕生します。本機では初代INFOBARに搭載されていたタイルキーが復活。極上の触り心地をもたらすとともに、中村勇吾さんがデザインしたUI による使っていて気持ちの良い携帯電話となりました。
続く、2012年にはテンキーを搭載した「INFOBAR C01」、2013年にはUIをさらにブラッシュアップさせた「INFOBAR A02」が誕生。
そして今年、2015年には最新作「INFOBAR A03」が登場しました。
いまや、もっとも身近にあるデザインといってもいいスマートフォン
仕事に、トモダチとの連絡に、ぼくらの生活のなかでもっとも使用頻度の高いデジタルガジェットであるスマートフォン。使い勝手のよいこと、その美しさにより所有している幸せを感じさせてくれること、使っていて気持ちの良い手触り、操作感など、スマートフォンにおけるデザインには総合力の高さが必要です。
おいしいコーヒーを飲むために手触りや口触りのいいコーヒーカップを選ぶように、電脳世界との窓として、毎日の生活を心地よく過ごすために機能するスマートフォンもまた、ぼくらは優れたデザインを求めています。
ただし、この「優れたデザイン」というヤツはなかなかのクセモノ。ぼくらの身体を包み込み自分の見た目を操作するものである洋服を例に考えればわかりやすいと思いますが、美意識というものは時代の空気感によりめまぐるしく変化するものでもあります。
デジタルガジェットでもその変化は明白です。ネオンカラーを本体にあしらった初代iMacが登場すれば、サードパーティ製の周辺機器や多くのガジェットがキャンディのような明るいカラーを取り入れました。また、アルミニウムの筐体のMacBookが誕生すれば、また同様にアルミニウム製のアイテムが世にあふれましたね。
近代のガジェットがこうしてめまぐるしくデザインを変化させているなかで、このINFOBARのデザインが持つ一貫性には驚かされます。ボタンや筐体に施されたやわらかみのある曲線、赤(またはブラックやグレイ)と白のコントラストなど、INFOBARのアイコニックな要素は常に踏襲され、世代を超えて共通する特徵は保たれています。
デザインされたプロダクトが溢れる現代において、ぼくらの好みは年々変わっているというのに、INFOBARは2003年のデビューから最新の「INFOBAR A03」に至るまで、そのアイデンティティを守り続けており、かつその時代が求めるモダンなエッセンスが差し込まれています。
たとえば画面下部にあるINFOBARらしいグラデーションを描くボタンはタッチセンサーキー。触れるとふわっと文字が浮かびあがるように点灯して、「いま、このキーが押されましたよ」とINFOBARが語りかけてくるよう。
また、スリープ状態で左の「BACK」から「HOME」「RECENTS」と右に向かって指をすべらせるようにタッチすると画面が点灯して時間や日付を表示するというスマートスイッチ機能を搭載。この、心地良いフィーリングというのはルックスだけではないINFOBARの魅力でもあります。
UIのデザインはあの中村勇吾さん。2013年の「INFOBAR A02」からサウンドデザイナーとして参加したCorneliusこと小山田圭吾さんによる気持ちの良い操作音とともに、触れていて快感すら感じるような体験をもたらす、それがINFOBARのもう一つの魅力です。
「INFOBAR A03」は、IPX5 / IPX8の防水・IP5Xの防塵(*1)、au VoLTEにも対応、付属のTVアンテナケーブルをつければフルセグ視聴も可能。そして約4.5インチフルHDディスプレイの大画面と、デザインだけでなく機能面でもぼくらの生活を豊かにしてくれることでしょう。
*1 キャップ類は確実に取り付けてください。※ au VoLTE対応機種は、日本国内において3G通信はご利用いただけません。
そんなINFOBARをデザインした人の仕事場とは?
この「INFOBAR A03」をデザインしているのは、前述したとおり、プロダクトデザイナーの深澤直人さん。
人とモノ、空間との関係性を追求するデザインで高く評価される深澤さんが、どのような仕事場で「INFOBAR A03」をはじめとするデザインを生み出しているのか――それは言い換えれば、アイテムに求められる本質を見通す作業でもあります――。
その深澤さんの仕事場が、INFOBARのスペシャルサイトで公開されています。
東京・青山のNAOTO FUKASAWA DESIGNオフィスはクールで暖かい
そこにあるのはゴテゴテのデザイナーズ家具ではなく、しっかりとした存在感を放ちながらも、それでいて「ふつう」の良さを感じさせる家具や日用品たち。
たとえば天井から吊るされた大きなフードの「MODIFY」の照明。デザインは深澤直人さん。球体をスパっと半分に切ったようなデザインは、普通だけれどちょっとだけエッジー。デザインされたものの美しさを残しながら、あくまでも「ふつう」のたたずまい。
打ち合わせスペースに移動すれば、そこには明るい日差しをうけた、柔らかそうで座ってみたくなる椅子が。
これは深澤直人さんデザインの「Grande Papilio」のアームチェア。円錐から切り出してかたちをつくるという、彫刻のようなプロセスを経て作られています。カラダを預けたくなる優しい曲線と気持ちのよさそうな質感。座面はローテーブル一つ分ほどの高さにあり、座ればそこに浮いているような感覚に包まれることでしょう。隣のテーブルには、深澤さんが尊敬する、イギリスの彫刻家、アントニー・ゴームリーの作品集が無造作な風に置かれています。
深澤さんが国内外で見つけてきたアノニマスなデザインのモノがディスプレイされている棚。ファウンド・オブジェクトという、深澤さんのデザインコンセプトの一つである考え方を具現化している場所でもあるんです。
並んでいるのは、誰がデザインしたのかわからないような、オーソドックスなお酒のボトルや、ワインのコルク、お土産物屋さんで売られているようなオブジェ。「INFOBAR A03」や、広島のマルニ木工から発売された深澤直人さんデザインの椅子「HIROSHIMA」のミニチュアも自然にそこに並べられています。
深澤さんの仕事場の写真から感じるのは、それぞれのモノや空間がかもしだす、静かだけれどあたたかみのある心地よさ。そして、シンプルなのにやけに魅力的に映るグッズ類。デザインをことさら意識させることなく、でも居心地の良さと気持ちよさをあたえてくれる、デザインされたアイテムたち。それは初代「INFOBAR」から最新作「INFOBAR A03」に通じるINFOBARシリーズのDNAにも共通することです。
そのほかにもさまざまなクリエイターの仕事場が見られます
スペシャルサイトでは深澤直人さんをはじめとして、minä perhonen デザイナーの皆川 明さん、MUVEILデザイナーの中山路子さん、ANREALAGEデザイナーの森永邦彦さんといったクリエイターの仕事場を公開。
お買い物に出かけたくなっちゃうかも
また、人気のライフスタイルショップのなかでINFOBARがどのような佇まいにうつっているのか、COMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLY、CLASKA Gallery & Shop “DO”、CIBONE、そしてSALON adam et ropeといったショップの写真やアイテムとともに見ることもできますよ。
居心地のよい部屋づくりの参考に、デザインについて考えてみるきっかけにもなる、INFOBARスペシャルサイトはこちら。
source: LIFESTYLE × INFOBAR|Original Product|au
(Tsuzumi Aoyama)