国際宇宙ステーションにとっては小さなエスプレッソマシーンだが人類にとっては大きな飛躍だ!
先日、ついに国際宇宙ステーションの宇宙飛行士たちは軌道を回っていたスペースX社の物資供給船ドラゴンをロボットアームを使って軌道からグイッと拾い上げたようです。そしてそのドラゴンにはたくさんの重要な物資が搭載されているわけですが、中でもとりわけ重要だったモノ。なんだかわかります?
コーヒーなんです。トップ画像はエスプレッソが宇宙に到着した瞬間の画像です...なんて。これはフォトショですが、本物の写真は宇宙飛行士のAstroTerry氏が宇宙からツイートしています。
ドラゴンが地球を出発してから何日か経っていますが、宇宙ステーションに連れて行かれないまま、軌道にとどまっていたようです。どうして宇宙ステーションと合体するまでこんなに軌道上で待たなくてはいけないんでしょうか。
これにはわけがありました。高度を上げるのに7日以上はかかってしまうとMika McKinnon氏が説明してくれています。そして結構なスピードで軌道周回している他の物体に近づいたり、接触することは大変危険でかなり骨の折れる作業になるんだそう。なので、ゆっくり・しっかりという姿勢で臨むのが一番なんですって。
Chart shows @SpaceX#Dragon's approach path to @Space_Station this morning. Watch @NASA TV... http://t.co/C7LVQGyw5Ppic.twitter.com/Vz28hyIyyW
— Intl. Space Station (@Space_Station) April 17, 2015
この画像がロボットアームでドラゴンをガシッと掴んだ瞬間ですね。
Capture! @AstroSamantha & @AstroTerry caught a #Dragon with 2 tons of @Space_Station supplies http://t.co/KX5g7yYnYGpic.twitter.com/L02Gvzv1LY
— NASA (@NASA) April 17, 2015
まもなく宇宙ステーションの宇宙飛行士たちは4,387ポンド(約1,990キロ)の物資の荷捌きをすることになりますが、まさにクリスマスのプレゼントを開けるようなワクワクした気分になるんでしょうね。 でもその物資のほとんどは、宇宙ステーションでの低重力環境における実験やそれに伴う研究に関わる物だそうです。
しかしその物資のうち1,102ポンド(約500キロ)は宇宙飛行士たちへの食料や支給品なんですって。そしてその中には、彼らが待ちに待ったエスプレッソマシンも入っています。イタリアのコーヒーメーカーであるラヴァッツァが、サマンサ・クリストフォレッティさんというイタリアの宇宙飛行士のために国際宇宙ステーション仕様で作ったエスプレッソマシン。
このエスプレッソの話、去年もニュースになったの覚えていますか? そう、実はずっと前に宇宙ステーションに到着するはずだったんですが、輸送用無人ロケット自体が爆発してしまったため延期されていたんです。今回やっとエスプレッソマシンが到着しクリストフォレッティさんは大喜びでドラゴンをバックにセルフィーを撮りつつ「青雲の中にコーヒーが浮かんでるよ...あ、違うドラゴンがね! 」なんてお茶目なツイートしてますね。
"There's coffee in that nebula"... ehm, I mean... in that #Dragon. pic.twitter.com/9MYrqIOXnI
— Sam Cristoforetti (@AstroSamantha) April 17, 2015
宇宙でちゃんと動くエスプレッソマシンを作るということは航空宇宙工学の偉業なのです。そしてエスプレッソをお届けするという以上のたくさんのことができるようで、NASAは「紅茶、コンソメスープなどの温かい飲み物や家庭の味を作るのにも使えますよ。」と言っています。
ラヴァッツァのAndrea Guermaniさんによる説明は以下の通り。
微小重力でコーヒーを淹れることは、全く想像もつかないのです。微小重力空間でコーヒーや紅茶などの液体を飲むときに使われているプラスチックの袋を使って、家でコーヒーを淹れるときみたいにするんです。大きな違いはプラスチックの袋から特別なストローを使って飲む、というところでしょうか。
とは言うものの国際宇宙ステーションでのオペレーションにとって、さらに複雑なプロジェクトとなってしまうコーヒー。なぜかというと一杯用のコーヒーメーカーであってもたくさんのゴミを出してしまうからなんです。それが例え宇宙であっても。あるエンジニアがNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)にこう語っています。
コーヒーを宇宙に持っていくというのは宇宙飛行士にとってはうれしいことであっても、NASAのVickie Kloerisさんにとっては心配以外のなにものでもなかったようです。「コーヒー1杯は個別にパッケージ化されたカプセルになっていて、たくさんゴミが出ますし、量も多いんです。」とVickieさん。宇宙に物を持っていて持って帰ってくるという行為はお金がかかることで、NASAのマネージャーたちはこのプラスチックの袋をどうするかっていう方法を考えていました。
このマシン、宇宙飛行士たちの生産性を高めるおいしいカフェインをお届けするだけでなく実は研究のためにも使われていて、地球にいる科学者たちを興味深々にさせているんだそうです。去年ある物理学者のグループが宇宙飛行士たちがストローではなく、表面張力を使ってカップから飲めるようなエスプレッソカップのデザインに着手したそうですよ。
報道によるとドラゴンは6人の乗組員のために6つの試作品カップを載せていると国際宇宙ステーションにドッキングした際に伝えられました。宇宙でも自分専用のマグカップを持てるなんてサイコーですね。
ドラゴンの荷捌きは近いうちに行われるそうですが、クリストフォレッティさんと宇宙飛行士仲間たちがコーヒーレポートしてくれる日も近いでしょうね!
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(リョウコ)