裏庭の豚の幹細胞を培養して作ったソーセージ、など。
世界では今、人工肉の研究開発が進んでいます。だって美味しい人工肉ができれば、動物に対する罪悪感も、家畜を育てるための環境負荷もなくなって、さらに技術が進めば普通の肉より安くなる可能性だってあります。でも人工肉って、実際どんなお肉でどんな料理ができるんでしょうか?
たとえば2013年に人工肉バーガーの試食がありましたが、味はいまいちだったようです。でも見方を変えれば、人工ということは自然の肉が自然であるための制約がないということでもあります。そんなわけで、人工肉とは既存の肉に近づけて代替とすべきものではなく、むしろ食のあり方全体を根底から考え直す好機と考える人たちもいます。
「Bistro in Vitro」(直訳:試験管内のビストロ)は、まさにそんな発想のシェフやデザイナー、研究者に哲学者のチームが作ったバーチャルなレストランです。そこには再生医学技術により作られた素材を使った(という設定の)前菜・メイン・デザートがそろっていて、それぞれどんな料理か説明されています。またユーザーはメニューから好きなものをピックアップして自分の好きなコースメニューを作り、2028年にレストランで食べるための予約をすることもできます。
具体的には、たとえば「In Vitro Oyster」はわかりやすい人工牡蠣で、「温かい成長液の海に漬けられ、ミニチュアの生物反応器の中で育てられる」そうです。また「Pig In The Garden」は、レストランの庭にいる豚から幹細胞を採取してできる人工豚肩ロースです。
一方「Throat Tickler」(直訳:のどをくすぐるもの)なるものは、「濡れた、つるつる、もぞもぞしたもので、イソギンチャクと性具の間のグレーゾーンに位置する」食べ物です。人工なのに触手的なものがぬらぬら動いていて、動画(食事中閲覧注意)ではそれを生のまま丸呑みしています。特殊な嗜好の方じゃない限り、あまり食欲をそそられる感じじゃないと思います。
でも、あえて「どれも美味しそう!」じゃないことが大事なのかもしれません。Bistro In Vitroの中心人物であるKoert Mensvoort氏は「より多くの人が(人工肉に関する)議論に関わることが重要」と言っています。いわく、「人工肉の未来を具体化し、それをみなさんに見せて、実際どれを食べたいかを問いかけているのです。」
で、どれなら食べてみたいですか?
source:Bistro in Vitro via Dezeen
Chris Mills - Gizmodo US[原文]
(miho)