イタリアとチュニジアの研究者たちは史上最大の海生ワニの化石を発見しました。この新種の生き物はマキモサウルス・レックスと名付けられ、体長が10m超、頭はティラノサウルスの頭よりも大きいとのこと。大きくて頑丈な歯は食べ物の骨を砕くのに使われたと考えられています。Cretaceous Researchによるとマキモサウルス・レックスは潜んで奇襲を仕掛けるタイプの動物だったようです。こんなのに飛びつかれたら助かる気がしないですね...。
化石が最初に発見されたのは2014年、頭蓋骨の寸法からまだ知られていない新種の動物の化石であると研究者達は考えたとのこと。同類の動物はそれまでヨーロッパ全土に広がっていたようですが、マキモサウルス・レックスの生きた時代にはヨーロッパを広く覆っていた浅い海が引いてしまっており、チュニジアだけが大型海生ワニの住める場所として残ったのだろうと推測されています。
この化石の発見、私たち素人にとってみるとただ「なんだこのワニでけーよこえーよ!」なのですが、専門家にとって1番の興味はその時代のようです。恐竜の時代と言われるジュラ紀が終わったのが1億4500万年前、このときに大量絶滅があったのかどうかで長年議論が交わされています。専門家の中にはこの大量絶滅で大型の爬虫類は絶滅したと考えている人が多いようです。
しかしマキモサウルス・レックスの化石は1億3000万年前、ジュラ紀が終わったあとの白亜紀の地層から発見されたのです。大量絶滅があったとしても、その1500万年後まで生きていたというのは驚きなわけです。
これまで大量絶滅は1つのイベント・災害などによって世界中で突然起きたものだと考えられてきましたが、もしかしたらもっと長い時間をかけて徐々に起きた現象だったのかもしれないと、この化石の発見が一石を投じる形になりました。

頭蓋骨が発掘されたものの、地域の政治的な混乱もありなかなか研究者達は現場に戻ることができていないようです。全体の化石が発掘されるのが待ち遠しいです。
image by Davide Bonadonna Second、Cretaceous Research
Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)