唯一の欠点はやはりそこか。
マイクロソフトが、PCからタブレット、携帯、ゲーム機、Piで動作するマイクロコンピューターに至るまで、全てをWindows 10で統合する計画を打ち出した時、未来は明るく見えたものです。しかし、このビジョンには一つ問題がありました。 だれもWindowsのスマートフォンを必要としていないのです。
デベロッパーのサポートが欠如し、代表的なハードウェアのリリースがほぼ無いため、Windows Phoneが下降スパイラルに陥っているのは周知の事実です。ということは、同じように下降スパイラルに陥っているHPが新たにWindows Phoneを作るというのは、ある種運命とも言えるのかも知れません。

Elite x3は「一つのデバイスであり全てのデバイス」だとHPは宣伝しています。これは、Windows 10スマホを軽量なデスクトップOSに変える事が出来る、Continuumを利用している事に起因しています。HPは更に、いつでもスマホからPCに切り替えられるよう、オリジナルのドックも発表しました。
Continuumをおさらいすると、こんな感じのセットアップが可能になります:

Elite x3はビジネスに特化しています。デモの最中、HPのスポークスマンが「ユニーク・バリュー・プロポジション」という言葉を使っていた気がします。どうやら、Windows Phoneが製造コストで潰れないようにする為には、フォーチュン500企業に使ってもらって、従業員に押し付けるしかないようです。そしてHPの狙いはまさしくそこなのでしょう。HPは、スマホ一つが全てのデバイスの役割を果たす事で、従業員が各自自分のデバイスを持ち込むよりも企業ネットワークの管理が簡単になるとしています。
将来、Elite x3を持たされて不満げなビジネスマンさんに言いたいのは、デバイスとしてこのスマホは決して悪くないということです。Bang & Olufsenのフロントスピーカー、Snapdragon 820プロセッサ、そして5.95インチのクアッドHDディスプレイを備えています。スペックだけで言えば、今出ている最高のスマホともほぼ全ての面で渡り合えます。実際、iPhone 6s Plusとほぼ同じサイズだし、スムーズで丸いエッジのおかげで、手触り感すら非常に似ています。ただ、本体は全面アルミではなく、背面はプラスチックですが。しかしながら、このスペックでこのデザインなら、Elite x3は買いかもしれません。

…が、いかんせんWindows Phone…。マイクロソフトですらスマートフォンというプラットフォームに興味を失っています。HPには、Windows Phoneを作りたい理由があります。Windows 10のContinuumを活用できる他のハードウェアは全て販売しているからです。スマートフォンはある意味最後のパズルピースと言えます。しかし残念な事に、熱狂的なWindows支持者でないかぎり、スマホのWindowsには不満が募るでしょう。
面白い事に、HPもそれは承知のようなのです。Windows Phoneの最大のセールスポイントは、「必要なアプリは全て備わっている」というのですが、じゃあ「欲しいアプリ」はあるのでしょうか?
それでもWindows Phoneが欲しいという熱狂的なWindowsガジェットファンの方にとっては、噂のSurface Phoneが来るまで(本当に来れば、ですが)のつなぎとしては十分かも知れません。HP.comからなら、どこかの企業のCEOとか最近職を失った企業戦士でなくても、ちゃんと買う事ができます。



Elite x3スペック:
- ネットワーク: 不明
- OS: Windows 10 モバイル
- CPU: Snapdragon 820 processor
- スクリーン: 5.96インチ 2560x1440 AMLOED (538 PPI)
- RAM: 4GB
- ストレージ: 64GB microSDで2TBまで拡張可能
- カメラ: 16 megapixel 背面カメラ / 8 megapixel 正面カメラ
- バッテリー: 4150 mAh
- 寸法: 6.39インチ x 3.29インチ x 0.31インチ
- 重さ: 6.88オンス(195g)
- 価格と販売日: 価格不明、今年の夏発売
Darren Orf - Gizmodo US [原文]
(scheme_a)