一押しはApple Watch、じゃありません。
Apple Watch発売から1年ちょっと経ちつつ、まだまだ普及したとは言いがたいスマートウォッチ。でも製品ラインアップだけはなんだかんだ着実に広がりつつあります。で、今買うならどのスマートウォッチがいいんでしょうか?
1年ちょっと前、市場にあるスマートウォッチを網羅的に評価したんですが、その内容を2016年4月末現在版にアップデートしてみます。ちなみにチェック対象としたのは前の記事と同じく、「腕時計として機能するもの」かつ「スマートフォンからの通知を表示するもの」です。で、まず一番のおすすめはというと…。
ベストスマートウォッチ: Pebble Time Steel

前回ベストに輝いたのはPebble Steelだったので、その後継となるPebble Time Steelが自然とその地位も受け継ぎました。200ドル(約2万2000円)という手頃な実勢価格にもかかわらず、より洗練されたデザイン、カラー電子ペーパーディスプレイ、1週間持つバッテリーが、ウォータープルーフなメタルのケースに収まっています。こんなに充実した200ドルの使い方はなかなかできません。
でもTime Steelの本当に良いところは、その出しゃばり過ぎないアプローチです。Apple WatchやいくつかのAndroid Wearウォッチが「手首に乗ったなんでもマシン」を目指しているのに対し、Time Steelは最新情報の通知など、限られた機能を届けるシンプルなインターフェースに徹しています。だからかさばることなく利便性は十分、2015年8月のレビューでもお伝えしたように、スマートウォッチがすべきことを全部ちゃんとやっています。
日本では公式未発売ですが、何らかの方法で入手して日本語化すれば使えますよ。
一番スタイリッシュなスマートウォッチ:Apple Watch

Apple WatchにはApp Storeがあるので、いつかもっとも機能的なスマートウォッチになるポテンシャルもあります。ただそこにはまだほど遠いのが実状で、生煮え感も強いです。今すでにPebbleやAndroid Wearよりできることは多いんですが、ただ可能というだけで、上手ではないことがいろいろあります。それにそもそもApple Watchを使うには、iPhone 5以降のiPhoneが必要です。Gmailの中身に優先順位を付けてザクザクさばきたい人には、PebbleかAndroidウォッチをおすすめします。
ベストAndroid Wearウォッチ:Huawei Watch

Huawei Watchは、これまでいろんなAndroid Wearウォッチがうまくできてなかったことをきちんとやりとげています。まず見た目が良いし、丸いフェイスは360度全面使えます(Moto 360はパンクしたタイヤみたいに丸の端っこが切れてます)。それに色やスタイル、価格もいろいろ選択肢があって、自分に合ったものを選べます。またスピーカー内蔵で、Android Wearの最新機能も活用できます。
ただ、だからってHuawei Watchこそ完ぺきなAndroid Wearだというわけじゃありません。バッテリーライフはイマイチだし、本体のケースもかさばるし、スタンダードなレザーバンド以上の何かを選ぼうとするとちょっと高額になります。でもAndroid Wearの中ではこれが今一番です。
一番楽しいスマートウォッチ:Samsung Gear S2

サムスンはスマートウォッチをたくさん作ってきましたが、Gear S2ほど心を動かされるものはありませんでした。そこには、一見変だけど驚くほど便利な機能があるんです。それは回せるベゼルで、こんな風に動きます。

一見めんどくさそうに見えるし(たしかにある意味そうですが)、これのおかげで通知を切り替えるのがものすごく簡単になるんです。そしてもちろん、メニューを移動するごとにカチっという心地よい手応えがあるのもポイントです。
ただGear S2がこの記事でベスト・スマートウォッチになれないのは、プラットフォームがTizenだということです。つまりApple WatchとかAndroid Wearウォッチみたいに何でもこなそうとしつつ、アプリとかデベロッパー向けサポートがはるかに手薄なんです。Gear S2のソフトウェアサポートがいつまで続くのか、正直疑問です。
でもそこを考慮しても、我々的にはGear S2は2015年のお気に入りガジェットのひとつだし、サムスンのスマートウォッチとしては初めて300ドル(日本向け価格4万9464円)の価値があると思います。何か楽しくて他と違うスマートウォッチが欲しい方には、こちらがおすすめです。
コスパ最高のスマートウォッチ:Pebble

こちらは1年前と変わらず、引き続き90ドル(約1万円)のPebbleのコストパフォーマンスは最強です。Pebble Steelと同じものが、半分以下の価格で手に入ります。プラスチックでチープな感じですが、夜寝るとき睡眠トラッキングに使っても気にならないっていうメリットもあります。
スマートウォッチって興味あるけどホントに良いのか試してみたいって方は、高価なものを買う前にまずPebbleを試してみるといいんじゃないでしょうか。
その他のスマートウォッチ
・Tag Heuer Connected
見目麗しい腕時計だし、Android Wearもうまく動いてます。ただし1500ドル(約16万7000円)です。熱狂的な時計コレクターで、この時計が壊れたらアナログ時計として使いたい、みたいな人はぜひ買うべきです。
・Moto 360 Sport
見た目Moto 360みたいですが、ウォータープルーフで、フィットネス系機能が満載されてます。ちなみにバンドは、付替えできないダサいゴムバンドです。
・Garmin Epix
売り文句的には「ナビゲーションに使えるスマートウォッチ」なんですが、実際はそんなに使えません。ただ、すごく正確だし頑丈ではあります。でもやたら巨大です。
・LG G Watch Urbane
350ドル(約3万9000円)のLG G Watch Urbaneは、Android Wearウォッチとしては悪くありません。ただ大きくて、高くて、Apple Watchと比べるとおもちゃみたいに見えます。ボタンやプラスチックの背面カバーは安っぽく感じられ、厚いベゼルはスワイプしにくいです。
・LG G Watch Urbane LTE版
こちらはバッテリーが巨大で、新機能もたくさんあります。
・Razer Nabu X
スマートウォッチじゃない、チープなフィットネストラッカーですが、スマートウォッチ的な通知ができます。ただ、何の通知かすぐにはわかりません。どんな通知内容でも、緑のライトが3つ点滅して本体がバイブレートするだけなんです。あと時間もわかりません。
・Asus ZenWatch 2
Apple Watchみたいなデジタルクラウンの付いたAndroid Wearウォッチです。ちなみに先代のAsus ZenWatchは、もっともスタイリッシュと高評価でした。
・Asus VivoWatchスマートウォッチというよりはフィットネストラッカーで、スマートフォンからの通知はありません。Asus ZenWatchと紛らわしいです。
…というわけで、Apple Watchが出てから1年経っても、オールラウンドにベストなのは相変わらず最新のPebble、コストパフォーマンス最強なのはオリジナルのPebbleです。でも見た目とかAppleのプラットフォームにこだわるならApple Watch、Android系ならHuawei Watchとか、自分に合ったものを選ぶ楽しみもだんだん広がってきたんじゃないでしょうか。2015年2月以前に発売されたモデルに関してはこちらにまとまってますので、さらに幅広く検討したい方は参考にしてみてください。
Gizmodo Staff - Gizmodo US[原文]
(miho)