なんですかこのグレートバリアリーフは…

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なんですかこのグレートバリアリーフは…

これは地球最後の楽園グレートバリアリーフの現在。白骨のような大量死のサンゴが延々と横たわっています。死ぬ前に1度ここでダイビングしたいと思ってる人は、航空券を早めに手配した方が身のためですよ。

3月末、ジェームズクック大学のテリー・ヒューズ教授が委員長を務めるオーストラリア国立珊瑚礁白化対策チームが撮ったものです。ケアンズからパプアニューギニアまで520の珊瑚礁を航空調査してみたところ、見渡す限り白い亡霊のような姿に成り果てており、白化が全く見られなかったのはたった4礁ぽっきり。グレートバリアリーフ北部の推定95%で「激しい白化」が確認されるという、史上最悪の結果となりました。

「通過した珊瑚礁では、ほぼ例外なくハイレベルの白化が確認された。側面から上部に至るまですべてだ」、「長年この仕事をやってるが、こんな悲しい調査は初めてだ」と、ヒューズ教授は声明の中で明らかにしています。

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珊瑚礁は水温の変化に敏感で、ちょっと水温が高すぎるだけで共生藻「褐虫藻」が放出されてしまいます。すると珊瑚本来の鮮やかな色が損なわれて白化し、栄養補給ができなり、病気や飢えに晒されるリスクが高まってしまうのです。

もともと珊瑚礁の白化現象は滅多にないことで、起こる地域も限られていました。ところが最近は広い範囲に蔓延し、白化レベルも壊滅的になっています。世界全体を巻き込む白化現象が初めて確認されたのは1997-1998年のエルニーニョの時で、あの時は地球の全珊瑚礁の実に18%が死滅しました。

2014年以降、同様の白化現象はさらにパワーアップして繰り返し起こっています。地球が観測史上最高気温を更新続けていることも一因です。その熱を吸収して、海の水温上昇が危険レベルだというリバモア研究所の発表も2月にありましたよね。

昨年10月、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は史上3度目の全地球規模の白化を宣言しました。

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上図はその時にNOAAが発表した予想図です。全世界で今起こっているこの白化現象で、地球の全珊瑚礁の実に40%近くがやられそうだという話です。今年は大型のエルニーニョも重なるため終わりが見えず、もしかしたら終息は2017年までないかもしれないとのこと。

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地球最後の楽園も気象変動と無縁とはいかないってことですね。珊瑚礁には海洋生物全種のうちの4分の1が棲んでいるわけですが、「一難去ってまた一難で、珊瑚礁は毎年災難続き。現時点では、回復の目処も立っていない」と、NOAAの海洋学者のMark Eakinさんは米Gizmodoからの2月の取材で答えてますよ。悪いことは言わないから、航空券の手配はお早めに…。

image by ARC Centre of Excellence for Coral Reef Studies.

source: BBC

Maddie Stone - Gizmodo US[原文

(satomi)