今週も、キュアップ・ラパパ。
2016年4月24日、タレントの前田健さんが意識不明で倒れ、翌日に一時蘇生するものの26日に虚血性心不全で急逝されました。突然の訃報に多くの人が驚き、悼みました。
前田健さんはタレント活動の他、振付師としても著名ですが、プリキュアファン的な目線では「フレッシュプリキュア!」以降4作品のエンディングのダンスを手がけた方。特にスマイルプリキュアのED「イェイ! イェイ! イェイ!」は踊ってみた動画も盛んでしたね。
今週は、前田健さんが手がけた4作品のEDダンスについての思い出を語っていきます。まずは初めてEDにCGが使われたこの作品から。
■「フレッシュプリキュア!」…前期ED「You make me happy!」/後期ED「H@ppy Together!!!」
2009年においてこのEDは衝撃的でした。フレッシュは作中でもダンスが大きなテーマとなっていて、作中のダンス監修・コレオグラファーも前田健さんが担当されています。カオルちゃんも良いキャラクターでした。
前作の「Yes! プリキュア5GoGo!」のEDもダンスだったんですが、この頃はCGではなく手描きでした。これについて上北ふたご先生のマンガ「Yes! プリキュア5GoGo!」に掲載されている梅澤淳稔プロデューサーのインタビューによると、
「見てたら踊りたくなるけど限界がある」
とのこと。作画や文字の関係もあり、全身の動きがわかりづらかったんですよね。
そこで、子供たちがEDだけを見て踊れるようにするために、EDにフルCGが導入されました。しかし予算がハンパじゃないし判例もない。そこで梅澤さんは、
「じゃあエンディングだけで商売できるようにします」
とハッタリを言ったそうです(!)。そして、2016年現在……その言葉の通りになっています。今や多くのダンスムービー集が発売され、ダンスなしのプリキュアは考えられません。
ちなみに「フレッシュプリキュア!」でダンスをテーマにすると決まった時に、前田さんへ話を持っていったのも梅澤プロデューサーだそうです。
■「ハートキャッチプリキュア!」…前期ED「ハートキャッチ☆パラダイス!」/後期ED「Tomorrow Song ~あしたのうた~」
おそらく前田健さん=プリキュアダンス振付師、を最も世に知らしめたであろうEDでしょう。フルCGでのED2作目ということで、だんだんとプリキュアダンスカルチャーが根付いてきた感もありました。
やはり印象的なのは「ハートキャッチ☆パラダイス!」の冒頭の動きでしょう。あれは存外に楽しいので、やったことがない人は人生で一度くらいやってみましょう。
また、CG技術が1年でこんなにも変わるのか!と驚かせてくれたのも本作ではないでしょうか? フレッシュのEDから1年でこんなに変わるのか!と。
後期EDではゆりさんが動いているというだけで感動していましたが、こうした「好きなキャラが完全に動いている」という感動はこの頃から感じるようになりました。ダンス以外の要素も意味を持ち始めたと言えます。
■「スイートプリキュア♪ 」…前期ED「ワンダフル↑パワフル↑ミュージック!!」/後期ED「♯キボウレインボウ♯」
この頃になると、もうキャラが普通に可愛い。ハトキャの頃はまだどこかマリオネットのような雰囲気がありましたが、スイートから一気に変わりました。
キャラクターのモデリングだけでなく背景やエフェクトが豪華になってきたのもその一端かもしれませんが、スイートが放送されていた2011年は「映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ! 世界をつなぐ☆虹色の花」も公開されています。この映画のEDCGも素晴らしく、個人的には今でもプリキュア映画の中で一番好きなEDです。
そして、後期EDからはキュアミューズがダンスに加わります。もう本当に可愛いったらないわけですよ、髪の毛もなびくし、表情もころころ変わるし、ウインクもするし。
カメラワークも前期に比べてかなり動くように、というよりステージや背景そのものが大きく変化するEDでした。ダンスもちゃんとわかるように見せつつ、EDアニメーションとしての演出が多様になってきたと言えそうです。ハトキャのゆりさんもそうなんですけど、追加プリキュアは必然的に目にする回数が少ないので、EDで動いてくれるのは本当にうれしいんですよね……見惚れるわ……。
■「スマイルプリキュア!」…前期ED「イェイ! イェイ! イェイ!」/後期ED「満開*スマイル!」
そして前田健さんが手がけた最後のEDダンス、スマイルへと続きます。特に前期EDは踊ってみた動画が流行ったきっかけの1つかもしれません。可愛いダンスを美人が踊れば、それはそれは間違いないのです。
スマイルというテーマを表現するかのような楽しげなダンスと音楽、あらためて見てみると、とても楽しい気持ちになります。やっぱり表情にフォーカスしてくれるとグっとくるものです。ライティングの変化による演出も良き雰囲気。
導入が5パターンあるのも印象的、というか驚きでした。往年の金田作画を彷彿とさせるハッピーの跳躍&着地、ギャップみを感じる表情のサニー、あざといさすがあざといピース、男気キャラではなく淑やかさを出してきたマーチ、どアタマのアップで多くの大友をやっつけたビューティ。素晴らしい。CGっぽさを感じさせない、手描きアニメ的な表現(トゥーンレンダリング)が強く感じられるようになったのもスマイルの大きな特徴。可愛さも表現する、ダンスもわかりやすく見せる。両方やらなくちゃいけないのがプリキュアダンスの大変なところってヤツでしょう。
2009年、フレッシュから始まったプリキュアダンスは脈々と受け継がれ、最新シリーズ「魔法つかいプリキュア!」もEDダンスが魅力的な作品になっています。素敵な、素敵すぎるダンスを手がけてくれた前田健さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
また、映画でしか見られなかった、劇場版OPEDが収録されたBlu-ray「映画プリキュアシリーズ オープニング&エンディングムービーコレクション」も今年1月に発売されました。まさしくこういうのがほしかった!という人も多いはず。
見ている人、踊っている人をウルトラハッピーな気分にするプリキュアダンス。本当に良いものです。
source: スマイルプリキュア! 公式サイト, YouTube1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, Amazon
(ヤマダユウス型)