野球バットは自然の素材である木でできています。そして木には固有の構造欠陥が存在するのです。もっとも有名な野球バッド素材のアッシュには細かい穴が木目(木の年輪によって色の違う輪の部分が木目)に沿って空いています。これらの小さな穴が弱点となり、バットが割れる要因となります。木目は垂直に与えられる衝撃には1番強いので、バット製造会社はロゴを木目に垂直に配置し、ロゴ面を上にしてバットを振るよう指導することで割れづらいようにしていました。
しかし、有名な野球選手バリー・ボンズさんがメイプル製のバットの人気に火をつけます。そしてこれとほぼ同時期にバットが割れることが多くなりました。メイプルはアッシュとは全く違った木目構造をしており、木目自体はほかの木と同様であるにもかかわらず、最も弱い点は木目ではなく、中心部から放射状に延びるように存在しています(薪を割るところ、もしくは古い木に中心から延びるヒビを想像するとよいでしょう)。選手たちは木目が垂直になっている同じ打面を使っているため、それらのメイプル製バットは驚くほど頻繁に木片へと姿を変えてしまうのです。
最近バット製造者たちはメイプル製のバットにつけるロゴを90度回転させるようになりました。これは、アッシュとは逆に、メイプルの弱点が木目に垂直に位置するためで、アッシュでは弱点となっていた木目と水平な面にボールが当たるほうがメイプルでは強いのです。また、木目がわかるようにハンドル部分に印をつけるようにしました。これによりバット割れは50%減り、選手やファンに木片が突き刺さるような危険も減りました。より安全に野球を楽しめるようになってめでたしめでたし。
source: Practical Engineering
Bryan Menegus - Gizmodo SPLOID[原文]
(abcxyz)