より面白い映画を作るためとはいえ……。
よりすごいシーンを作り上げたいから、観客が望んでいるから、よりリアルな映像を撮りたいからなどなど、映画の撮影現場ではさまざまな理由で俳優が体を張ります。中には無理難題、もしくは精神的苦痛を強いる場合も……。
そこで今回は、ScreenRantがまとめた「俳優が撮影で嫌な思いをした映画のシーン」の数々をご紹介します。一部に作品のネタバレがありますので、ご注意ください。
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」
予告編にも登場する、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャーズがヘリコプターを腕一本で止めるシーン。あれは演じたクリス・エヴァンスが、クレーンで吊るされたヘリコプターを実際に引っ張っているそうです。
監督の1人であるジョー・ルッソは「本作の中でもっともパワフルなショット」と自信たっぷりに語っています。クリスの盛り上がった腕筋は本物!
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
レイ役のデイジー・リドリーとフィン役のジョン・ボイエガがジャックーを全力で走るシーンには、想像を超える苦労があったそうです。
彼らはアブダビで行われるこのシーンの撮影のためにルームランナーで特訓していましたが、砂漠の砂を走るのは予想以上に困難だったとのこと。
リドリーはこのシーンに爆発が含まれていたことを感謝したとか。なぜなら、爆発があるとリテイクが数回で済むからです。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
本作の大半は砂漠でのカーチェイスのため、撮影がキャストとクルーに大きな負担だったのは想像に難くありません。
マックスを演じたトム・ハーディは、ジョージ・ミラー監督のビジョンをなかなか理解できず、ミラーとヒロインのシャーリーズ・セロンが「一緒に仕事がしづらい」とこぼすほど撮影中に荒れていたそうです。
しかし撮影が終わり、ファイナルの映像を見たハーディは、その素晴らしい出来栄えに感動。監督とセロンに自分の態度と作品に対する理解が足りなかったことを謝罪したそうです。
「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」
本作のキャストが口をそろえて「キツかった」と語るのは、下水道のシーン。撮影期間は3週間で、暑い下水道の中で、長身のリアム・ヘムズワースは体を伸ばして立つこともできなかったそうです。
また、彼らが着用していたコスチュームは水を吸収しやすい素材だったため、実に9キロの水の重さが加わっていたとのこと。
「シャイニング」
ウェンディ・トランス役を演じたシェリー・デュバルが階段を後ろ向きに登りながら、にじり寄る夫ジャック・トランスに向かってバットを振り回すシーン。
あのヒステリックにバットを振るシーンはなんと127回もリテイクしたそうです。有名な逸話ですが、鬼気迫る様子をリアルに撮るためにキューブリック監督があえてデュバルを追い込んだと言われています。
「ホビット 竜に奪われた王国」
レイクタウンのシーンでドワーフがタルの中に隠れますが、俳優たちは本物の魚にまみれることになったそうです。
オーリを演じたアダム・ブラウンは魚恐怖症のため、苦痛以外のなにものでもなかったとのこと。
「レヴェナント: 蘇えりし者」
本作では雪山に取り残された瀕死の男を演じた名優レオナルド・ディカプリオ。彼はあるシーンでバイソンの生レバーを食べたそうです。
ゼリーでできた偽のレバーの使用を断り、本物を食べることを提案したのは他でもないディカプリオ本人ですが、普段の彼はベジタリアン。飲み込むのに相当苦労したのは間違いないでしょう。「エクソシスト」
有名な嘔吐シーンはリンダ・ブレアにとっても、ジェイソン・ミラーにとってもしんどいものだったようです。
もともとブレアは豆でできた緑色の液体をミラーの胸部に吐きかける予定でしたが、誤って顔面にかけてしまいました。
劇中の驚いた顔は決して演技ではなくリアルなもの。また、撮影当時のリンダは大の野菜嫌いで、豆のスープを口にして実際に嘔吐してしまったのだとか。なお、ミラーはこの嘔吐を顔で受け止めることは幸運にもありませんでした。
「ジャンゴ 繋がれざる者」
サミュエル・L・ジャクソンとジェイミー・フォックスとレオナルド・ディカプリオが演じたディナーシーン。ディカプリオはこのシーンで差別用語を口にすることに抵抗を感じ、撮影を中断してしまうことがあったそうです。
そんなディカプリオにサミュエル・L・ジャクソンは「マザファッカ、これはたわいもないことだ」というイメージのまますぎるアドバイスをしたのだとか。吹っ切れたディカプリオは演技に集中できたそうです。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
デビッド・バウティスタが演じるドラックスはロナンに敗れ、黄色い液体の入ったプールで危うく溺れそうになるところをグルートに救出されますが、この時バウティスタは寒さのあまり、話すこともままならない状態だったそうです。
ドラックスの感情が見える重要なシーンの撮影の間、彼は凍えそうな寒さの中、服を着ることもできずに耐えていたとのこと。
「ブラック・スワン」
本作でナタリー・ポートマンとミラ・クニスは女性同士のセックスシーンを演じていますが、この撮影が大変だったそうです。
そのため撮影の前にテキーラを煽ったという噂がありましたが、クニスはこれを否定しています。
「死霊のはらわた」
リンダ役のベッツィ・ベイカーはゾンビを演じるために白いコンタクトレンズをつけていますが、これがとても不快な上に視界が遮断されてしまい、ほとんど何も見えない状態で演技したそうです。
つまり、リンダがアッシュを襲うシーンは、ベイカーが共演者のブルース・キャンベルがどこにいるのかを把握できない状態でナイフを振り上げていたということになります。
「X-MEN:デイズ・オブ・フューチャー・パスト」
本作の見所の1つであるクイックシルバーの動きをとらえたスローモーション・シーンは、3-D Phantomカメラを時速50マイルで移動させ、1秒3100フレームで撮ったそうです。
たった2分間のシーンですが、撮影に1カ月半を費やし、クイックシルバーを演じたエヴァン・ピーターズは本作のキャストの誰よりもセットへの滞在時間が長かったとのこと。
「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」
ニック・フロストはウェストハム・ユナイテッドFCの大ファンだったにもかかわらず、エドガー・ライト監督の案で、ブリストル・ローヴァーズFCのチームカラーの服を着させられたことを大変不快に感じたそうです。
「ギルバート・グレイプ」
巨漢の母親を恥じているギルバートを演じたジョニー・デップは、母親役のダーレン・ケイツを「打ち上げられたクジラ」と呼ぶことに罪悪感があったため、のちに謝罪したそうです。
ちなみに、ダーレンは極度の肥満体型を活かし、本作で女優デビューしました。
「ハンガー・ゲーム2」
ジェニファー・ローレンスとジョッシュ・ハッチャーソン、サム・クラフリンの3人はビーチで魚をむさぼるシーンで、本当に生の魚を食べたそうです。
刺身で食べられるほど新鮮なタイを使ったそうですが、魚が嫌いなキャスト、特にジェニファー・ローレンスにとっては非常につらい撮影になった様子。「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」
「失われたアーク」で本物の1万匹の蛇を用意したスピルバーグ監督ですが、シリーズ2作目の「魔宮の伝説」では5万匹のゴキブリと3万匹の甲虫を用意し、その多くを後の妻となるケイト・キャプショーの体に這わせました。
キャプショーはこのシーンの撮影の前にバリウム(Valium)を飲んで気持ちを落ち着かせる必要があったそうです。
「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」
フィニーズ・ヴァローラムを演じたテレンス・スタンプは、事務所からのプレッシャーとナタリー・ポートマンと仕事がしてみたいという興味から「ファントム・メナス」に出演したそうです。
しかし、いざ撮影の日がきてびっくり。現場にナタリー・ポートマンの姿はありません。ジョージ・ルーカス監督に確認するとレファレンスとして用意されていた紙切れを指差したのだとか。
当然ながらスタンプはこの撮影が面白くなく、のちに「俳優は俳優と一緒に仕事することを好むものだ」とコメントしています。
「バットマン」
昨今のバットマンのスーツは改良され、観客にとっても俳優にとってもハイテクになっているようですが、ティム・バートン版の「バットマン」の頃のスーツは驚くほど窮屈で、主演のマイケル・キートンは閉所恐怖を感じるほどだったそうです。
そんなスーツでアクションをする必要があったキートンは、計画的に、かつ計算して小さな動きでこなしたのだとか。
「スーサイド・スクワッド」
公開前の作品ですが、ジョーカー役のジャレッド・レトに関して、共演者から次のような話が出ています。
レトはオフの時に共演者に怪しげなギフトを送る、自分の撮影のために現場へやってきた時に休憩中であっても役を維持し続けるなど、現場に不穏なエネルギーをばらまいていたとのこと。
それはデヴィッド・エアー監督が他の共演者が苦痛を感じているのでは?と心配し、現場にセラピストを呼んだほどだったとか。
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(中川真知子)