まさか直接感染源を食べていたとは!
アフリカに滞在する研究者たちが、サルがコウモリを捕食しているところを初めて発見しました。かなり珍しい行動のようで、もしかしたら生息地が少なくなっていることが関係しているかもしれません。この「サルがコウモリを食べているという発見」で、エボラなどの危険な病気がどのように人間にまで広がってきたかの説明がつくことになりそうです。
アフリカのセルコピテクス属のサルは、環境に応じてなんでも食べる種といわれています。いろんな種類の果物や葉っぱを食べますが、ときにトカゲ、ヘビ、鳥やネズミも食べます。そして「EcoHealth」に発表された論文によると、コウモリを食べるのも好きなようです。
これは、コウモリからサルへの病原菌の新規経路を示唆していることになります。コウモリなどの哺乳類はエボラ出血熱やマールブルグ熱などの病気を運ぶ厄介な存在です。これまでの研究では、コウモリの唾液や排泄物がついた果物をサルが食べることで人獣共通感染症に接触し、それがいろんな動物を介してどんどん広がり、人間も感染したと考えられていました。つまり、サルがコウモリを捕食しているということは、サルとコウモリをつなげる、つまりサルが病原菌へとリーチする経路の理解がかわるかもしれないということですね。

フロリダ・アトランティック大学の研究チームは、6年半の間に13件のコウモリの捕食を目の当たりにしました。Gombe Hybrid Monkey ProjectのElizabeth Tapanesさん率いる研究チームは、サルがコウモリを捕食しているところを写真・映像に収めることに成功しました。
「このうち2件はケニアのカカメガ・フォレストで撮られたものです。木にぶら下がって寝ているコウモリをサルがつかみとって食べました。寝ているコウモリは簡単に捕食されてしまうのです」とTapanesさんは語っています。
今回目撃されたサルたちは、10分から長いときはまるまる1時間かけて1匹のコウモリを食べたそうです。コウモリの骨まで全部食べてしまったサルもいたとのこと。
「私たちの調査では、ナイジェリアのゴンベだけでなく、ケニアのカカメガでもセルコピテクス属のサルたちは、日和見的にコウモリを食べていることがわかりました」と話すのは共同著者でフロリダ・アトランティック大学人類学部のKate Detwilerさん。サルがコウモリを持続的に食べているということは、サルにとってコウモリは彼らの食べ物のレパートリーのなかでも、貴重なごちそうだということです。
このサルによるコウモリ捕食は、森林の端っこやプランテーション農園などで見られたため、サルたちの生息地が失われていることが発端となっているのかもしれません。「コウモリの生息域変化による影響は不明ですが、研究のメリットはありそうです。サルがコウモリを捕食しているというのは、サルの生息域変化が影響しているかもしれませんが、もしかすると人間が原因で起こった生息域変化かもしれません」とTapanesさんは話しています。もしかして、猛威を振るった恐怖のエボラの広がりはけっきょく私たち人間のせいだったんでしょうか。
images by Felix Angwella / Gombe Hybrid Monkey Project
source: EcoHealth
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
(リョウコ)