衆人環視の人格否定に心が折れましたと。
Bitcoin開発者、サトシ・ナカモトの正体をめぐるミステリーが急展開しました。オーストラリアの起業家Craig Wrightは、自分こそサトシ・ナカモトだと主張し、その証拠に「数日内にサトシ・ナカモトのBitcoinを移動してみせる」と言っていました。が、それから2日ほどしか経たないうちに、やっぱりそれはできないとして引き下がってしまったんです。5月5日朝(現地時間)、Wrightは自身のWebサイトに下のメッセージだけ残して、これまでの内容はすべて削除してしまいました。

すみません。私は、自分にはできると思っていました。匿名で隠れ続けた年月を終えることができると。しかし今週いろいろなことがあり、最初期のキーにアクセスできるという証拠を公開すべく準備していく中で、私は心が折れてしまいました。私には勇気がありません。勇気が持てません。
今回の噂が出始めると、私の能力や人格が攻撃されるようになりました。ある情報が間違いだとわかれば、また新たな情報がすでに出回っていました。私は、自分がこの状況に耐えられるほど強くないことがわかりました。
この私の弱さによって、私を支持してくれた人、特にJon MatonisとGavin Andresenに大きな損失を与えることがわかっています。私の行為によって、彼らの名誉と信用が回復不可能なほどに影響を受けないことを願います。彼らがだまされたわけではありませんが、世間はそうは思わないでしょう。私はただ、すまないと言うしかありません。
そして、さようならと。
米GizmodoとWiredでは、リークされたメールや金融関係の記録から、WrightがBitcoin開発者なのか、それともそのフリをしているだけなのか、並行して調査してきました。
その調査の後でWrightは姿を消していましたが、今週再び、自分がサトシ・ナカモトだという証拠を提示できると言って復活してきたのです。真のBitcoin開発者であれば、その身元を証明するファイルにデジタル署名できるはず…ということで、Wrightは今週、自分のWebサイトでその証拠を公開しました(現在は削除)。でもその内容は即座に精査され、証拠になりえないとしてバッサリ否定されてしまいました。
そこでWrightは、サトシ・ナカモトの初期のBitcoinを動かすことで決着をつけると言っていたんです。でも今結局、彼はそれをあきらめてしまいました。
これはどう考えればいいんでしょうね…。彼は本当にサトシ・ナカモトで、でもその証明をこれ以上がんばっても人格否定されるだけだと思って手を引いたんでしょうか? それともやっぱりサトシ・ナカモトとは別人で、彼のBitcoinを動かすことなんて最初からできなかったんでしょうか? 米Gizmodoでは、Wrightを支持していたGavin AndresenとJon Matonisにコメントを求めましたが、この記事の翻訳時点でまだ回答がありません。うーん。
source: Craig Wright
William Turton - Gizmodo US[原文]
(miho)