iPhone 3Gが登場したのが2008年。それ以来、iPhoneは世界でもっとも普及しているガジェットであり、2年おきにiPhone 4,5,6と、デザインを一新してメジャーバージョンアップを続けてきました。でもついに今年は、2年おきのアップデートサイクルが終わるかもしれません。
「iPhone 7」は大きく変わらない
日経新聞は、iPhoneの大幅なモデル更新の周期が事実上1年延びる見通しであると報じています。その背景は、スマートフォンの機能の成熟化。今年の秋にメジャーバージョンアップするiPhoneに期待を寄せるガジェット信者にとっては残念な話ですが、今後の長期的な視点で考えれば、この方針は理にかなっているでしょう。
全面ガラスのボディになる(良いか悪いかはさておき)とか、第二世代の3Dタッチ機能になるとか、iPhoneで初めて有機ELディスプレイになるとか、そんな大きなアップデートの噂は、サプライヤーや「噂評論家」によると、2017年のモデル(iPhone 7sって仮に呼ばれているけど)に搭載されると言われています。
つまり、2016年のiPhoneは、2年前にデビューしたiPhone 6シリーズのデザインと大きく変わらないということです。ただ、次期モデルのiPhoneでは、3.5mmのオーディオジャックが無くなるという噂があったり、iPhone 7(この呼称も未定だけど)には、スマートコネクタが搭載されて、フットプリントが少し薄くなり、アンテナも改良されるようです。
また、アップルは「iPhone 7にしては弱い」と思われることを避けるために、マーケティング的な理由で「Pro」モデルを投入すると思われます。この新しいiPhone Proは、アップルの秋のイベントのメインになるでしょう。
iPhoneを見直すときがきた
iPhoneの市場がこうやって揺さぶられるのは、今となっては驚くものではありません。すでに、小さな手にも優しいiPhone SEを今年の3月にリリースしたことにより、これまでのiPhoneのアップデートサイクルは打ち壊されました。過去10年弱にわたるiPhoneの爆発的人気の熱から冷め、アップルは冷静になってきているようです。
今までスマートフォンは1年おきにリニューアルされ、より良いディスプレイ、より良いカメラなど、便利な機能を搭載し続けて急速に進化してきました。しかし、LGのG5やグーグルのProject Ara、そしてMoto Xのように、VRヘッドセットやモジュラー構造の電話など、最近の新しいスマートフォンのコンセプトは、よりギミックを駆使した方向に転換しつつあります。
アップルが、iPhone 10周年を迎える2017年を機に、iPhoneというものを見直したいというのはわかる気がするのです。アップルは常に新しい市場を求め続けていました。2009年後半まで、中国ではiPhoneが買えませんでした。しかし、今のグローバル市場はスマートフォンで飽和しています。中国でもiPhoneはもはや「クール」なものではなくなりつつあります。
それに、人々は1-2年おきに700ドルもする新しいiPhoneを購入する理由がなくなってきています(アメリカでやっている、毎年最新のiPhoneに切り替えられるアップグレードプログラムに入っていない限り)。2013-2014年のユーザーのスマートフォンの買い替えサイクルは24カ月でしたが、今では29カ月。普通の人が2年以上おいてスマートフォンを買い換えるのに、アップルはなぜ時代遅れの(1年おきの)アップグレードサイクルにリソースを投下する必要があるのでしょう? そういうことです。
もちろん、iPhone(そして他のスマートフォン)は、私たちの生活においてもっとも重要なガジェットであり続けるでしょう。アップルは、世界中に愛される素晴らしいデバイスを作り続けるはずだし、これまで巨大な潮流にの中でしのぎを削ってきた電話メーカーは、少しずつ進化の歩みをゆっくりにしていくのでしょうね。
source:日経新聞
Darren Orf - Gizmodo US[原文]
(mayumine)