Apple、Google、Facebook、Amazon、4社合わせて四天王(Gang of Four)。
影響力のすさまじさから「Four Horsemen(ヨハネの黙示録の四騎士)」とも畏怖されるわけですが、ニューヨーク大学スターンビジネススクールのScott Galloway教授が今年1月にDLD国際カンファレンスで行なったプレゼンを見て、その巨大さに改めて驚いてしまいました。
まず時価総額ですが、こちらはGoogleを他社と比べたものです。この右のほうの赤いちーーーっこいのが、日本のメディアを支配しているとされる電通ですよ。
Appleは去年の「増収」分だけで、右の大手ブランドの前年の「年商」を全部合わせた金額になりました。

Facebookの広告収入は、たった5年で米国内雑誌広告収入の総額を抜いてしまってます。今やGoogleとFacebookで世界モバイル広告収入の過半数を支配しています。

Amazonは去年、時価総額でウォルマートを抜いて小売企業として世界首位になりました。成長の秘密は、ご覧のように利益をビタ一文出さない(=投資に回す)タイトな成長戦略にあります。

利益はヘロインのようなもので、一度でも出すと投資家は中毒になり、黒字が出ない決算発表があるとすぐ焦って株を売ってしまうのだとか。その点、Amazonは毎回ゼロで帳尻合わせてくる「最もブレがない会社」とのことです。
今の時代を画する製品はスマホですが、その世界全体の利益のなんと92%はAppleが独占しています。

あの失敗作とされるApple Watchですら、Samsungが74%を独占していたスマートウォッチ世界市場を一夜にして奪ってしまいました。競合他社は軒並み株価が下落し、影響は老舗の時計業界にも及んでます。

こちらはApple、Google、Facebook、Amazonの時価総額を各国のGDPと比べた図。

Apple = フィンランド + アイルランド
Facebook = ベラルーシ + チェコ
Google = デンマーク + ラトビア + ウクライナ
これに中国の巨龍、Alibaba Groupを加えると5社でロシアのGDPに匹敵します。
Apple + Google + Facebook + Amazon + Alibaba = ロシア
これだけの影響力を持っているのに、税金は国には還元されてないと教授はこぼし、Appleの納税スキームの図を見せてますけどね…。

FacebookはGoogleから広告のシェアを少しずつ奪い始めている上に、これから黒字転換しそうな金の卵がまだ3つも残ってます(Instagram、WhatsApp、Oculus Rift)。うちインスタは「テック史上最高の買収」とされます。なぜかは下のグラフを見ると一目瞭然かと…。

事業費に占めるR&D費用(研究開発費)の割合でもFacebookは突出しており、ハイテク業界でこれだけ研究開発に投じる企業はほかにないそうですよ?

このペースでユーザーと利益を増やしていけば、2018年にはFacebookは1兆ドル企業です。Amazonは米メイシーズと仏カルフールを買収すれば1兆ドル企業、Googleは異業種に進出すれば1兆ドル企業(この辺はだんだん予想がテキトーになってる)。

Appleに足りないものは、ミッションです。Facebookは「世界をつなぐ」、Amazonは「世界一デカい店」、Googleは「情報を整理する」。とってもシンプルでわかりやすい。投資も評価もしやすい。アップルはそこを絞り込んで、EV/EBITDA倍率を12に持っていければ1兆ドルにゴールゥゥ!とのことですよ。

プレゼンの冒頭では、「去年Amazonの価値なんて落ちるだけだと予言した途端こうなったので、先のことは誰にもわからないよね」と釘をさしていますけどね。

この最後に言及された1兆ドルレース。以前は「アップルが史上初の1兆ドル企業になる」と信じられていましたが、カール・アイカーンが今年アップル株を手放したことで、最初に超えるのはFacebookかAmazonか、自走車のGoogleかという混戦状態になってます。
Appleはサブスクリプションモデル強化で、SaaSならぬAaaSになれたらゴール、という声もチラホラ…。この辺りもWWDCでは注目していきまひょ~。
source: Gang of Four
(satomi)