マンハッタンの倉庫でストリップダンサーたちと120cmもある氷でできたペニスの彫刻に囲まれた100人ほどの人々に、チャーリー・シーン(訳注: 「プラトーン」、「ウォール街」などで知られる俳優、HIVに感染している)が語り掛けます。これはLELO社のHEXコンドームのローンチパーティー。
セックストイを売る会社LELOの宣伝を真に受けるなら、コンドームはここ70年間進化していないそう。この新たなHEXでは、ハニカム状のパターンでコンドームをより安全で魅力的なものにしてくれるそうです。
高潔な目標ですが、有名人による宣伝と褒めたたえるメディアを除いて、コンビニで売っているコンドームの代わりにこれを買う理由は何でしょう?
ハニカム構造はほんとうに安全か
普通のコンドームとHEXとの明らかな違いは、ハニカム状の構造でしょう。LELOによれば、それぞれの六角形のセルは破損してもセルごとに壊れるため、コンドーム全体が壊れることはないそうです。
ローンチパーティーでは「スウェーデンのセックス研究所の卒業生」(それがどういう意味かはわかりませんけど)だという男が楽し気に、引き延ばされたHEXにピンで穴をあけていきました。これがハニカム構造の安全性と、HEXがより耐久性のあるコンドームであることを示しているんだそう。
とはいえ、穴の開いたコンドームは穴の開いたコンドーム。ピン男も、もしハニカムセルが壊れていたら普通のコンドームのように望まない妊娠や性感染症につながることがあると語りました。じゃあHEXはより安全なコンドームといえるでしょうか? たぶんそうは言えないでしょう。
つけ心地
それに、ほかのコンドームよりもつけ心地がよさそうというわけでもありません。
LELOはこのハニカムは「グラフェンにインスパイアされた」、「フォーミュラ1のウェットタイヤ」だと語っています。ウェットタイヤの溝が強いグリップ力を持つのと同じく、HEXはペニスにしっかりグリップし、普通のコンドームよりフィットするんだそうですが。どんなもんでしょ。
LELOはHEXの薄さも売りにしています。確かに0.055mmは分厚くはないので、感覚を吸収してしまうペニスのレインコート、とは言えないでしょう。でも0.02mmのコンドームだってすでに存在するんです。
ピン男はHEXのスタイリッシュなパッケージを「アップルストアのヘッドフォン」のようだと例えていました。クールな人なら欲しくなる、というのでしょうか。でも36個入りで35ドル(約3,700円*)というのは、確かにアップルのヘッドフォンのように値段が高すぎるでしょう。例えばTrojansブランドのコンドームならAmazonで40個入りでたったの17ドル(約1,800円)です。
*訳注:日本語公式サイトでのクラウドファンディング風予約販売価格はこれとは少し違う。クラウドファンディング風なのはIndieGoGoでもキャンペーンを行なっているからのよう。イノベーション?
ピン男はHEXは装着すると「respect」(尊敬)という単語がラテックスに浮彫プリントされているのを見せようとしてきました。「尊敬って何を?」と聞くと、即興で返ってきた答えは「これをつける男を尊敬しろってことさ」。
ローンチパーティーではハニカム構造に取りつかれたような雰囲気でしたが、装着しても「ハチの巣状のペニス」というわけにはならず、つけるとそれぞれの六角形のセルは目立たなくなるよう。
つまり、LELLO HEXは安全でも安いわけでも薄いわけでも気持ちいいわけでも見た目が美しいわけでもなさそう。もっと平凡なコンドームのイノベーション(色、テクスチャ、味、とか)とは違うことをアピールしたいようですが、HEXは結局ただのギミックにすぎませんでした。
安全なセックスは重要ですし、すべての人がコンドームをつけるべきです。でもこれにしなくったっていいでしょう。
image by LELO
source: LELO
Bryan Menegus - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)