まだまだ地球は救える!
冷却材やエアゾールのフロンガスが、南極上空のオゾン層の破壊へとつながっているとして、その使用禁止に世界が合意したのは30年ほど前になります。毎年秋になると、ぽっかりとオゾン層に大きな穴が開いていることが観測され、2300万平方キロメートルにもおよぶ巨大なオゾンホールが見つかったことさえありましたが…。
このほどScienceに掲載された最新の調査結果によると「オゾン層の穴が縮まってきている」ことが確認されたそうですよ。
1980年代から、毎年のようにオゾン層に穴が開いてしまう現象が観測されてきたものの、オゾン層を破壊する塩素の化学反応は、日光、気温、成層圏を覆う雲の影響などで、微妙に強まったり弱まったりするため、年ごとにオゾンホールの大きさは異なります。火山活動が活発な年は、エアゾールの放出によるオゾン層の破壊が進む傾向もあるみたいですね。


とはいえ、2000年以降のオゾンホールを比較検証した結果、9月に開いてしまうオゾン層の穴は、徐々に縮まり始めたと発表されています。オゾンホールの出現時期が年を追うごとに遅くなっており、平均すると過去15年間で450万平方キロメートルもオゾンホールが狭まっているんだとか。このままいけば、今世紀半ばにはオゾンホールが完全にふさがる可能性も高いそうですよ。
これは非常に重要なステップです。多くの人々は、環境破壊の話には悲しいエンディングしかないと考えていることでしょう。でも、今回は完全な回復へと向かいそうです。まだ時間はかかりますけど。
今回の調査結果をNASAで客観的に分析したSusan Strahanさんは、まだオゾン層の回復を宣言するのは時期尚早としつつも、このようなコメントを出しています。
これは、オゾン層の破壊を引き起こすクロロフルオロカーボン(CFC)の分解速度は一定ではなく、数十年にもわたって大気中を漂っている場合もあるためです。でも、多くの科学者が2060年頃までにはオゾンホールが完全にふさがるだろうとの予測で、意見の一致をみているようです。
人類は、カナダのモントリオールでフロンガスの使用撤廃に合意した後も、京都やパリなどに世界の首脳たちが度々集い合っては環境保護対策を協議してきました。悲観的な見通しばかりが流れていますけど、今回のように人間の努力が環境保護で大きな実を結ぶこともあるというニュースは、なんだか元気づけられますよね。
この調子で、排出ガスの問題も解消に向かえばいいのにな~。
image by NASA/Goddard Space Flight Center
source: Science
Maddie Stone - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)