孫正義社長にとって、もっともエキサイティングな日とのこと。
ソフトバンクは、イギリスの半導体大手企業、ARMを買収すると発表しました。その金額、なんと240億ポンド(約3兆3000億円)。これは、同社が2006年に行なったVodafoneの買収金額、1兆7500億円の倍近い金額です。ARMは、イギリスはケンブリッジに本社を構える企業。元々はAppleなどが出資して創業されました。主にスマートフォンのプロセッサを手がけていますが、ライバルとなるインテルなどとは違って製造は行なわず、設計や特許で利益を上げています。
彼らの顧客には、AppleやSamsung、ソニー・エリクソンやQualcommなど名だたる企業が並び、そのシェアは、iPhoneとAndroidをあわせ、世界のスマホの97%を誇ります。
しかし孫さん、もといソフトバンクは、なぜこれほど大きな賭けに出たのでしょうか。
18日に孫社長が行なった記者会見によると、今回の買収の主な目的は「IoT」。電化製品、車、家など、とにかくあらゆるものがインターネットに繋がることで生活が便利になり、今までできなかったことが可能になる社会です。
孫社長はここに大きなビジネスチャンスを見出し、「IoTは人類史上もっとも大きなパラダイムシフトになる」とまで発言しています。
買収金額は、手持ちのキャッシュと、Supercellやガンホーの売却益で賄うとしている同社。はたして、ソフトバンクが次に賭けるのはIoTなのか、それともその2社のように、価値が高まった頃に売却することが目的なのか。
思い返せば、ARMにとってのライバルであるIntelが、大規模な人員削減に伴いスマートフォン向けチップセットから撤退したのは今年の4月。またご存知のとおり、現在はイギリスのEU離脱によるボンド安の真っ最中です。
今回の買収交渉も、わずか2週間で決めたというソフトバンク。投資家としての孫社長の眼力は、相変わらず鋭いようですよ。
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(渡邊徹則)