これまでエルフ、レインボー、ブラック・サバスといったバンドを渡り歩き、自身の名前を冠したバンドDIOでも大成功したヴォーカリストのロニー・ジェイムス・ディオ。
2010年に享年67歳にてこの世を去った彼が、このたびヘヴィメタル・イベントのステージ上にホログラムとしてよみがえり、自らの曲を披露しました。
Metal Injectionによりますと、これはドイツで開催されたメタル・フェス「ヴァッケン・オープン・エア」での出来事。登壇した元DIOのメンバーたちが作ったバンド、Dio Disciplesの演奏に合わせ、過去の映像を基にホログラム化されたディオが歌ったのでした。
まるでR2-D2に映し出されたレイア姫のような話ですよね。これを具現化させたのはニューヨークのEyellusion LLC社。通常のコンサート会場でライヴ・バンドとホログラムとが共演したのは初めての試みだったそうです。
以下は、METALEROSとJulián Rodríguezが公開した実際の映像。
社長はこのようにコメントしています。
私たちはステージ上で上下する照明や爆音で鳴るアンプ、燃え上がる火炎で舞台が見えなくなる状態など、バンドのパフォーマンスによる興奮やエネルギーを巧く捉えることができるよう、ひとつずつ丹念にホログラムを作り、ファンの方々に全く新しい音楽体験をお届けしています。
ディオの妻にしてDio Disciplesのマネージャー/プロデューサーのウェンディー・ディオも、以下のようにコメントしています。
Eyellusionと一緒であれば、ロニーの音楽を思い出が詰まった、そして彼がいるべき舞台に戻してあげることができるんです。世界中のロニーのファンたちに、この経験を分かち合って欲しいと願っています。
この技術がさらに革新的なのは、ストリーミング再生により複数箇所で同時にひとつのホログラムを投射できる点。これなら世界規模でいくつものコンサートが同時開催できてしまうんです。工夫次第では新しい会場の設置や、それに伴うマーケットの開拓などビジネス面でも次世代の展開が望めそうですよね。
そしてウェンディーはこう付け加えます。
音楽の経済は変化しており、ツアーはこれまでよりもっと重要になってきています。世界的に愛されているバンドがツアーに出ても身一つでは限度があります。時差なく各地のニーズに合わせ、ファンたちに発信して行くためEyellusionは日夜努力を重ねているのです。
ホログラムのロニーが歌うDio Disciplesのツアーは2017年に世界中を周ります。果たしてこの新技術がファンたちに受け入れられるのか? そして音楽界がこれを迎え入れるのか? 今後の動向が気になりますね。
image by Metal Injection
source: YouTube1, 2 via Metal Injection1, 2
(岡本玄介)