スマートフォン全盛時代。みんなガラケーなんて捨て去って、さらには、腕時計までスマートになってきてますね。スマートウォッチ、およそ5cm四方程度にテクノロジーがぎゅぎゅっと詰め込まれたウェアラブルデバイス...。
ギズモード編集部に身を置く者として、スマートウォッチほしいなあ…とは思います。でも、正直なところスマホがあれば事足りると思っている自分もいるんです。スマートウォッチを身につけたらライフスタイルはどんな風に変わるんだろう。
ソニーが率いる新規事業創出プロジェクトのひとつとして2015年に生まれた「wena wrist」。同じくソニーが運営しているクラウドファンディングサイトFirst Flightで募集したところ、あっという間に目標金額を達成したプロダクトです。さらには、CEATEC JAPAN 2015でもソーシャルイノベーション部門で準グランプリを獲得し、とうとう今年の6月に正式販売が開始されました。

そんな「wena wrist」をお借りして、約1週間試してみました。あ、冒頭でお気付きの方もいるかとは思いますが、ワタクシ、これがスマートウォッチ初体験です。
ギズモードでは、Apple WatchやPebbleなど数々のスマートウォッチを取り上げていますが、恥ずかしながら個人的には使ったことがなかったのですよね。スマートウォッチ初心者の視点で、wena wristの使用感を書いていきたいと思います。
スマートウォッチ初心者のトライオン 1日目

僕が試したのは、黒のクロノグラフモデル。ご存知の方もいるとは思いますが、wena wristはスマートウォッチでありながら盤面はアナログです。
スマートウォッチといえばApple Watchのようなデジタルディスプレイを想像していたので、イレギュラーなデザインに、ちょっと驚きつつも、かっこいいなあなんて思いました。まずはオフィシャルサイトを覗いてみることに。
トップページにあったこのティザー動画。ひいき目でみても、僕のライフスタイルはこんなオシャレなものではないですが、やっぱりいいなって思っちゃいましたね。そして、wena wristのコンセプト「wear electronics naturally」という言葉を見て、なるほど! 「テクノロジーをもっと自然に、身につけたい」というポリシーに基づいて作られているんですね。
さて、早速着けてみて、その第一印象はというと、「重い」。
2日目、3日目、スマートウォッチ生活開始

普段、僕が着けていたのは軽量のデジタル腕時計、カシオのDATA BANKシリーズ。一方のwena wristの盤面はアナログ時計です。ヘッド部分はアナログ時計として独立していて、バンド部分にデジタル機能が備わっているのです。ヘッド部分、バンド部分ともにステンレス鋼材を使用していることもあり、それなりの重量があります。第一印象で重い、と感じたのはそのためでした。
それもあってか、最初の使用感は高級なアナログ時計を着けているような感覚が強かったです。しかし、バンド部分のデジタル機能を試してみたら、その感覚も変わっていきます。
wena wristはスマホアプリの「wena」を利用し、Bluetoothでスマホとペアリングすることで利用が拡張します。wena wristにはデジタルディスプレイがないため、基本的にアプリ画面を見ながら操作していくのかな、となんとなく感じていました。

動画にもありましたが、wena wrist(のバンド部分)で使える機能は主に3つ。「通知機能」と「アクティビティーログ機能」、そして「電子マネー機能」。各機能の設定はアプリ上でできます。作業をしながら使える機能として、まずは通知機能を試してみることに。

wenaのアプリ画面では、スマホ内にたくさんあるアプリのなかからwena wristに通知が届くものをカスタムで選びます。設定画面にはこのようにプリセットでアプリの名前がずらりと並び、FacebookとTwitterとGmailとLINEと...といった具合に、ワンタッチで通知するアプリを選べるという仕組み。

wenaの通知はバンド部分のカラーライトの点滅とバイブレーションによって確認できます。ライトはアプリごとに色分けができるので、例えばFacebookは青、Gmailは赤、LINEは緑といった具合に割り当てることが可能。さらに、同じ色に設定しても、バイブレーションの回数によって振り分けられるので、通知を登録できるアプリは案外多いんです。
各アプリの通知設定を覚えるのが大変かな、なんて思いましたが、実際なんの苦もなくすぐに慣れてしまいました。
デジタルディスプレイがないので当然メッセージのプレビューはできませんが、僕個人としてはその点はまったく不自由とも思いませんでした。というのも、僕にとって重要なのは左手に着けたデバイスで通知をプレビューすることではなく、その通知がどの通知なのかということだからです。
例えば、仕事中では、Gmail(赤)なら仕事のことだからすぐ確認、LINE(緑)なら私用なので一旦スルー。iPhoneのバイブレーションだけでは確認できないところを確認できるだけでとても便利。これは僕がスマートウォッチ初心者だからかもしれませんが、それだけの最低限の情報がわかればいいんです。そこがライフスタイルのなかで大きな価値となります。
4日目、5日目、初めての充電

「アクティビティーログ機能」は1日の目標が1万歩に設定されています。この機能の存在は僕に、「自分が普段いかに運動していないか」の再確認をさせてくれるものでした。IT産業従事者として働かせていただいている僕は、デスクワークに時間を割かれ、いい具合に慢性的な運動不足の毎日を過ごしているわけです。とはいえ、やっぱり1日どれくらい歩いたか、を見るのは面白い。

このアクティビティーも休日になると急変します。1日どれくらい歩くのかの基準もわかりませんが、ログに残った数字を見て、外出するとこんなに歩いているんだな、と。そして休日のLINE(私用)の連絡の多さったら...。

4日目が終わるころ、5日目になるころに初めて充電をしました。使用開始からおよそ5日間フル稼働して、通知もバンバンと鳴っていたことを考えると、この充電の持ちは素晴らしい。
充電はバンド部分を専用のクリップで挟み、ケーブルでつなぐだけ。ケーブルの先はUSB端子になっているので、ACアダプターをつけずにそのままPCにつないで充電するのも可能。
僕はPCで海外ドラマを見ながら、wena wristをつないで優雅に充電しました。
6日目、最終日に電子マネー機能

wena wristの機能の肝ともいっていい「電子マネー機能」。スマホアプリの「おサイフリンク」で設定することで、決済機能を使えます。
FeliCaの登録に時間がかかってしまうため、この機能を使えたのは1日程度でした。でも、本当に、いや、もうびっくりとしか言いようがないくらい便利! RFIDでの決済はSuicaやPASMOで行なっていますが、左手首をかざすだけで行なえるこの便利さは圧倒的でした。
さらに、おサイフリンクでのお金のチャージも簡単に行なえます。残高照会や使用履歴などもすぐに見られるのもいいところ。スマートウォッチと電子マネー決済という組み合わせ、「待ってました!」と思うと同時に、「なんでいままでなかったんだ!」というくらいマッチしていました。
短い期間でしたが、僕のスマートウォッチ初体験はワクワクの連続でした。そして、改めてwena wristのポリシー「テクノロジーをもっと自然に、身につけたい」ということが印象深く残りました。暮らしのサイクルをより便利にすることはもちろん、それまでのサイクルを変にじゃましたり、手間が格段に増えたり、ということもない。
ヘッド部分に収まるアナログ時計が示すように、wena wristは「テクノロジー搭載の腕時計」としての立場を貫いています。本来の意味でのスマートウォッチが「腕時計型ウェアラブルコンピュータ」であることを考えると、その違いは大きいかもしれないですね。
テクノロジーとライフスタイルをつなぐちょうどいい位置にwena wristは存在しているのかな、と思いました。最後に、wena wristを外して約1週間ぶりにDATABANKを着けた左手首は、その軽さに違和感を感じるほどでした。それくらいwena wristに慣れていたんだな、と。
source: wena, First Flight
(横山浩暉)