30年以上前からIoT社会を予見。世界を席巻した国産OS「TRON」を開発した坂村教授の物語

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30年以上前からIoT社会を予見。世界を席巻した国産OS「TRON」を開発した坂村教授の物語

日本が誇る偉大なコンピュータ・アーキテクトです。

現在、テック界隈で最もバズなキーワードの1つがInternet Of Thing(IoT)。ギズモードでもこれまで、さまざまな話題を取り上げてきました。

しかし遡ること30数年。まだGoogleもYahoo!もない、インターネットすら一般化していなかった頃に、このIoT社会を目指していた日本人がいたことをご存知でしょうか。

その人こそが、東京大学大学院の坂村健教授。教授は、ほとんどのフィーチャーフォン(ガラケー)や、小惑星探査機「はやぶさ2」の制御システムなどに使われている国産組み込み用OS、「TRON」の生みの親なのです。

2015年には、世界最古の国際機関でもあるITU(国際電気通信連合)から、世界の情報技術発展の貢献者として、ビル・ゲイツを含む6人のうちの1人にも選ばれたという坂村教授のロングインタビューが、IBMのWebメディア、無限大(mugendai)に掲載されていました。

コンピュータ、ネットワーク激動の時代を生き抜いた坂村教授の経験、未来の日本産業への提言など、何とも読み応えのある内容となっていましたよ。

IoTの先駆け。愛称は「どこでもコンピュータ」

坂村教授は当初、TRONを「HFDS:Highly Functionally Distributed System(=超機能分散システム)」と名づける一方、分かりやすく「どこでもコンピュータ」という愛称も付けていたそうで、まさに今のIoTの概念に通ずるものがありますよね。

当時から「組み込みシステムが目や耳となって、現実の世界の状況を情報として検知する。データをネット経由で受けた大型情報システムが状況を判断して最適制御を決める」未来を想定していたそうで、その彗眼には驚かされます。

スマートフォン時代の到来。ガラケー敗北の理由とは

しかしご存知の通り、スマートフォンの普及によって、携帯電話のOSiOSAndroidにほぼ独占され、TRONはそこに食い込むことができませんでした。その話題についても、坂村教授は以下のように語っています。

スマートフォンで日本が失敗したのは、ケータイでの成功体験から抜け出せなかったからです。ケータイ時代、主導権はキャリアが握っていましたが、スマートフォン時代にはOSメーカーに移りました。それに対応できないうちに、日本は海外勢にあっというまに追い抜かれたのです。日本の技術力が衰えたとか、頭脳が明晰でなくなったわけではありません。

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その他にも「一度失敗したくらいで諦めるな」といった、坂村教授の熱く力強いメッセージは、無限大(mugendai)でお楽しみください。明日からまた頑張ろう! なんて気持ちになれること間違いなしですよ。

source: 無限大(mugendai)

(渡邊徹則)