お逝きなさい。PlayStation VRは「天国」と「地獄」をこの世に作り上げた

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    お逝きなさい。PlayStation VRは「天国」と「地獄」をこの世に作り上げた

    2016年7月8日の記事を再掲載しています。

    あなたの行く末はVR次第。

    先日行なわれた、世界最大級のゲームショウ「E3 2016」。VRファンのみならず、世界中のゲームファンが熱狂する発表があったのを覚えていますか? そう、ソニーのカンファレンスにてPlayStation VR(PS VR)」の発売日が発表されましたよね。

    興奮冷めやらぬギズモードは、ソニーが開催しているメディア向けのPS VR体験会に参加してきました。

    体験してみて一番驚いたのはコンテンツのジャンルの幅広さ。PS VRのコンテンツは、良くも悪くも嘘みたいな現実が待ち構えています。

    だって目の前に「今まで女の子に相手にされなかった僕が、女の子と2人きり…」=天国の風景、そして「逃げも隠れもできない恐怖の世界に1人っきり…」=地獄の風景が広がるんですから。

    そこで、どのコンテンツが天国で、どのコンテンツが地獄か分けてみました。VR内で女の子と交流できて現実世界への未練がなくなると話題の「サマーレッスン(仮)」や、「バイオハザード7 レジデント イービル」の前日譚となるコンテンツも体験してきましたよ。

    ***

    天国

    世界中の男たちよ、「サマーレッスン(仮)」で失われた青春を取り戻せ!

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    ある夏、家庭教師になった主人公が生徒の女の子と交流していくゲーム「サマーレッスン(仮)」。コントローラーは必要なく、頭の動きだけでプレイが可能です。

    ゲームが始まると、目の前はある女の子の部屋に。窓の外に目をやると、海が見え、電車が走る音が聞こえます。すると後ろから足音が近づいてきて…振り返るとそこには、正統派清純系女子高生の姿が…! 早速、女の子は勉強を教えてと、身を寄せてきます。

    悲しいことに、初めて自分に対してこんなに親しげな女の子と出会いました。プレイ中、自分が過剰に近づくと、女の子はちゃんとのけぞります。これは、いろんな意味でとてもリアルでしたね。ただ、女の子にそこまで嫌われることはありません。これを日本では天国と言います。

    また、女の子と目があってない時には、ちゃんと「話聞いてるの?」って語りかけてきます。なので、毎回ゲームをするたびに女の子の反応が変わるんです。これはもう生きてると言っていいでしょう。

    さらに没入感が欲しい方は、友達にかつらと香水を用意してもらって、女の子に近づいた瞬間にかつらをサッと、香水をシュッとして貰えばもう現実に帰らないことを決心すると思います。友達に見られたくない人は1人でカツラと香水を持ってやってもいいですが、お母さんに見つからないようにしましょう。

    FINAL FANTASYがファンタジーじゃなく現実になる「FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE」

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    (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

    1987年から続く国民的RPGシリーズの最新作「FINAL FANTASY XV」に、VR版が登場します。その名も「FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE」。

    「FF XV」の主人公ノクティスの親友であり、銃を武器に戦うプロンプト・アージェンダムになって、PlayStation Moveを片手に敵を倒していくシューティングゲームです。

    今回の体験版ではプロンプトの何倍も大きな身体を持つモンスター「ベヒーモス」を相手に戦いました。

    プレイした感覚は、まさにゲームセンターにあるガンシューティングゲームを現実世界でしているようでした。巨大なモンスターが尻尾で攻撃してきたり、顔を間近まで近づけてくるときの迫力は抜群です。

    FINAL FANTASYシリーズは作品ごとに戦闘システムが変わりますが、今作の「VRで戦う」という戦闘システムが今までで一番大きな変更かもしれません。ただシューティングが中心で、VRゲームとしてはそこまで真新しさは感じなかったので、製品版でのゲーム性がどのようなものになるのかは気になるところです。

    ゲームの最後にはおまけコンテンツもあり、ショートカットの女性キャラクターのシドニー・オールムとのドライブを体験できます。これがオープンカーでのドライブでとても気持ちよく、車から身を乗り出したり、座席の上に立つこともできました。ただ悲劇的にも、ドライブを満喫していたら誤って何かのボタンを押してしまい、一瞬でドライブが終了。世界が虚しさに包まれました…。

    地獄

    「バットマン:アーカム VR」はアクションではない、れっきとした犯罪捜査だ

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    バットマン:アーカム VR」はDCコミックスを代表するダークヒーローのバットマンになって街で起きる事件を解決していくゲーム。

    アクション系かと思いきや、事件が起きた場所へ行き、現場検証、推理、そこから事件の犯人を突き止めるミステリーアドベンチャーゲームとなっています。両手にPlayStation Moveを持ってプレイすることで(DUALSHOCK4でもプレイ可能)、現場の分析、各手にバットラングやグラップルガンなどの武器を持ったり、特殊なアクションを行なうことが可能です。今回はまだ開発中とのことで、プレイ画面がお見せできないのが残念です…。

    舞台はもちろん犯罪都市ゴッサム・シティ。今回体験したのは「ヒーローの殺害事件」の捜査というなんとも暗黒を感じさせるもの…。捜査は殺害されたヒーローの横で行なうのですが、周囲は夜の闇に包まれており、何かが襲ってくるんじゃないかとビクビクしながらプレイしました。

    また、ゲームの最初にバットマンへ変身する場面が、とてもリアルに再現されているんです。変身中に自分の姿が鏡に映る場面もあるのですが、その鏡にバットマンの姿が! これにはすごく驚きました。もちろん、鏡に映るバットマンは自分と連動してます。

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    心なしか立ち姿がバットマンっぽい

    プレイしている最中は本当に「自分はバットマンだ」という錯覚に陥るのですが、その勢いで夜の街に繰り出したくなりそうで怖いです(現実世界の自分はガリガリ)。

    開発会社の方によると今回のゲームでは「エキサイティングな体験をしつつも、気持ち悪くならない仕組みを作ることに力を入れた」とのことでした。また、現在の開発段階は「90%」。10月には発売予定なので、製品版がどんな作品になるのか楽しみですね。

    人生史上、最悪なことが目の前で起こる。新「バイオ」の前日譚「KITCHEN」

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    「KITCHEN」はタイトル名だけだとなんのこっちゃという感じですが、E3で発表された新作、「バイオハザード7」の前日譚を描いたものです。バイオハザードと言えば、ゾンビが登場する国民的ホラーゲームですが、「7」はまだまだ謎に包まれています。

    ストーリーは謎の廃屋から始まります。目がさめると両手を縛られている自分と、倒れている1人の男。そこから一体何が起こるのか…は体験してのお楽しみです。

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    こうなります

    ヘッドセットは目を背けることができず、恐怖から逃れられません。ただ受け入れるしかないという状況はまさに地獄でした。このままPS VRで全編がプレイ可能な「バイオハザード7」(PlayStation 4にも対応)が発売された時に、怖すぎて全くゲームを進められないという前代未聞の難易度になりそうな気がします。

    VRの前では布団の中も無意味です。

    ***

    PS VRには天国も地獄も体験できるコンテンツが、すでにこれだけ揃っています。性能ではHTC ViveやOculus Rifと比べると、画質や視野角、パソコンのようにカスタマイズ性のないPS4を使うという点で少し劣りますが、エンターテインメント機器としてのコンテンツの充実度を考えると、他のVR製品を大きく引き離すかもしれません。

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    また、他のVR製品は市販のPCを使うので選択肢が多いうえに、高価で高スペックなPCが必要なのに対して、PS VRは、PS4、PS4専用のPlayStation CameraPlayStation Moveさえ用意すれば楽しめます。準備のハードルは、PS VRが最も初心者に優しいでしょう。

    装着感もサンバイザーのように被るため、重心が前と後ろに分散し、重さを感じません

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    目の周りを覆う部分は柔らかいゴムのような素材でできており、柔軟に変形するので、メガネをかけたままでも問題なく装着できます。今回2時間ほどゲームを体験してみましたが、そこまで目の疲れはありませんでした。どちらかというと「究極の非日常を体験したことによる疲れ」のほうが大きかったです。

    さらに、PS VRがエンターテインメント機器として優れているのは、ゲームでの体験を友達と共有できるという点です。例えば、PS4にプリインストールされているゲーム「THE PLAYROOM」のVR版「THE PLAYROOM VR」では、VRをつけた人が悪者目線になって、「PS VRを装着した1人 VS コントローラーを持った4人」という構図で一緒に遊べます

    また、1人用ゲームの場合も、テレビの画面にプレイヤー視点の映像を映すことができるので、友達と一緒に楽しむことができます。

    こういった点で、ゲームハードとしての地位を築いてきたPlayStationの底力を見せられました。HTC ViveやOculusはエンターテインメント以外の使い方も考えられているので、PS VRとの住み分けができそうです。

    今回は体験できませんでしたが、E3では今後発売予定のPS VR対応ゲームがいくつか紹介されました。ラインナップは「Star Wars Battlefront: X-Wing VR Mission」や「Call of Duty: Infinite Warfare」など、名前を聞いただけでも「早くプレイさせてくれ!!」と思うビッグタイトルばかり。まだ発売前という事実にゾクゾクしますね。

    PS VR対応のゲームは、年末までになんと50タイトル以上が登場する予定。やりこみすぎて、本当に天国や地獄に逝っちゃう人が出てこないか心配です…。

    (K.Yoshioka)