そんなまさかです。
4K対応のPS4 Proが発売されたその日に、ライバルである任天堂が発売したハードがファミコンだなんて。そんな冗談のような出来事が本当に起こったんです。33年ぶりのカムバックを果たしたファミコン、「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」は、iPhone 7とほぼおなじ手のひらサイズになりました。
ただし、ニンテンドークラシックミニに昔のファミカセは刺さりません。
その代わり魅力的な30タイトルを収録しています。同じく米国で発売されたNES Classic Editionとは収録タイトルが一部異なっているので、これが日本のファミコン世代にウケると判断したのでしょうね。個人的には概ねその判断は間違っていないと思います。
ひとりでじっくり遊べるゲームから、ファミコンゲームの醍醐味でもある協力プレイや対戦プレイが楽しめるゲームが入っていて、十二分に遊びごたえのある、かつての遊び心をくすぐる良ラインナップなのではないでしょうか。
往年の名作、マリオの歴史を語る上で欠かせない『スーパーマリオブラザーズ』(スーマリ)をはじめ、協力プレイという名の殺し合いを楽しめる友情ブレイクゲーム『アイスクライマー』、名作中の名作『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』、ナーシャ・ジベリの天才的なプログラムとの勝負でもある『ファイナルファンタジーIII』あたりが入っているあたり、いやぁわかってますね!感で嬉しくなります。
個人的には『クルクルランド』と『スターソルジャー』。現状、ゲームアーカイブスや復刻版が出ていない『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』が入ってくれれば100点満点でしたけどね。クリフトのザキ乱舞をもう一度みたいものです。
そんな30本のカセットを入れてこのサイズ。本家ファミコン(と言っても、AV出力改造を施した改造ファミコンですが)との比較がこちらです。いやぁ…小さい。
コントローラーなんてこんなサイズ。これでスーマリや『魔界村』をやれというのだから無茶を仰る!
…と、最初は思っていたのですが、やってみたら意外と普通にプレイできてびっくりです。マリオで言うと「B」ボタンをホールドしながら「A」ボタンでジャンプ、という基本テクニックも問題なくできました。このコントローラーサイズは絶妙ですね。逆にこれ以上小さくなると、きっとまともに動かせません。ひょっとしたら最初にコントローラーのサイズを決めて、そこから本体サイズを決定したのかもと思うくらい絶妙なサイズです。
HDMIのおかげもあって、画面は本当に綺麗です。「4:3」や「ピクセルパーフェクト」といった画面設定が可能で、ドット感バッチリの鮮明な画面が楽しめるのですが、個人的にはアナログテレビのあのチラチラ感と走査線を再現した「アナログテレビ」モードがオススメ。
このアナログ感の再現度は完璧です。
これまでもスーマリはさまざまなハードでリメイクされましたが、小さなブラウン管テレビで遊んだあの頃と全く変わらない完璧なキンタマリオです。パーフェクトな仕上がりですよ任天堂さん!
接続に関しては欠点もあります。最近のコードレス文化に慣れすぎてしまっているため、配線が若干煩わしく思えます。
また、コントローラーも有線接続。HDMIケーブルは1.5mありますが、大画面テレビでは、画面が大きすぎて若干遊びづらいかも? 長めのHDMIケーブルを別途用意するか、小さめのテレビを用意したほうがいいかもしれません。
ただ、友人と肩を並べてプレイした『スーパーマリオブラザーズ3』は最高に最高でしたよ。
どうしてもクリアしたくて、笛ワープを駆使しつつ打倒クッパに向けてプレイを続け、「僕らこんなにゲームが下手じゃなかったって!」と過去の自分と現在の自分とのギャップに首を傾げ、納得できない老いを否定する3時間以上の奮闘。焼かれ、潰され、落とされ。100に届きそうなほどのマリオとルイージの屍を築き上げ、それでもやっとクッパを倒したときの歓喜雀躍たるや…。
初めてクッパを倒したときのことは忘れてしまいましたが、きっと少年時代の僕らも全身で喜びを表していたのではないでしょうか。同じく喜びに震えている友人が、まるで古くからの幼馴染のようにも思えます。やっぱりスーマリ3は最高です!
ちなみに、中断セーブもできるので、それを駆使すればもっと簡単に倒せたのかもしれませんけどね。でも、当時と同じ条件で倒したかったんです。男として。かつての少年として。そして自分の老いを否定したくて…。
まぁ、ゲームによっては中断は上手く活用すべきですよね。「ファイファン3」のクリスタルタワーとか、セーブしないとやってられません。
まとめ:ファミカセを貸し借りしあったノスタルジックを楽しもう
収録されている30タイトルの中にはバーチャルコンソールで遊べるゲームもありますし、ひょっとしたらバーチャルコンソール&クラシックコントローラーでプレイしたほうが快適なのかもしれません。でも、「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」はこの形だからこそ価値があります。
この形を知っている人にしかわからない価値ですが、あの時代にファミコンに触れていた世代は、ぜひ買いましょう。値段は5,980円(税別)。これはかつての自分や友人と再会できるゲーム機です。
最後に要点とアドバイスをまとめるならば…
・ 過去のファミカセは使えないけど30タイトルが収録されています。
・ どこでもセーブができます。画面の表現も変えられます。
・ 大画面テレビで遊ぶなら長めのHDMIケーブルがあると幸せになれます。
・ 過去にファミコンを遊んだ世代は歴史の証明のために買うべきです。
・ できれば2人ないし3人で集まって遊んでください。
・ 僕はファイナルファンタジーは断固「ファイファン」派です。
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photo: 小暮ひさのり
source: ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ
(小暮ひさのり)