女性は大丈夫なのに?
歯磨きを欠かさないことは、虫歯予防と歯周病の対策にとって非常に重要です。でも、どうやら歯周病には、職業や経済格差が強く関係しているらしいんです…。このほど日本疫学会の電子ジャーナル「Journal of Epidemiology」に、岡山大学、愛知学院大学、三重大学の共同研究発表となる「歯周病の発症と職業階層間との関連性について」と題する論文が掲載。名古屋市内で実施された歯科検診を受診する成人男女3,390人を、2001年から5年にわたって追跡調査した結果、歯周病になりやすい男性の職種が判明したようですよ!
同研究によると、歯周病の発症リスクが比較的少ないとされてきた専門職や技術者を基準に考えるならば、運輸業や通信事業に携わる男性が歯周病を発症するリスクは2.74倍に高まると判明。続いて、工場などで生産工程や労務に従事する男性の歯周病発症リスクは2.52倍、販売業勤務の男性の歯周病発症リスクは2.39倍など、どんな仕事をしているかで、歯周病と診断される男性の割合は大きく異なることが明らかにされています。
今回のデータを受けて、一連の研究を進めた教授陣は、歯周病の原因として、いろいろな要素があげられるものの、精神的なストレスに起因する面が大きいと分析。不規則な勤務シフトで働かざるをえなかったり、残業が多かったりすると、十分な睡眠や休息をとることができず、歯科保健行動にまで悪影響が出てしまうとの見解が公表されています。
仕事が忙しく、疲れていて、とても歯の健康管理にまでは手が回らない~。そんな男性社員の悩みが垣間見えるような研究結果でもありますが、興味深いのは、どんな職種であっても、女性の歯周病発症リスクには違いが出てこなかった点でしょう。たとえ仕事が大変でも、口を開けたときに、キラリと美しい歯が光るための努力は惜しまない! そんな女心が、歯周病予防にまでつながっている可能性があるんだとか。これが本当なら、やっぱり男性も、きちんと歯をケアする意識を高めることで、健康格差を縮めることができるのかもしれませんよ。
ライフスタイルと健康:
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source: 岡山大学
(湯木進悟)