100年前のボストン糖蜜大洪水の原因、ついに判明?

100年前のボストン糖蜜大洪水の原因、ついに判明?

甚大な被害をもたらす要因となったのは、温度

1919年冬、230万米ガロン(約870万L)の糖蜜が詰まった貯槽タンクが破裂し、糖蜜の大波がボストンの街路に流れ出るという事件が起きました。それは行く手にあったすべてのものを覆って破壊し、被害は死者21人負傷者150人に及びました。

実は現在に至るまで、この被害がそこまで大きくなった理由はわからないままでした。ところが、The New York Timesによると、科学者とハーバード大学の学生によるチームがその答えを見つけたようなのです。

以下は、その報道の一部です。

科学者と学生たちのチームは、アメリカ物理学会の11月の会合で、一世紀前のこの謎を解く重要なカギになりそうなことを発表しました。

カリブ海から新たに到着した糖蜜の積み荷が、冬のマサチューセッツの冷たい空気に触れたことで、街に大惨事をもたらすのに適した状態になったと結論づけたのです。

寒冷な気候による糖蜜への影響を研究することで、この災害は温暖な季節よりも、冬の間に起きた方がより壊滅的になると研究者たちは突き止めました。糖蜜は数秒で数ブロックを覆うほどに素早く流れ出し、そして冬の空気で冷まされるにつれ、もっとドロドロとして粘性を増しましたのです。そのドロドロになった糖蜜の波は、流れる速度が落ちるだけでなく、救助しようという試みを妨害するようになりました。

ハーバード大学の学生たちは現代の知識である流体力学を用いて、この100年前の事件を研究しました。彼らはまず、大型冷蔵庫の中でコーンシロップを使う実験を行なうことから始めたのです。これにより、冬のボストンにおいて糖蜜がどう動いたかを、シミュレーションできました。そして学生たちは、集めたデータをボストンのノースエンドを襲った糖蜜災害のモデルに適用しました。その結果は、ボストン糖蜜災害の史実上の記録に合致したのです。

この実験で集めた科学的なデータで確認できたことの1つに、糖蜜が流れ出す速度があります。第一波は時速35マイル(約56km/h)で押し寄せてきたと人々は語っていました。これにより多くの人々が、タンクの破裂によって糖蜜がこのような速度で流れ出したと信じていました。しかし、研究チームの計算は、糖蜜だけでもそれほどの速度になり得ると示したのです。

このプロジェクトに顧問として関わったNicole Sharpさんは航空宇宙学のエンジニアで科学コミュニケーションの専門家です。The New York Timesに「この結果は興味深く、当時は解明が不可能だったことです。事故から何十年と経つまで実際の要因を解明しようとする人は誰もいませんでした」と語っています。

破裂の2日前に配達された糖蜜は、運びやすくするために温められていました。Sharpさんいわく、災害が起きた時の糖蜜の温度はおそらく外気よりも4、5℃高いままだったのだろうとのこと。被害者たちのまわりを流れた糖蜜は、冷たい空気にさらされることで粘性が増して、彼らをすぐさま捕らえたのだと学生たちは判断しました。

ところでこの研究は、同じくハーバード大学の教授であるShmuel M. Rubinsteinさんの、流体力学入門の授業から始まったものでした。Rubinsteinさんは学生たちに「面白いプロジェクトを1つ選んで、興味深いビデオを作るように」と指導したのこと。制作された動画はネタ元The New York Timesでチェックできるので、ぜひご覧ください。糖蜜災害のシミュレーションを小さな模型で行なったスローモーションの動画で、昔ながらのサイエンスフェアみたいなクオリティですよ。

RubinsteinさんとSharpさんは現在、この特殊な事例を研究する講座の企画を検討しています。あの悲劇の一因となったさまざまな要素に応用される分野が多々ある、法科学のような授業になるかもしれません。例えば、あの日になぜ貯槽タンクが破裂したのか明確な答えはまだ出ていません

ちなみに、事件翌日のThe New York Timesの紙面は、古き良き時代の文章で当時の被害を綴っています。

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top image by Globe Newspaper Co. / Boston Public Library (Flickr)
source: The New York Times 1, 2

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(たもり)

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