地図のイノベーション。地形を立体的に表現する21世紀のマップスタンダード「赤色立体地図」とは?

地図のイノベーション。地形を立体的に表現する21世紀のマップスタンダード「赤色立体地図」とは?

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すでにあらゆるところで利用がはじまっています。

山などの地図でよく見る等高線。うねうねと複数の線で描かれた図は、慣れた人だと「こっちが谷で、これが尾根だね」なんてすぐにわかるらしいのですが、恥ずかしながらちょっと地図が苦手なもので、今まで何となくやり過ごしておりました。

しかしそんな私のような地図オンチでも、見た瞬間に地形の凸凹がわかる地図が、2002年に発明された「赤色立体地図」。冒頭の画像がそれです。まるで絵のようにはっきりと認識できますよね。

そんな赤色立体地図を開発した火山学者、千葉達朗さんのインタビューが、IBMのメディアMugendai(無限大)に掲載されていました。それは、まさに地図界のイノベーションとでもいうべき内容でした。

発明のきっかけは、富士の樹海で遭難しそうになったこと…

赤色立体地図とは、線も記号も使わずに、赤色のグラデーションのみで地形を立体的に見せる技法。今や21世紀のマップスタンダードとも称され、地震や噴火、大洪水などの自然災害地帯もわかりやすく表現されていることから、近年特に注目されています。

そして千葉さんがそんな地図を作ったきっかけは、富士の樹海にありました。想像するだけで嫌な予感しかしないんですが…。

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時は2002年。千葉さんが所属するアジア航測株式会社は国土交通省の委託を受け、青木ヶ原樹海の地形・地質調査を行うことに。しかし、渡された地図を使って事前調査をしてみると、樹海の地形は想像していた以上に複雑で、等高線にも問題があることがわかりました。

このまま行ったら遭難する…」。そう感じた千葉さんは、腹をくくって、自分で新しい地図を作ることにしたのです。

自分で作ろう、という発想になることがすごいですが、千葉さんは、AdobeのPhotoshopをバージョン1から使っていたり、プログラミングの専門誌「The BASIC」で連載を持っていたほどの方だそうで、ちょっと納得です。

そうして徹夜で仕上げたのが、赤色立体地図というわけなんです。完成したのは、調査に入る1週間だったそう。

地図にもイノベーションを。古い慣習とタブーを破った赤色立体地図

赤色立体地図は、複数の点から「地図業界の常識を打ち破った」と評価されています。

まず「赤い理由」ですが、これは、人間の目が赤の認識を得意としているから。お酒を飲んで上気した顔色や、刺身や肉の鮮度の判断など、普段から見慣れているのだそうです。赤を使えば最も強い立体感を感じ、微妙な傾斜変化を認識しやすいというのも理由になっています。

また、従来の地図において「赤」は道路や建物など、重要とされる構造物に使われる色であり、地形には用いられていませんでした。しかし火山学者である千葉さんは、むしろ背景である地形の形状を強調するため、タブーとされる赤を使ったのだそうです。

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そもそも、明治時代から使われている等高線図白黒の2色が基本なのですが、これは古くから使われている印刷方法のガリ版でも刷れるようにするため。千葉さんは、現在のパソコンや印刷技術の豊かな色表現を使えば、もっと便利な地図ができるはず、と信じて開発を行なったそうですよ。

こうして聞くと、当たり前とされる現状に疑問を持ち、行動できる人こそがイノベーションを起こすのだと、改めて感じさせられます。

その他にも「地下鉄渋谷駅が、なぜビルの3Fにあるのか」や、富士山の噴火など、興味深い話題が次々に登場する千葉さんのロングインタビューは、Mugendai(無限大)からぜひ続きをお楽しみください。

source: Mugendai(無限大)

(渡邊徹則)

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