2016年、現実になった「未来」まとめ

2016年、現実になった「未来」まとめ

いよいよ2016年も終わりに近づこうとしています。

これまでSFの世界の夢物語だった「未来」、そして人類が追い求めてきた「未来」は、2016年でどれだけ現実になったのでしょうか。米Gizmodoは、2016年に現実となった15の「未来」をピックアップ。あなたの知らない世界のどこかでテクノロジーはどんどん進化しています。

AIが世界一の囲碁棋士に対して完勝する

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image by DeepMind

2016年3月、Google傘下のDeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo」が人類に勝利しました。

世界最強棋士のイ・セドル九段と5度にわたって対局を行ない、4対1でAlphaGoが勝ち越す結果に。それまで囲碁はまだまだ人間が有利で、AIは棋士に勝てないと言われていたにもかかわらず、です。

対局後、イ・セドル九段は「AlphaGoとの対局の後、伝統的な考え方に少し疑問を抱きました。学ぶことがまた増えましたね」と話しました。このイ・セドル九段の敗北は、機械は人間の知能レベルにすぐに追いついてくること、そして人間の領域にAIの力が浸食されてきているという看過できない事実を思い知らされました。

Uberの自動運転車が現実に

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image by Uber

2016年8月、Uberが自動運転タクシー100台をピッツバーグに導入することを発表しました。交通の新しい時代が想像以上に早く現実になったことに驚いたものです。

そして、12月にはサンフランシスコでもサービススタート。でも信号無視しちゃうなど、まだ完璧とはいえませんね。人が運転しない、さらにはドライバーがいなくても車で移動できる日が近づいています。

世界で初めて、3人のDNA持つ赤ちゃん誕生

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image by John Zhang / NHFC

ミトコンドリア核移植の技術を使い、母親の卵子から核を抽出して卵子提供者の卵子に移植し父親の精子で受精させた赤ちゃんが産まれました。

母親には「リー症候群」とよばれる遺伝性の神経系障害があり、この障害が子どもに受け継がれないように、この核移植技術が使われました。しかし、この技術はアメリカでは合法ではないため、ニューヨークのニュー・ホープ不妊治療センター(NHFC)のJohn Zhang医師らのチームは、規制のないメキシコで治療を行ないました。3人のDNAをもつ赤ちゃんについては生命倫理の観点から賛否両論。でも母子ともに健康状態は良好だそうです。

末期癌の少女、死後の自分自身を冷凍保存する願いを裁判で叶える

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image by Cryonics Institute

イギリスの14歳の末期脳癌を患う少女は、「クライオニクス(現在の技術では治療ができない難病の人などを凍結保存する技術)」で生き続けるという願いを叶えました。この少女の両親は離婚していましたが、父親はこれに反対、イギリスの高等裁判所で是非を問うことになり、少女側が望みを勝ち取るという結果に。少女はいつか生き返ることを信じて、14歳の短い生涯を終えました。

ゲノム473個しか待たない細菌を人工的に作成

J. Craig Venter Instituteなどの研究者らが、「最小限の」細菌を人工的に作成することに成功しました。

一連の実験を通して、生命活動の維持のために最小限必要なこのゲノムは「Syn3.0」と呼ばれます。この「ベースライン」のゲノムが作りだされたことで、科学者たちは生命に関する研究を前進させるでしょう。

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JCVI-syn3.0 image by J. Craig Venter Institute

ゲノム編集技術CRISPRで、人間の能力を超えはじめる

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image by ICSI

最先端のゲノム編集技術CRISPR/Cas9改変した細胞を人体に注入する、世界で最初の研究が中国の四川大学の研究チームによって実施されました。肺がん患者のがん細胞を攻撃する免疫細胞の機能を遺伝子操作で強化し、体内に戻す治療です。

また、今年中国の研究チームがエイズウイルスに感染しないようにヒトの受精卵の遺伝子を編集したという論文を発表しています。ゲノム編集と生命倫理の問題は賛否両論で欧米は慎重ですが、この分野は、規制がゆるい中国で応用研究が進んでいるようです。

神経インターフェースの分野が大躍進

GIF by Duke Health

今年は脳にコンピュータをつないで操作するブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)分野が大躍進した年でもありました。Duke HealthのMiguel Nicolelis氏が率いる研究チームでは、サルがロボット車椅子の動きを脳で考えたままにコントロール可能にするワイヤレスのブレイン・インターフェイスを開発。

また、ローザンヌのスイス連邦工科大学のチームは、下半身付随のサルの歩行運動を回復させるための神経機能代替デバイスの移植実験を行ないました。

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image by Ohio State University / Batelle

四肢麻痺のIan Burkhart氏は、脳インプラントのおかげで、自身の手で音楽ゲームの『Guitar Hero』をプレイできるようになりました。また、オランダの研究者らは、後期ルーゲーリック病(筋萎縮性側索硬化症)の患者に対して、毎分2文字のメッセージを書き込むことを可能にする脳インプラントを施す臨床試験を行ないました。

関連する研究として、サルがブレイン・コンピュータ・インターフェースを利用して1分間に12語の文章を覚えることも可能にしています。また、義手のそれぞれの指を自分の意思だけで動かせるシステムなども開発と、神経インターフェースの分野は大躍進中。

VR元年、仮想現実が身近になる

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2016年はVR元年。それまで完全没入型のバーチャル・リアリティーのヘッドセッドは手を出しにくい価格でしたが、Oculus RiftHTC VivePlaystation VRなど、今年は一般消費者もVRヘッドセットが買えるようになり、VRコンテンツも揃い始めてきました。来年はますますVRが加速していくでしょう。

人工ヒトゲノムをゼロから構築する計画が生み出される

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今年5月、研究者や弁護士、起業家など総計約150人がハーバード・メディカルスクールに集まり、人工ヒトゲノム作成についてのカンファレンスが行なわれていました。カンファレンスは完全招待制で、報道機関は招待されず、参加者は、カンファレンス内容について口止めされていました。

人工ヒトゲノムを作り出すというアイデアは、遺伝子編集とはまったく別物で、化学薬品を使って、人間のDNAすべてを作ってしまおうという計画なのです。そう、ゼロから産み出す人造人間計画が動き出したということ…。

再生可能エネルギー、他のどの発電方法より成長中

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image by Thinnapob Proongsak / Shutterstock.com

今年10月、国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書によると、再生可能電力容量の伸び率は常に「最高」をマーク、153ギガワットに達しました(これはカナダの全エネルギー生産量に相当)。

この成長を支える大部分は、風力発電と太陽光発電の新設に伴うものとのこと。ちなみに、昨年は世界中で約50万台の太陽電池パネルが設置されました。IEAによれば、「再生可能エネルギーは、年間発電量の半分以上を占めるようになり、世界の累積設備容量においては石炭に追いついている」とのことです。

アルゴリズムが英ポンドを瞬間暴落させる

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image by TheBigData

10月7日、英ポンド通貨は「フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)」を被り、たった数分で米ドルに対して6%急落しました。

専門家によると、EU離脱に関するフランソワ・オランド仏大統領のスピーチの記事をきっかけに、アルゴリズムが引き起こしたフラッシュ・クラッシュだろうと分析しています。日本人のトレーダーの1人が多くの売り注文を出したのが原因だといわれていますが、「アジア時間は取引高が小さいので、他のアルゴリズムも引きずられて下落を増幅させたのだろう」という見方も有力です。

この事件は誰よりも速い人工知能ボットの力が増していること、そしてそれに依存していること、そしてそれらを制御できなくなってきていることを示唆しています。

死後も、脳を保存する新しい方法が産み出される

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image by 21st Century Medicine

21st Century Medicineの研究グループは、ウサギの脳を取り出して冷凍保存したのちに解凍して、完全な状態に戻すことに成功しました。

ガラスの容器に閉じ込めたような状態にし、液体窒素の温度近くまで冷却できる不凍液を流し込み脳を完全冷却。今回開発された方法で、脳細胞への損傷を抑えて冷凍・解凍が可能になりました。

この技術は、前述のクライオニクスー現在の技術では治療ができない難病の人などを凍結保存し、いつか生き返す…という領域にも適用できると考えられます。

ドイツで「核融合エネルギー」実験成功

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image by Max Planck Institute

今年2月、ドイツの科学者たちは、核融合炉「ヴェンデルシュタイン 7-X」水素プラズマ生成に成功。実験では、2メガワットのマイクロ波放射を用いて4分の1秒の間、水素ガスを太陽の下で起こるのと同様のプロセスで8000万度まで加熱。

この実験は、安全でサステナブルな原子力利用に向けて重要なステップと位置づけられています。

もっと読む:
今年の発見。2016年のサイエンス総まとめ
2016年を象徴する出来事いろいろ、1枚のイラストにしました

top image by Gizmodo
source: DeepMind, Uber, NHFC, Cryonics Institute, J. Craig Venter Institute, Duke Health, IEA, New Scientist, 21st Century Medicine, The Guardian

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(mayumine)

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