ラッパーPUNPEEが語る、いつもそこにあった「宇多田ヒカル」と「テクノロジーの進化」

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    ラッパーPUNPEEが語る、いつもそこにあった「宇多田ヒカル」と「テクノロジーの進化」

    2016年の日本の音楽界最大のトピック。そのひとつが宇多田ヒカルのアーティスト活動再開であることは間違いないでしょう。

    約8年半ぶりとなるニューアルバム『Fantôme』が大好評の中、宇多田ヒカル本人出演のネットイベント“サントリー天然水PRESENTS「30代はほどほど。」”が2016年12月9日に開催されます。国内初の3D VRと2Dマルチアングル、2D通常版の3つのチャンネルで生中継されるこのイベントには、宇多田ヒカルのほか、最新作で客演しているラッパーKOHH、そして彼女のファンを公言しているラッパー/トラックメーカーのPUNPEEがゲスト出演することも話題のひとつ。

    今回ギズではそんなPUNPEEにインタビューを行ないました。同イベントや宇多田ヒカルについてはもちろんのこと、VRをはじめとしたテクノロジーの進化について話を伺いました。

    一度も話さないままぶっつけ本番? 勝手に親近感を持っていた宇多田ヒカルとの初仕事

    ──「(宇多田ヒカルについて)中学の頃から勝手に親近感を持っていた」とのことですが、どういうポイントで親近感があったのでしょうか?

    中学のときは音楽を作っていなかったから、音楽性とか分からなくて流行ってるものとして宇多田ヒカルさんの曲を聴いてたんですけど、当時はみんな親近感を抱いていたんじゃないですかね? 歳も一つくらいしか違わないし(「Automatic」のMVのマネをして)狭い部屋で歌ってたりして。

    ──じゃあデビュー曲の「Automatic」の頃から好きだったんですね。

    そうですね。お茶の間でも流れてたし、みんな聴いてましたよね。漠然と洋楽っぽいというか、最先端っぽい感じもしたし。とにかく新鮮でしたね。

    ──どのアルバムが特に好きですか?

    『DEEP RIVER』が好きですね。その頃は自分もR&Bとかヒップホップをやり始めてたんですけど、誰も彼もが“ザ・B-BOY”みたいな格好をするようになってきて、だんだん自分の中でつまらなくなってきた時期だったんですよ。ちょうどそんなときに、宇多田さんが“○○っぽい”とかじゃない完全に“宇多田ヒカル”って感じの『DEEP RIVER』を作って。そこでまた一段と深く親近感を覚えました。勝手に。

    ──好きな曲は?

    「For You」とか「In My Room」です。当時はかなりの部分を歌詞じゃなく音で聴いていたので、気持ちいいタイトなグルーヴがあってビートが太いやつが好きでしたね。歌詞の良さというか、普遍性のようなものに気付いたのは、けっこう後かもしれないです。

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    ──今回のネットイベント『30代はほどほど。』にゲスト出演されることになりましたが、どういった経緯で出演することになったのでしょう?

    2年前に〈DOMMUNE〉で「宇多田ヒカルのうた」という、宇多田ヒカルさんのデビュー15周年記念番組をやったんですけど、それへの出演がきっかけですね。DJ YANATAKEさんという、昔から宇多田さんをクラブミュージック方面からサポートしている方がいるんですけど、俺がファンだと公言してるのをその人が聞いてねじ込んでくれたんです。

    ──出演が決定したときどう思われましたか?

    …よく分かんないですね。今も分かってないです(笑)。宇宙服なしで宇宙に放り込まれたみたいな感じで、でも「…あれ? 生きてるぞ?」っていう、ふわふわした感じ。当日まで実感が湧かないんじゃないかなと思います(笑)。

    ──じゃあ、宇多田さんとはまだ打ち合わせしていない…?

    そうですね。僕のことを認識はしてくれてるとは思うんですけど、まだ打ち合わせはしていないです。当日顔引きつらないか心配です。

    ──同イベントには 「忘却 featuring KOHH」で客演しているラッパーのKOHHもゲスト出演します。Twitterでは「ファンを公言してるPUNPEEとかtofubeatsをすっ飛ばしてKOHHが一緒に宇多田ヒカルとやりやがった」なんて声もありましたが…

    あー。。。いや、俺としてはやっぱりファンという意識でいるので、呼ばれることもないと思ってましたよ。でも、みんな気にかけてくれていたのには優しさを感じましたね。ありがとうございますって感じで(笑)。

    ──KOHHさんとの面識はありますか?

    お世話になってる318(高橋良)さんという方から「今度若いやつ一緒にやるから」とKOHHくんを紹介されて何回か会ったことがありましたし、イベントで一緒になったこともあります。俺の地元の板橋と、KOHHくんの地元の王子は隣なので、うちの弟が環七を車で走っててKOHHくんと遭遇したりすることもあったみたいです。

    ──KOHHさんとは今回のイベントについてのお話はされましたか?

    いや、してないです!

    ──やはりかなりぶっつけ本番な感じですね(笑)

    KOHHくんと宇多田さんは話してるかもしれないですけど、俺は完全に放り込まれる感じで、ファン代表みたいな気持ちです(笑)。でも、宇多田さんは最初からリアルタイムでずっと見てきてる人なので、曲を通して教えてもらったものとか影響を受けたものとかたくさんありますし、勝手に恩返しできたらなと思っています。DOMMUNEの延長線上みたいな感じでの出演だと思うんですけど、気合い入れて頑張ります。

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    VRでのMV制作への興味。YouTubeの誕生に立ち会えた興奮。音楽活動に不可欠なものはTwitter

    ──『30代はほどほど。』はVRにも対応するようですが、今年は“VR元年”と呼ばれるほどの盛り上がりを見せています。VRを体験したことはありますか?

    ビョークの作品や、宇多田さんの「花束を君に」の360度メイキングをYouTubeで観たことがある程度で、スコープでは体験したことがないです。でもすごくおもしろそうだと思っていて、興味はありますね。

    ──MVの制作などに今後VRを活用したいとは思いますか?

    やりたいですね。実はもう考えてることもあります。

    ──PUNPEEさんはMV制作にご自身が関わるなど映像に力を入れられていますが、その理由は?

    単純に映画が好きっていうのもありますね。それと中学とか高校のときにスパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーのMV作品に影響を受けてきたというのも大きいと思います。普通にただ歌ってるだけの作品にもそれだからこその綺麗さはありますけど、トリッキーなやつが好きっすね。だから自分で作るものにはひねりをひとつ入れたいです。

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    ──PUNPEEさんは、白黒液晶の初代ゲームボーイにはじまり、デジタルガジェットやテクノロジーの進歩をずっと観てきた世代ですよね

    そうですね。最近すごくそのことについて考えてました。ばあちゃんの世代は、テレビができたり、洗濯機ができたりと、それはそれですごかったと思うんですけど、俺らは何百年後にも残っているであろうYouTube誕生の瞬間をリアルタイムで体験できた。それはすごく大きいと感じてます。「初期の頃は動画がアップされても、すぐ(著作権違反で)削除されてたんだよ」なんて将来絶対誰も信じないですよ(笑)

    ──いままで体験してきたイノベーションの中で大きかったものはどれですか?

    Twitterじゃないですかね。Twitterがなかったら音楽活動がやれてるかどうかあやしいですし。あとはfirestorageとかの大容量データ送信サービスも大きいですね。あれが無かったら実現できなかったコラボも多いだろうし。

    ──今は会ったことがない人と会わないままコラボすることも珍しくないですからね

    そうです。スタジオとか相手の家にベースを弾きに行かなくても、自宅で弾いてデータを送れますからね。tofubeatsとも実際に会ったのは「水星」のリミックスをやった後ですからね。

    ──では最後に、VR、AI、AR、ロボットなど注目されいてる昨今、PUNPEEさんが注目しているテクノロジーを教えていただけますか?

    量子コンピューターとか量子力学は、最近調べて面白かったですね。

    ──なぜ量子力学?

    映画『インターステラー』の影響だったり、あとは俺はアメコミが好きなんですけど、アメコミのヤバい原作者って、黒魔術か量子力学に行っちゃうんですよ(笑)。それで相対性理論から量子力学まで色々調べました。作家とか音楽家ってロマン的なのが好きだと思うんですけど、その延長で俺は宇宙だったり物理のにわかファンなんです。“シュレディンガーの猫”で知られる、観測されるまで存在しないっていうアレなんて、まるで世界のバグみたいでロマンがありますよね。

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    source: サントリー天然水PRESENTS「30代はほどほど。」

    (執筆・撮影:照沼健太)

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