トランプの追い風でテスラ株爆騰のイーロン・マスクが、石油会長の国務長官推薦を絶賛。本人に理由を聞いてみた

トランプの追い風でテスラ株爆騰のイーロン・マスクが、石油会長の国務長官推薦を絶賛。本人に理由を聞いてみた

純国産ですからねぇ…。

イーロン・マスクがペイパルマフィアの仲間だったピーター・ティールにトランプ新政権政策顧問に抜擢され、Tesla(テスラ)の株価が12月上旬から40%以上も上がっています。

前はトランプの悪口もちょくちょくツイートしていたマスクですが、24日にはトランプが新国務長官に選んだレックス・ティラーソンExxon Mobile会長のことまで絶賛。「なんで電気自動車が石油ヨイショしてんだよ!」とヨイショマン化を嘆く声もチラホラ聞かれますよ。

「自分が言うのもなんだけど、ティラーソンなら最高の国務長官になると思う」

クリーンエネルギー×火星移住計画のイーロンと、地球の化石燃料掘りまくってるティラーソンでは、最後に「ン」がつくぐらいしか共通項思いつきませんものね。どうして絶賛? 米GizmodoがツイッターのDMで問い合わせてみたところ、イーロン・マスクから意外にも答えが返ってきました。下記が一連のやりとりです。

Q: 「縁故資本主義の最たる例だ」という意見も多い中、石油業界のドンの指名を支持する理由は何でしょうか? ティラーソン会長は去年Bloombergの取材で電気自動車を批判した人物です。つまりTeslaの業界を。あの問題は解決したんでしょうか? トランプの「戦略政策フォーラム」顧問に選ばれたことでティラーソン像が変わってしまった、ということはありますか?

A: ツイートに書いたとおりだ。氏は世界屈指の巨大企業Exxonで見事な経営手腕を発揮した。企業理念を推進したのと同様に、米国の理想を推進するだろう。炭素税も前から公に支持しており、その実現に最もふさわしい人物。これは石油パイプラインの建設や石油掘削より遥かに重要な問題だ。対価のない外部性(負の要因。公害など)には対価をつけなければならないからね。

確かにティラーソン会長は2007年からThe Wall Street Journalなどで炭素税に言及しており、1980年代から環境保護派と自由経済派の両方に支持されてきた排出量取引による規制より、炭素税が有効と考えてる節は見受けられます。もっとも炭素税の有効性については専門家の間でも意見がわかれるところだし、会長が本気で言ってるかどうかは「?」ですが。

なんせExxonといえば、40年前に温暖化の影響を知りながら揉み消してきた会社です。1998年から2012年にはAmerican Enterprise Instituteに360万ドル(約4億1500万円)を投じて気象変動と二酸化炭素排出の研究者の信用を落とすネガキャンを展開し、昨年はマサチューセッツ州の炭素税実現に向けた法案2つを阻止するロビー活動を行なったばかりです。どちらともティラーソン会長が現役のCEOだった時代の話なので、どこまで信用していいものやら…。

Q: 「対価のない外部性には対価をつけなければならない」というのは具体的にはどういうことですか? 「外部性」というのは、二酸化炭素の大気汚染のことですよね? つまり企業はお金さえ払えば排出していいと?

A: CO2自体は汚染物質ではないが、地下深くから大量に掘って地表の循環に加えられると、温暖化と多少の酸性雨の原因になる。長年の積み重ねで起こる悲劇だ。消費される一般財は、大気と海中の炭素キャパシティだが、ここには対価が設けられていい。だから市場に兆候が現れないまま、適正な量より遥かに大量のCO2が生成されているのだ。CO2がゼロになることはないが、排出量はいずれ今より格段に減るはずだ。

ちなみにオバマ政権ではCO2を汚染物質と位置付け、火力発電所の排出を規制する「クリーンパワープラン」を導入しました。これもトランプ新政権に潰されかかっている施策のひとつです。

Q: どれぐらい高い対価をつければ排出が減り、気象変動を抑えることができるんでしょう?

A: 小さく始めて目標達成まで上げればいいんじゃないかな。ほかの逆累進の税金(消費税など)は減らして、負担を吸収しながらね。果物や野菜よりたばこやお酒に高い税金かけるのと同じ理屈で、それなら誰もが納得する。体に良くないものには高い税金をかければいい。

なるほど、炭素税ねぇ…。まあ、この種の業務を担当する環境保護局(EPA)はティラーソン会長の国務省管轄ではないですけどね。こっちは温暖化人間原因説否定派の急先鋒スコット・プルイット現オクラホマ州司法長官が就任予定です。Exxon Mobilから莫大な支援を受け、環境保護局の排出規制が違法だと14回訴え続けて阻止した人物…が、環境保護局長官になるんです。

気候変動否定論政権の親分トランプ大統領も、温暖化は「中国のでっちあげだ」と声を大にして言ってますしね。トランプ政権は1週目のうちに環境保護局の研究予算を全部凍結し、環境保護局公式サイトの気候変動情報を少々「削除」する方針も明らかにし、カナダと米国を結ぶパイプライン建設計画を復活させる大統領令を出しました。

確率論的にはゼロではないにしても、あのティラーソン会長とプルイット氏とトランプ大統領が環境負荷規制法を支持する可能性は限りなくゼロに近いような気がしますけどね…。

Q: 炭素税みたいな政策が、このトランプ政権で実現すると本気で信じているんですか? 地球温暖化が「でっちあげ」と何回も言ってるトランプ…が?

A: 大事な点はそこではないよ。それに向けて努力すべきだし、まっとうな意見が大統領の耳に多く届けば、それに越したことはない。ただただ個人攻撃していても、物事は変わらない。デモやマスコミに何か言われて頭を下げるトランプだと思う? 見たことある? ないよね。世論を届けるチャンネルはオープンにしておくに越したことないと思うよ。

まあ、孤立させるよりはそのほうが安心ではありますが。就任1週間で早くも側近さえも無視してるようですからねぇ…トランプ大統領。

報道の自由、集会の自由は民主主義の根幹で、どちらも有権者の声を政治家に届ける情報ルートなわけですが、デモもマスコミもガン無視の大統領ですか…先が思いやられますね。

Bloombergの26日の記事によると、マスクは「(この取材より前の)月曜ホワイトハウスの会合でドナルド・トランプ大統領と米財界首脳陣を前に炭素税の話を提案」したんですが、「支援する者はほぼ誰もいなかった」とのことです。ひとり相撲なのかも。

イーロン・マスクCEOがトランプ大統領に会ったのは12月のテック首脳会談が最初で、12月にUberのCEOとともに経済顧問に指名され、今は定期的に大統領と側近に会う立場です。1月上旬トランプタワーで会い、ホワイトハウス入りした初日も丸1日同伴しました。

大統領との太いパイプ」と「純国産」の2大強気要因で、モルガン・スタンレーが予測したとおり大変な勢いでTesla株は上がっています。「国産には税金を低くする」という発表も大量生産「Model S」年内発売には追い風になりますしね。去年Falcon 9爆発のときマスクがロッキードとボーイングを真っ先に疑ったというエピソードをちょっと思い出してしまいました。起死回生の一手なのかもしれませんね。

全米の空港を大混乱に陥れた大統領令についてはNOのツイをしていたので、少しホッとしましたが…。

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image: Bloomberg
source: Union of Concerned Scientists, The Wall Street Journal, PolitiFact Florida, The New York Times, The Washington Post, Bloomberg

Bryan Menegus - Gizmodo US[原文1, 2, 3
(satomi)

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