たった20円のぶんぶんごま式・遠心分離機が世界中で命を救う発明に

たった20円のぶんぶんごま式・遠心分離機が世界中で命を救う発明に

遠心分離機は高速で回転することで物質に含まれる成分を分離させる装置。マラリアを始めさまざまな病気の診断で、血液の遠心分離が行なわれるのですが、遠心分離機はとても高価な上に電気を必要とします。診断と治療が急務である発展途上国やへき地にはなかなか普及できないのが現状です。

そんな状況をアッと驚く方法で打破してくれたのが、スタンフォード大学のManu Prakashさん率いる研究チームが開発した人力・遠心分離機。科学誌「Nature Biomedical Engineering」に発表されました。材料はをベースにしたもので、電気も大きな機械も必要としません

血液の入ったスティックを円盤に挟んで、

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間を通したねじれた紐を...

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ぐいーんとひっぱると

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高速で回転してちゃんと分離してくれるというもの。こ...これは...ぶんぶんごま

子どものときに誰しも見たことがあるあのオモチャと同じ原理で高速回転を実現しているんです。「Paperfuge」と名付けられたこの装置の前にも、電気を使わずに遠心分離を起こす仕組みはあったのですが、速度が十分ではありませんでした。Paperfugeは1分間に12万5000回転を達成しており、これは今までの電気を使わない分離機の100倍の速度だそうです。Natureによるこちらの紹介ビデオをご覧下さい。

Paperfugeは90秒で血しょうの分離に成功し、15分でマラリア原虫の分離に成功したということです。こちらは研究者たちによるステップごとの説明ビデオになっています。

Paperfugeはさまざまな材料でも作れます。研究者たちは釣糸、紙、木などを使っても製作に成功したそうです。ポリジメチルシロキサン(世界中に普及しているシリコン素材の一種)、プラスチック、3Dプリンターでプリントされた素材などを使っても成功したということで、世界中で安価に大量生産が可能なわけです。

安価に、ってどれくらいかと言うと材料費わずか20円ちょっと。20円です。従来の遠心分離機が数十万円もすることを考えると、この発明が大きなインパクトを持つことがおわかりいただけるのではないでしょうか。

すでにマダガスカルでは現地の人々に使用してもらい、誰でもこの装置が簡単に使えることが証明されました。これによって非常に安価に、しかしとても重要な検査を世界中に普及させることができます。

Manu Prakashさんは次のように語っています。

私たちが提案するデバイスはとても単純に製造できるため、この分野で緊急に必要とされている解決策を直ちに大規模普及させることが可能になるでしょう。究極的には私たちのこの研究は「お金を使わない科学(frugal science)」の好例であるといえます。シンプルなオモチャの複雑な物理法則を活用して、世界のための医療ツールを作ったのです。

こういう人たちをヒーローというんですね...なんだか自分も世の中に貢献しなきゃ、と思わせられます。

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image by YouTube
source: Nature Biomedical Engineering, YouTube

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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