デス・スターのスーパーレーザー実現に一歩近づいた?
2017年1月24日の火曜日、チェコとイギリスの共同研究チームが超高出力レーザー「Bivoj」のテストに成功しました。チェコの伝説上の英雄にちなんで名付けられた「Bivoj」は、世界最高平均出力を誇っています。
研究チームはAFP通信の取材に対し、「Bivoj」は従来のレーザーの約10倍の1,000ワットを超える平均出力を持っていると答えています。チームの1人であるイギリスのCentral Laser Facilityの責任者John CollierはAFP通信に「これは世界記録であり素晴らしいことです。そのおかげでこのレーザーを世界に知らしめることができます。しかしそれ以上に重要なことは、このレーザーのために開発した技術が今後の高出力レーザーに応用できるということです」と答えています。
世界記録と言われると、このレーザーが世界一強力なんだと思ってしまいますが、実はそうではありません。研究者たちはこのレーザーの最高出力が、これまでの「世界一高出力なレーザー」には遠く及ばないことを認めているのです。例えば、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターが開発したLFEXレーザー(Fast Ignition Realization Experiment)は1ピコ秒(1兆分の1秒)に2000兆ワットを出力すると言われています。最高出力だけを見るとまったく届いていませんね。
チェコのHigh Average Power Pulsed Laserプロジェクトの責任者Tomas MocekはAFP通信に対し、「確かにそのような(LFEXのような)レーザーは非常に高い最高出力を持っていますが、1日に数回しかその最高出力に届きません。平均してその高出力を保つことはできず、あくまでその繰り返し率が高いだけなのです。一方で我々が開発したレーザーは最も高い平均出力を持っています。そのことが重要なのです」と答えています。最高出力ではなく、平均出力が最も高いレーザーなのです。
この超強力レーザー「Bivoj」は、金属加工などの工業利用を見込んでおり、惑星破壊を目的にはしていないのでご安心を。
image: Gizmodo US
source: AFP via Engadget
Hudson Hongo - Gizmodo US[原文]
(Shun)