月のユートピアはどんなデザイン?
もし月に移住することになったら、人類はどんなコロニーを建設して住むのでしょうか? 火星移住計画が発表され、地球以外の惑星への移住が少しずつ現実味を帯びて考えられるようになってきました。そんな流れを受け、イギリスを拠点とするデザイン&建築のメディアEleven Magazineが、月移住のコンセプトプランを競うアイデアコンペ「MOONTOPIA Competition」を開催。同メディアいわく宇宙建築における初の国際的なコンペには、世界中からプロアマ問わずデザイナー、ソーシャルプランナーなどから、何百ものエントリーがありました。
ムーントピアを「生活、仕事、研究とちょっとした宇宙観光のためにデザインされた自給自足な月のコロニー」と定義する同コンペで審査員たちの目に止まったのは、建築やコロニー形成を具体的かつ実践的に構想した秀逸なアイデアの数々。いずれも独創的な受賞作品のデザインをチェックしましょう。
Lunar Test Lab

最優秀作に選ばれたLunar Test Labは、ロシアのマトリョーシカに着想を得たコロニー。コロニー全体が何層もの膜に覆われており、一番内側にプライベート空間やグリーンハウスなどのポッドなど人類が生活できる環境が作られています。

一番外側の膜は3Dプリンターで製造できるカーボンファイバー製の折り紙構造となっており、太陽風の気圧変動に応じて形を変えます。そうやってコロニーを守る巨大なシェルになるだけでなく、太陽風に含まれる水素を確保して水と酸素を生産する役目も果たしているとか。
月への移住は、時間と段階的な建設プロセスがかかるもの。最初は少人数の宇宙飛行士が移住して、環境を整えてから市民を受け入れるという流れにかなうよう、コロニー自体が拡張できるようになっています。
MOMENTUM VIRIUM in L1

全く異なるアプローチで次点に入賞したMOMENTUM VIRIUM in L1は、月に移住するわけではありません。月を出来るかぎりそのままの状態に維持すべく、コロニーを月面ではなく、月‐地球のラグランジュ点L1に配置しています。
しかもこのコロニーがかなりユニークで、ジャイロスコープ型となっています。そのため、コロニーは回転して姿勢を調節できるとか。月とは完全に切り離されているわけではなくて、宇宙エレベーターが伸びているので、月面にも簡単にリサーチに行くことができます。
コロニーの素材にはアルミニウムやチタン合金が使われ、リング状であることから表面積が大きく、効率的に太陽エネルギーを集められます。
Modulpia

ムーントピアの数ある応募のなかで、オンライン投票で選ばれたのがこちらのModulpia。制作チームが「月面での移住のためのシンプル、経済的でサスティナブルなシステムに基づいている提案」だと評するように、建材であるコンクリートにはセメントと水の代わりに月にある材料、硫黄で作られるとか。
コロニー自体はウィア=フェラン構造をモチーフにした、有機的で変わった形状をしています。また、これまでの案と異なり、移住の最初のフェーズでは地底にモジュールを設置し、それから地上へと拡張していくとのこと。
このほかにも佳作には、コンペの中でもひときわ小規模なデザインの1人用の移動ポッド兼スーツ「The Aerosphere」や、140年かけて緑あふれるコロニーを作る「LUNAR OASIS: Where Space Becomes Place」などクリエイティブなデザインがずらり。


SF映画に見ていたような建築や移住計画が現実のモノとなる日も近いかも…と思うとワクワクします。
・月に1年間住むには、いったいどれくらいのコストがかかるの?
image: Eleven Magazine
source: Eleven Magazine( 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7)
参考: Wikipedia
(たもり)