映画を違法ダウンロードされた監督、スーパーに行って仕返しに万引き

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映画を違法ダウンロードされた監督、スーパーに行って仕返しに万引き

アメリカではNetflixに代表されるストリーミングサービスが普及したことで、自宅で無数の映画が見られるようになりました。2008年にはネットトラフィックの31%を占めていたBitTorrentも2015年には5%まで減少しており、「違法ダウンロード、なくなるかも?」なんて期待させられるむきもありましたが、新作映画ケーブルテレビの人気ドラマなどは未だに違法ダウンロードの被害にあっています。

それでもスタジオ制作の大作などはヒットすれば莫大な収益を生むことがありますが、低予算で小規模な作品を作っているフィルムメーカーからすると違法ダウンロードは深刻な問題です。必死の思いで投資家からお金を集めて作った映画、大ヒットとまでいかなくても少しでも投資家にペイバックしたいと作品を頑張って売り込むわけです。

そんな中、友人から「お前の映画見たよ! バイト先でTorrentでダウンロードした映画をDVDで配ってる奴がいるからそいつから借りたんだ」なんて言われたら当然腹が立つのではないでしょうか。腹を立てただけで終わらなかったのが映画監督のケイシー・テボさん。エミー賞も受賞している業界のプロ。

ケイシーさんは違法ダウンロードの仕返しに、このバイト先のスーパーに行って万引きをすることを決意。スーパーに向かう車からスーパーの内部、そして駐車場で警備員に止められて口論になるところまでカメラにおさめています。一部始終はこちらのYouTubeビデオで確認できます。

オレはこれにすごい腹を立ててるんだ。オレが作った映画は低予算だったけど、それでも予算は5700万円(50万ドル)かかった。映画に投資してくれた人々はそのお金を回収しないといけないんだ。この作品はタダじゃないんだよ!

と車の中で怒りを説明するケイシーさん。至極もっともな怒りです。そして車を停め、スーパーの中に入るとクラムチャウダーを作るための材料約30ドル分の商品を万引きします。そしてスーパーを出て車に入ろうとするとすぐに警備員に呼び止められます。防犯カメラですべて見えていたとのこと。

警備員は商品を返せ、じゃないと警察を呼ぶ、とこちらも至極もっともな事を語ります。Caseyさんはここで問題となるダウンロード犯が働いていることを確認した後、彼の理論をぶつけます。

君の店の従業員たちはオレの業界から窃盗を働いている。なんでオレがあなたたちから盗むのはいけないんだ?

と平行線の議論は続き、映像はそこでお終いになります。万引きした商品は最終的には返したようです。後ほど警察から電話も来たとのこと。

YouTubeコメント欄は「万引きと違法ダウンロードの違い」を丁寧に説明するコメントから、彼の作品を罵倒するコメントまで炎上気味な仕上がりとなっていますが、違法ダウンロード問題に注目を集めたかったという監督の狙いは達成されたようです。

image: Pirate Bay via Gizmodo US
source: YouTube via TNW

(塚本 紺)