映画『ザ・コンサルタント』のギャビン・オコナー監督にインタビュー。自閉症スペクトラムの会計士はなぜシラットを使うのか?

映画『ザ・コンサルタント』のギャビン・オコナー監督にインタビュー。自閉症スペクトラムの会計士はなぜシラットを使うのか?

続編の構想もすでにあり!

DCコミックスからコミック化もされた、ベン・アフレック主演の会計士アクション映画『ザ・コンサルタント』。

今回は本作を手がけた、至高の兄弟MMA映画『ウォーリアー』でもおなじみのギャビン・オコナー監督にインタビューして参りました。

なぜ監督は兄弟の物語を描くのか、シラットを選んだ経緯、驚きの続編の構想など、たっぷり語っていただいています。

ワーナー ブラザース ジャパンより

――どのような経緯で本作を手がけることになったのでしょうか?

ギャビン・オコナー(以下、オコナー):プロデューサーが送ってくれた脚本を読んでみたところ、その型破りなストーリーに驚かされたんです。

このようなタイプの作品で、主人公が自閉症スペクトラムというのは初めてだと思いますし、主人公のクリスチャンをすごく気に入りました。そんな彼に焦点を当てた作品を作ってみたいと思ったので、この仕事を受けたんです。

――本作も『ウォーリアー』と同じく、ある意味では兄弟の物語でしたが、これは脚本に元からあったアイデアなのでしょうか? それとも監督の意向で追加したのでしょうか?

オコナー:脚本には元から兄弟や家族という要素が断片的にあったのですが、私はさらにそれを全面的に押し出すように回想シーンなどを加え、クリスチャンと彼の家族の過去を描く作品へと変えていきました。

かなり無意識にやっていたことなんですが、リハーサルをしているうちに「なんだか、『ウォーリアー』っぽくなってきたぞ」と思いましたね。

――やはり監督にとって、兄弟という関係は特別な魅力を感じるものなのでしょうか?

オコナー:父子や兄弟といった家族の絆はストーリーとして魅力的なものですが、本当のところはどこに惹かれているのか、自分でもわかりません。だからこそ、自分はこのアートを通じて、その答えを探し続けているのだと思います。

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――本作は弱点を持ちながらも、類まれなる能力で戦う男の誕生秘話を描く、アメコミっぽさの感じられる内容であると同時に、ベン・アフレックを筆頭としたアメコミ映画/ドラマで有名な人物が出演している作品ですが、あえてアメコミ映画のファンを狙ってキャスティングしたのでしょうか?

オコナー:脚本の段階で、ちょっと現実離れしたコミックっぽい作品だとは感じましたが、私は地に足の着いたリアルな作品を目指しました

もちろん、クリスチャンはスーパーパワーとも呼べる能力を持っていますが、基本的な戦闘技能はあくまでも訓練によって得たものです。なぜ彼が凄腕になったのか?というオリジンが描かれる過程は、あくまでリアルに描いていきました。

ベンがクリスチャンを演じているのも、彼がスーパーヒーロー映画に出慣れていることとはあまり関係はありません。ただ、『ザ・コンサルタント』はアクションがたくさんある作品なので、彼の肉体的にこの役がぴったりだと考えました。同時に、ベン・アフレックのファンとして、彼が今までに経験していないタイプの役に挑戦するところを見てみたいと思ったんです。

そして実際に役が決まると、まず自閉症スペクトラムに関してのリサーチを一緒にしてほしいとお願いしました。キャラクターの細かな仕草まで作り込みたかったからです。

ベンは快く引き受けてくれ、ともにキャラクターを作り上げ、本当に素晴らしい演技を見せてくれました。天才的な頭脳を持つと同時に障がいのある人物を演じる場合、多くの役者は自分のスキルを見せつけるかのようにちょっと過剰な演技をしがちですが、すばらしいことにベンはあえて控えめにおさえた演技をしてくれたんです。

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――ベン・アフレックの仕事ぶりはいかがでしたか?

オコナー:映画監督でもあり役者でもあるという人物と仕事をするのはベンが初めてでした。彼は監督としての経験から、監督が役者にやってほしいことをよく理解しています

彼は役者の振る舞いが映画自体の雰囲気も変えてしまうということを理解しているんです。撮影現場で自分勝手な行動をすると、他の役者にも悪影響を与えます。

だからこそベンは真面目な職人にように、決して遅刻せず、全力を尽くしてくれました。きっと、それが監督としてのベンが役者に求めるものなのだと思います。

――本作でのクリスチャンのアクションは効率的で、無駄のなさが際立っていますが、なぜそのような動きになったのでしょうか?

オコナー:これは脚本から完全に変えた部分で、『ウォーリアー』を担当したスタント・コーディネーターのサム・ハーグレイブフェルナンド・チェンの二人と一緒に、クリスチャンの人物像と生い立ちから彼の学んだ技を考えて、それに合わせた回想シーンを作りました。

それから彼が数学の天才であるというところを考慮に入れて、数学的に見て最速の方法で相手を倒すという戦いへのアプローチ方法を考えたんです。

本作のアクションはキャラクターの過去を探っていく中で、観客を飽きさせずに楽しませるためのものとしても作ってあります。時に残酷ですが、その効率の良さと彼の素直さを表現したかったんです。

――クリスチャンはインドネシアの格闘技「シラット」の使い手ですが、「シラット」を採用した理由はなんでしょうか?

オコナー:どんなスタイルでも選べたのですが、スタント・コーディネーターと技を探す中でシラットを知りました。その効率的でありながらも華やかさもあるところが気に入り、きっと面白いものにできるだろうと思って選びました。

そんなシラットをクリスチャンが学んでいるということのつじつまを合わせるために回想を作ったわけです。

――サスペンスや謎解きの要素もあるシリアスな作品ですが、同時に笑ってしまうようなシーンも随所に挟まれていました。ユーモアを入れたのは監督のアイデアなのでしょうか?

オコナー:そうですね(笑)。脚本の段階から驚きの展開もある、パズルのようなストーリーだったのですが、私は本作をシリアスでリアルにすると同時に、楽しい作品にしたかったんです。

なので、ベンと一緒にユーモアを盛り込んで行きました。ただ、そのユーモアはキャラクターのセリフではなく行動で、わざとらしくない自然な形で表現しようと決めていました。私のすすめもあって、ユーモラスなシーンの多くはベンの即興です。

――今作の続編については考えていますか?

オコナー:スタジオと話はしているんですが、スケジュール的に忙しいのと、きっとベンは私よりもさらに忙しいと思うので(笑)、かなり先になると思います。

そんなこともあって、いま脚本家たちと相談しているのはTVシリーズ化です。ただ、クリスチャン・ウルフを別の俳優が演じるのではなく、彼のオペレーターと彼と同じように障がいがある凄腕のスペシャリストのチームが登場する物語にしようと考えています。

さらに、チームのうちのひとりがクリスチャン・ウルフと同じ会計士であり、師弟関係で、ベンが出演できるようにしようとも思っています。

***

『ザ・コンサルタント』は続きが見たすぎる終わり方をする映画なので、続編が非常に楽しみ!

監督は意識していないと言っていましたが、本作はアンチ・ヒーローもののアメコミに通じる魅力が存分に味わえる映画。また、専門家や養護学校の元を訪れて入念なリサーチをしたという、自閉症スペクトラムの描き方もポイントとなっているので、アクション以外のシーンにも要注目です。

映画『ザ・コンサルタント』は2017年1月21日(土)から全国公開。
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image: (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
source: 映画『ザ・コンサルタント』公式サイト, YouTube

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