米Yahoo終了のお知らせ。新社名「Altaba(オルタナ×アリババ)」の意味すること

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米Yahoo終了のお知らせ。新社名「Altaba(オルタナ×アリババ)」の意味すること

買収の意味が透けて見えるような。

米携帯通信大手Verizonに事業売却後、米Yahoo!の社名が消滅することが、証券取引委員会(SEC)に同社が提出した最新資料で明らかになりました。

Yahoo!ブランドで現在展開しているメール、コンテンツ(スポーツや金融)はすべて、Verizon傘下に組み込まれブランドは消滅。米国の株式市場でもYahoo!の屋号は使えなくなるため、中国Alibabaの株式15%と日本ヤフーの35%と特許は別会社で運用することになります。

まあ、別会社分離は昨年7月の買収発表のときからわかっていたことなのですが、その別会社の社名もわかりました。「Altaba」です。今回の買収の真意がよくわかる社名かもしれません。

「Altaba」の意味

新社名の意味は、正式には発表されていません。しかし誰が見ても字面が似ているため、巷ではもっぱら「Alternative × Alibabaの造語」との噂です。そう思われるのも道理で、今の米Yahoo!はAlibaba強し!なのです。

米Yahoo!は2005年、まだ小さなスタートアップだったAlibabaに10億ドルを投じ、40%の株式を取得しました。それが今や持株比率15%でななななんと300億ドル(約3兆4480億円)の巨大企業。米本社中核事業の買収額48億ドル(約5540億円)より、もう桁違いに大きいんですね。

自分が創業した会社を石もて追われたYahoo!共同創業者ジェリー・ヤンではありますが、万里の長城で欧米人の観光ガイドをやりながら英語の修行をしていた貧乏青年ジャック・マー(のちのAlibaba創業者、当時月給12ドル)に出会ったことが、シリコンバレー史上に残る投資案件の遺産へとつながりました。行ってみるもんです、万里の長城。

節税のプランB

ただ、この投資の成功がYahoo!解体を早めたとの見方もあり、その異常な状況については2016年7月のフォーブス日本版に詳しく書かれています。

米Yahoo!は、検索ではGoogle、コンテンツではFacebookに追い詰められ、もはや幽霊船。四半期報告よりアリババ株で株が動く悲惨な状態です。アリババ株を切り売りすれば存続できそうなものですが、売れば売ったで、税金で38%持っていかます。つまり100億ドル、本社中核事業の倍が税金に消えちゃうんですね。で、節税を突き詰めた結果、投資会社をスピンオフする計画には政府からOKがもらえなかったので、本社事業をVerizonに売ってブランドを消滅させたうえで新会社にするB案になった、とのこと。いや~とにかく面白いので、フォーブス日本版でぜひ読んでみてください!

それにしてもこの新社名、AltaVistaに空目しそうですよね。「AltaVistaか…懐かしいな。今どうなってんの?」と思ったそこのあなた! よくぞ聞いてくれました! AltaVistaは2003年にYahoo!に買収され、2013年に終了。今アクセスすると、Yahoo!に遷移しますよ。

AltaVistaで元祖検索エンジンLycosを思い出した年長組のみなさま。こちらは奇跡的に存続しています。ちょっとオシャレになって。本当はYahoo!もこんな風に地道に残っていけたのかもしれないのに、むぅ…。

image: screenshot/CNBC
source: Ars Technica, CNBC, フォーブス日本版
参考: Freshtrax, AltaVista

(satomi)