さすがの有言実行。
テクノロジー企業は破壊的であるべき、だからとりあえず壊さなきゃ!ってことなんでしょうか。WIREDによると、とにかくSpaceXのCEO イーロン・マスク氏は、先週から地面を掘っています。それもちゃんと重機で、約9m×15m、深さは4.5mほどもある穴です。でももちろん目的があって、それはロサンゼルスの地下に高速トンネルを作る実験なんです。
ことの発端は去年12月、マスク氏がTwitterでロサンゼルスの渋滞について不満をもらしたときでした。彼は「渋滞でおかしくなりそうだ。トンネルを掘る機械を作って、掘り始めよう…」とつぶやき、「本当に、やる」と宣言したんです。
I am actually going to do this
— Elon Musk (@elonmusk) December 17, 2016
「今年は読書するぞー」とか「明日からダイエット!」とかソーシャルで宣言することはよくありますが、マスク氏が凡人と違うのは、そんなただの思いつきにも見えた約束をちゃんと実行しているところです。
でもトンネルを掘るって、簡単じゃありません。「自分たちでも、何をしてるかわかってないんだ。それははっきりさせておきたい」マスク氏は週末に開かれたSpaceX主催のハイパーループデザインコンペで明言していました。
先週マスク氏はThe Vergeに対し、「トンネルがなければ、我々は永遠に渋滞地獄の中だ」と、その思いを語りました。そしてロサンゼルスの地下にトンネルを掘るというアイデアこそ「都市の渋滞を解決するカギ」と自賛、「トンネル技術が改善すればすべて良くなる。道路も、地下鉄も、ハイパーループも」などと伝えています。
またWIREDに対しては、「トンネルを10層、20層、30層(またはそれ以上)も深く掘れるとしたら、3Dで下に広がっていくことで、どんなサイズの都市の交通ニーズでも対応できることははっきりしている」と、トンネルについて具体的な展望を語っています。
高いビルはみんな3Dで、誰もがそのビル群に同じ時間に入っていき、出ていこうとしている。道路が2Dではそれは明らかに機能せず、上か下へ3Dになる必要がある。それは多分、下に行くと私は思っている。
つまり3Dが交通網の未来ってことでしょうか?
しかし都市計画の専門家の中には、マスク氏の地下のビジョンに首を傾げる人も。カリフォルニア大学の都市計画研究者はWIREDに対し「米国での最近のトンネルに関する実態を考えると、近隣住民は心配し、いくつもの環境関係の法令が障害になり、しかも地面の下に何があるかはまったくわかりません」と語っています。
現在、マスク氏の穴掘り場所は会社の敷地内に限られているので、ロサンゼルスの地下高速道路なんてのは近々にはできません。彼は以前ロサンゼルス国際空港に行ける高速トンネルを作りたいと表明していましたが、ロサンゼルスの公共事業部門の広報官はWIREDに対し、それにはロサンゼルス市議会の承認が必要だと言っています。
先週あたりからいつになくお騒がせな言動が目立っているマスク氏。Twitterでレックス・ティラーソン氏の国務長官就任支持を表明したり、ジャーナリストとDMを送り合ったり、ドナルド・トランプの「違法な」移民禁止をどうやって修正させるべきかアイデアを募ったりしています。
でもマスク氏がトンネルの夢を実現できなくても、心配はありません。トランプ氏の当選以降、自身がCEOをつとめるTesla(テスラ)の株は絶好調だし、マスク氏自身も政府のお役目を務めて、がんばってます。チーム・トランプのために力が入っちゃってて、ちょっと心配なだけです…。
・トランプの追い風でテスラ株爆騰のイーロン・マスクが、石油会長の国務長官推薦を絶賛。本人に理由を聞いてみた
image: Marxstudio / Shutterstock.com
Eve Peyser - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)