『スイミー』みたい? グッピーは身を守るために団結する

『スイミー』みたい? グッピーは身を守るために団結する

むか~しむかしに読んだ『スイミー』の話は、あながちファンタジーじゃないかもしれません。

今月Scientific Reportsに発表された研究によると、グッピー(Poecilia reticulata)は身のまわりに捕食者がいる場合、仲間同士の友情を深めて団結することが確認されたそうです。グッピーといえば日本でもおなじみの熱帯魚ですが、もとは1866年にイギリスの植物学者、グッピー氏がトリニダード・トバゴから持ち帰ったといわれています。野生のグッピーは固定の群れをつくらず、流動的なかたまりで生活しながら敵の偵察などを協同で行う社交性を持ち、今までの研究で一度会えばお互いの「顔」を覚えられることが明らかになっていました

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トリニダード・トバゴで捕獲された野生のグッピー
(image: Univ. of Exeter)

今回の研究では、まずトリニダード・トバゴでグッピーの野生種のメスだけが240匹捕獲されました。メスに比べて持続的な社交関係を結ばず、群れから群れへと渡っていく流れ者が多いオスは、最初から除外されたそうです。群れるのは女子ってところが人間界にも共通するような?

さて、半分ずつに分けられたグッピーは、片方は平和な暮らしを送り、もう片方は研究者たちの手によって「人工的な捕食者」の脅威にさらされました。3種類の「捕食者」が用意され、カワセミなど空からの脅威(糸で吊られたネジを水槽に落とすことで再現)、カマスなど水中の脅威(13センチもあるルアーで再現)、そして水中の脅威をよりリアルにするために、敵の魚のミンチ肉をろ過して作ったドロドロな敵の匂いエッセンスが使われたそうです。徹底したイジメっぷりですね…。

その結果、怖い思いをさせられたグッピーたちのほうが、初対面の魚同士でも早く打ち解けていたことがわかりました。また、結ばれた友情もより強く、捕食者の脅威が取り除かれた後も続いたとのこと。さらに、一緒に行動する群れが小さければ小さいほど友情の絆が強かったそうです。

Science Dailyにおいて、イギリス・エクセター大学教授のDarren Croft博士は、群れが大きいと覚える顔も増えるので、グッピーの認知能力では対処しきれない可能性を指摘しています。身を守るために友達をつくる動物はほかにも多く記録されていますが、友達の数が増えすぎると強い友情を維持できないという矛盾が発生するとも考えられるそうです。

University of Yorkによると、本研究においてコンピューターサイエンスと生物学部門のリーダーであるDaniel Franks博士は友情とはそもそも捕食者から身を守るために生まれたという仮説がありますが、それを支持した結果となったと述べています。今後の研究成果が期待されます。

おしっこをかけあってコミュニケーションする魚がいるようです

image: KreativKolors / Shutterstock.com, University of Exeter
source: Scientific Reports, Natural Science News, Science Daily, University of York
参考:Wikipedia
(山田ちとら)

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