紫外線の光でくっついたり剥がれたり制御できる接着剤を発明! あなたもスパイダーマンになれる?

紫外線の光でくっついたり剥がれたり制御できる接着剤を発明! あなたもスパイダーマンになれる?

だれでもスパイダーマンになれる時代がやってきます。超粘着性の光制御スパイダーブーツが手に入ったなら...。

ドイツ、キール大学動物学研究所のEmre Kizilkanさんが率いる研究チームが、光だけで瞬時にくっついたり剥がれたりする強力な接着剤を開発しました。

この新たな万能接着剤は、まず第一に、精密なマイクロエレクトロニクス産業への応用が期待されています。しかし、そんなアカデミックな目標の先に、人間をスパイダーマンに変身させるというファンタスティックな未来をみているようです。

科学誌Scienceの工学系ジャーナル「Science Robotics」に掲載された研究結果によれば、この夢のような接着剤はヤモリの足から発想を得たそう。

ヤモリが垂直面でも逆さまに歩くことができるのは、ヤモリの足指の下にある階層構造のおかげ。その構造体は、実質的な接着の役割と同時に、機械的刺激による迅速な離脱をも実現しています。そのような自然界の刺激応答のシステムから発想を得て、人工の光制御可能な微細構造輸送装置を開発した、ってことなのですが、具体的にはどんな風に再現できたんでしょう?

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image: Emre Kizilkan and Jan Strueben

まず、紫外線(UV)光の下でカールする分子アゾベンゼン膜の上に、ヤモリの足の構造のデザインを取り入れました。その表面には、長さがわずか70マイクロメートルの数千ものキノコ状の柱がひしめき、隣接する分子間に働く引力ファンデルワールス力により粘着力が得られます。

電子がいくつかの原子に均等に分布していないために発生する、これらの本然的な力により、電荷が自然に上に蓄積し、何にでもくっつく、という仕組み。科学者は、UV光をオン/オフしながら、微小なキノコ柱をどのくらい表面に触れさせるかコントロールできるのです。

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image: Emre Kizilkan and Jan Strueben

科学者は、UV光の照射により膜がカールし、持ち上げたいものに触れる粘着面積に影響を与えるという特性を、2つの異なる方法で使用しました。

まず、光をオフにしてガラスプレートのような平面体の表面を持ち上げます。次に光をオンにし、カールしたテープで球体を持ち上げ、光を再びオフにすれば、接着面が平らになって球体が外れるという仕組み。この「平面体や立体を輸送するピックアップおよびドロップダウンシステム」は、ミクロの世界のUFOキャッチャーをイメージするとわかりやすいです。

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image: Emre Kizilkan and Jan Strueben

まずはマジメな応用法について、「半導体の基板材料シリコンウェーハの輸送など、極めてクリーンな環境を要する製造現場で特に役に立つ」とKizilkanさんは解説しています。テキサス大学の物質科学者Taylor Wareさんも、「この研究の優れた特徴は、迅速かつ可逆的であること」と評価し、この装置が製造環境で微小物を輸送するのに最も有用、と太鼓判。

その先は、夢の実現のお話。Kizilkanさんは、この技術を最終的には壁登りのための接着剤に応用したいと望んでいます。わずか20平方センチメートルの表面でも、大の男ひとりを持ち上げられる超絶粘着力は、まだ実際に人間には試していません。Wareさんは慎重に「この素材の耐久性には多くの懸念が残っている。何らかの方法で汚れてしまうと、効用が制限されることもある」とクギをさしますが、Kizilkanさんは、「汚れても素材自体は変わらない」とやる気満々。

超高層ビルによじ登りたくてウズウズしているスパイダーマン予備軍はたくさんいるはず。科学者が早くスパイダーブーツを作ってくれるよう期待しましょう。

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top image: YouTube
source: Science Robotics, YouTube

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(Glycine)

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