「学生のとき、ちゃんと勉強していれば...」なんてカンケイない。
子どもでも大人でも、計算が早い人って純粋にかっこいいですよね。スマホをアンロックして電卓アプリの起動を待つよりも、暗算するほうがよっぽど早いときだってあります。
「ちょっと待って、いま暗算したの?」なんて、いつか誰かをアッと言わせてみたい、でももう手遅れ...なんて思っている人がいれば、そんなことはありません。コツさえ掴んでいれば、意外とあっさり暗算できちゃうことでもあるんです。
これから紹介するのは、暗算をラクにする10のトリック。正直、いささかややこしいのもありますが、自分に合うやり方さえ見つけたら、2桁や3桁から何十億という単位の計算まで、パパッと暗算できるようになるかもしれません。
1. 左から右に(足し算・引き算)
例題:58+26=?
まずは、普段通りのやり方で解いてみてください。
2桁以上の数字は、右から左へ、つまり1桁目の数字から足し算/引き算する...というのが一般的な机上での計算方法でした。
ではこれを、左から右へ、すなわち2桁目の数字から計算するとどうでしょう?
(1)50+20=70
(2)8+6=14
(3)70+14=84
(1)まずは10の位の数字を計算して、(2)次に1の位の数字を足します。(3)最後にそれらを足し合わせる...というやり方。小学校で習った方法が机上で計算しやすかったとすれば、暗算ではそれとまったく逆のアプローチをとってみるのもひとつの手なのです。
2. 細かい数字をシンプルに
例題:593+680=?
さて今度は3桁の足し算です。593という細かい数字がちょっと厄介そうですが、これを次のように計算しやすい数字に置き換えてみます。
(1)600+680=1280
(2)600-593=7
(3)1280-7=1273
(1)まずは593という数字をシンプルな600という数字に置き換えて計算します。(2)もちろんこのままでは答えまで7足した分だけ増えてしまうので、(3)最後に増やした分を引いておきましょう。
いかがでしょうか。計算式をそのまま解こうとするのではなく、まずは計算しやすい数字に置き換えて、最後にその差分を埋めるというやり方です。
それでは同じやり方で次の掛け算を解くとしたらどうでしょう?
例題:89×6=?
90×6=540
(90-89)×6=6
540-6=534
慣れれば(まずは慣れるまでが第一関門ですが)、2桁、3桁の数字の暗算もずいぶんラクになりそうです。
3. 分数、小数のきまりを覚えておく
「パーセント」、「小数」、「分数」で表す数字も、軽視することなかれ。たとえば3/4=0.75、1/6=0.166...というように「1/n」を覚えておくと、定量的なデータを扱うビジネスシーンに限らず、バーゲンセールから飲み会の割り勘を計算する場面まで、わりと日常的に役立つかも知れません。

4. 数字の「0」と「5」を利用する
ここでは、「0」や「10」を掛けるといつでも1の位は0、「5」を掛けると1の位が0または5になるという法則を利用します。
例題:82×4=?
再び数字をシンプルにするために、82を80と2というように位ごとに分けて、それぞれに4を掛けて足し算をするやり方で考えてみましょう。
(1)80×4=320
(2)2×4=8
(3)320+8=328
例題:15×8=?
また数字が「15」なら、最初に10を掛けて、その半分の数(*)を足せば答えに辿り着けます。すなわち、次の通り。
10×8=80
5×8=40(*80÷2=40でもOK)
80+40=120
例題:16×24=?
同じ方法を応用すると、「16」の掛け算も簡単に解けます。
15の場合は単純に半分でしたが、16の場合は15から1増える(16-15)ので、その分掛ける数字(24)を最後に足すのがポイント。最後の足し算(*)がなければ、15×24の答えになってしまうので要注意です。
10×24=240
240÷2=120
240+120+24(*)=384
5. 倍数を使いこなす

1から20までの数字の2乗の倍数を覚えておけば、本当に暗算に役立つのか...まずは、わかりやすくするために(暗算できないと仮定しながら)以下の例題をやってみましょう。
例題:10×4=?
まずは、10と4の数字のあいだをとると、7になります。
(10+4)÷2=710と4の平均値である7との差はどちらも3。
10-3=7
4+3=7
ここで倍数を使います。7の倍数は49、3の倍数は9です。
49-9=40ということで、10×4=40でした。
それではもっと難易度を上げて、次の例題を同じやり方で解いてみましょう。
例題:15×11=?
(15+11)÷2=13
15-13=2
13-11=2
2の倍数は4, 13の倍数は169なので
169-4=165でした。
6. 大まかな数字を出す
何千万なのか、何百万なのか、何十万なのか...というように「だいたい」の数字を考えるときに役立つのが、フェルミ推定。
たとえば「シカゴにピアノは何台ありますか」という問いのように、正確な台数は算定できずともおおよその数字を算出する手法です。以下のTED-Edの動画では、日本語字幕つきでそんなフェルミ推定について紹介しています。ご参考までに。
7. 数字を"リフレーズ"と"リアレンジ"する
例題:5×(14+43)=?
式はやや複雑になりましたが、向き合い方はこれまでとほぼ同じです。
まずは43をわかりやすく40に言い換えます。(リフレーズ)
それから残りの3(43-40)も合わせて計算します。すなわち、次の通り。
(5×14)+(5×40)+(5×3)=285このように複雑な式をリアレンジするときは、計算する順番を守ることをお忘れなく。
8. 答えが合えばそれでいい
例題:5×28=?
(1)10×28=280
(2)280÷2=140
いきなり10という数字が出てきたようにも見えますが、やっていることは単純です。(1)5に2を掛けて(2)出てきた答えを2で割るというやり方。
24×2×2=96例題:24×4=?
ここでは、4=2×2と考えて計算しています。同じ考え方で、ちょっと大きな数字も小さな数字に因数分解すると一気に解きやすくなります。
9. 億単位の数字にも計算方法はある
例題:440億÷40万=?
(1)まずは答えが何十万、何百万...と、どれほどの値になるのかを算出するために、「0」の数の分だけ計算します。440億は44,000,000,000で「0」が9個あるのに対して、40万は400,000で「0」が5個。
(2)次に、「0」でない部分の数字(例題では「44」と「4」)を割り算します。(3)最後に(1)と(2)で出した数字を使って計算を終えます。
(1)10の9乗÷10の5乗
(2)44÷4=11
(3)11×10(9乗-5乗)
= 11×10(4乗)
= 110,000
10. チップを計算する簡単な方法
最後は、海外のレストランでチップを払う場面。サービスのレベルに合わせてチップの額を10%、15%、20%のケースで支払うとします。ちょっと想像してみましょう。
例題:$112.23の10%、15%、20%はそれぞれいくらか?
サービスがまぁまぁだったので、チップは10%支払いたいとき。これは単純に$112.23から小数点の位置をズラせば良いだけなので、答えは$11.22。
次に、サービスが抜群に良かったので20%払いたいとき。考え方は同じです。10%よりも2倍の20%なのであとは2を掛けるのみ。よって答えは、 $22.44になります。
それでは、普通のサービスを受けたのでチップも平均的な15%を支払いときはどうしましょう?
学校のテストと異なり、チップの計算は「だいたい」で良いので小数点は省きましょう。チップ10%のときは、おおよそ$11払ったので、その半分(11÷2)の「$5.50」を足せば、15%分になります。
$11+5.50=$16.50...いかがでしたか?
さまざまな場面や、どんな数字を計算するかによって使い分けることができたら、スマホを握りしめていた日常がほんのちょっぴり変わる気がします。
image: Elena Scotti / Gizmodo US, Shutterstock.com
source: TED-Ed - YouTube
reference: Fact Monster, Math Goodies
George Dvorsky - Gizmodo US [原文]
(Rina Fukazu)