魔法を実現させた魔法。映画『ドクター・ストレンジ』のVFXの裏側

魔法を実現させた魔法。映画『ドクター・ストレンジ』のVFXの裏側

街破壊無しの異色マーベル作品。

惜しくもアカデミー賞視覚効果賞を逃してしまった映画『ドクター・ストレンジ』ですが、だからと言ってVFXの技術が低かったなんてことはありません。

むしろここまでの技術だったのになぜ逃したのか、では『ジャングル・ブック』はどれだけすごいのか、と思わせるいくつかの裏側映像がArt of VFXによって取り上げられています。

まずはILMVisualFXによる、ニューヨークの街中にやってきたドクター・ストレンジがカエシリウスと戦うシーンの裏側映像。『ヘル・レイザー』のルマルシャンの箱よろしく建物が機械仕掛けに動く壮大な場面です。

同じくILMVisualFXによる、香港の崩壊と再建シーンの裏側映像。

次にBBC Clickによる、ILMのVFXスーパーバイザー、マーク・バコウスキ氏が香港の崩壊と再建シーンについて解説する動画をどうぞ。

香港崩壊/再建シーンは、街の時間を戻しつつ、ストレンジたちは通常の時間の流れの中で戦うというもの。

このシーンを製作する上で鍵を握ったのが、コンピューターによってフレーム単位で制御されるモーション・コントロール・カメラ合成素材を撮影するために使われる特殊なカメラで、逆回しの背景素材や、ストレンジら俳優の動きを個別に撮影し、その上にスモークや爆発、煙のレイヤーを重ねています。

背景はストレンジたちの動きを無視して再建されていくため、途中で建物が敵を巻き込んだり、車がぶつかって来たり、落下物が肩にぶつかったりします。そういったものを違和感なく見せるために、3Dの空間の中に俳優らの位置を示すものを配置することで、逆回しの背景と俳優がひとつの空間に存在しているように見せています。

こうして作られている圧巻のシーンですが、vfxblogによると、観客が俳優の動きやセリフに気を取られて、肝心の背景に目が行かなくなってしまう恐れがあったそうです。そのため、背景にも常に意識を向けてもらおうと「破片や瓦礫が元に戻っていくことを感じさせるサウンド・エフェクトに気を使った」とILMのリチャード・ブラフは語っています。

試しにシーンをミュートにして見てみると、確かに背景にそこまで注意が向かなくてビックリしました。このシーンの製作にVFXは必要不可欠ですが、この逆回り背景を主役級の存在感にしたのはサウンド・エフェクトだったというのは面白い発見でした。

映画の魔法の変遷。歴代アカデミー視覚効果賞受賞映画のまとめ動画

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source: Art of VFX 1, 2, vfxblog, YouTube 1, 2, 3

中川真知子

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