「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展 2)」に毒ありペットの飼い主が行ったら、さらに毒に酔いしれた

「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展 2)」に毒ありペットの飼い主が行ったら、さらに毒に酔いしれた

、その神秘ゆえに人を惹き付けてやまないもの…。

2014年に約20万人が来場し、好評だった「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」。バージョン2が今月16日より、池袋のサンシャイン水族館で開催されています。その名も「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」。

すでに毒がある生き物を愛玩している筆者、さっそく行ってきました。

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行ってらっしゃいまし~、とペットの南米淡水フグ(左)とアベニーパファー(右)

最寄りである池袋駅から会場までのサンシャイン通りを歩く時点で、「もうどく展2」のポスターが道なりにずら~っと「毒押し」しまくっています。気持ちもアガるってものですね。

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サンシャイン水族館につきました。「もうどく展2」の会場は常設展とは別に設けられています。受付のディスプレイにも気合いが入っています。マットも「もうどく展2」のために特注だそうですよ。

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今回の「もうどく展2」は前回から展示する生き物を一新しただけではありません。なんと五感体感できるというのです。まずは視覚ですが、生き物を見るだけでなく、「毒」がイメージする世界観の演出にこだわっています。そして聴覚では前回と同様、松本リョウスケさんによる毒をイメージするBGMが流れています。

展示スペースは「魔女の毒薬調合室~防御するための毒をもつ生物~」、「マッドサイエンティストの研究室~毒を利活用する生物~」、「レッドゾーン~死亡例のある生物~」の3つに分かれており、それぞれを表現したディスプレイとなっています。確かに魔女とヒキガエル(毒あり)は定番セット。『ハリポタ』でもネビルが「トレバー」をペットにしていましたしね。マッドサイエンティストは実験動物を扱っていそうですし。…最後は、至極ストレート

魔女の毒薬調合室~防御するための毒をもつ生物~

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いよいよ毒毒しいカーテンのかかった入口から、まずは「魔女の毒薬調合室」に足を踏み入れます。紫とピンクを基調とした色で、怪しさいっぱいです。

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毒と一言で言っても、神経毒やタンパク毒、出血毒など、さまざまな種類がありますが、展示されているすべての生物には毒の種類や部位、症状の記載の他、毒の強さが「毒レベル」として1~5までラベル付けされています。客観的に比較して楽しめるわけです。ただし、一部よくわかっておらず「?」と書かれているものも。例えば、食べ物から毒を摂取している場合、時期や住んでいる場所によって摂取する毒の量が変わるからでしょう。想像の余地があるゆえの怖さがありますね。

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特に目を引いたのが「ポルカドットスティングレイ」というエイ。受付の特注マットのモデルにもなっているのもこちら。黒地に白の水玉模様の美しいエイです。エイ特有の呼吸に合わせて口の付近のフチがペラペラめくれる様子も愛らしく、飼いたいと思ってしまいました。実際、観賞魚として販売されてもいるようです。しかし毒レベルは4で、痛みや腫れ、めまい、呼吸困難に痙攣など、かなり強め。

この部屋に展示されている生き物は基本的に防御のために毒をもっているので、自分から襲い掛かってくる性質ではないようですが、水槽掃除中にでもうっかり触れようものなら驚いて、敵認定されることでしょう…。では、毒がどこにあるのかというと、尻尾のすぐ上のちょこっと飛び出た部位毒針なんです。

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こちらはポスターで使われるような黄色と黒の配色が鮮やか。イモリの仲間の「ファイヤーサラマンダー」。敵に襲われると胴体の毒腺から秒速3mで毒を吹き出すそう。毒レベルはこれまた4で、痙攣や呼吸困難の症状に。

毒のある生きものは美しい容姿のものが少なくありません。「警告色」といい、「俺って危険なんだぜ、近寄るんじゃねーよ!」と主張しているわけです。ただ、美しさゆえにかえって人間にペットとして捕獲されてしまうことも多々あるのがせつないところ。

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ちなみに、生き物だけでなくディスプレイを何気なく見ると、代表的な毒キノコたち。こういう細かな「仕込み」にも抜かりないので、発見するのも楽しいですよ。

マッドサイエンティストの研究室~毒を利活用する生物~

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次の部屋は「マッドサイエンティストの研究室」です。先ほどの妖しさとはうってかわり、コンクリうちっぱなしの病院のような雰囲気で、実験レポートのようなものがところどころに貼られています。

入ってすぐ目についたのが「モンガラカワハギ」。黒字に水玉模様、黄色いポイントカラーもおしゃれです。これまた飼いたくなるような見た目で、観賞魚として売られていることがあります。

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毒レベルは3で吐き気とめまい、下痢を起こす、そしてバラハタのように「シガテラ毒」を持っている可能性がある、と説明に書かれていました。シガテラ毒はフグ毒と同様に、食物連鎖でプランクトンのもつシガテラ毒素が生物濃縮により、体の中にたまっていきます。

フグはフグの仲間から毒をチャージしている

ちょっとゾっとしたのが、モンガラカワハギって毒なのね、ということ。けっこう刺身だの鍋だので美味しく食べた話を聞くのですが…(もちろんダメですよ)。毒があるのは内臓部分ということと、シガテラ毒をもつプランクトンは熱帯の海にいるので、水温が低めの所で釣ったものはリスクが低いからでしょうか。

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モンガラカワハギの説明で書かれていた「バラハタ」も近くに展示されていました。昨年、築地でうっかり売られていたとニュースになったのもこの魚。ハタの仲間なので美味しいはずで、規制がない沖縄では販売されているそうですが、食中毒の報告もされています。

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そして印象的だったのは「ポートジャクソンシャーク」。愛嬌のある顔とヌラッとしたエイリアンっぽい質感。インパクトがある見た目と裏腹に、毒レベルは2と弱い。毒は背びれにあり、痛みと腫れを引き起こすそうです。水族館発でブームになった生き物に、「ダイオウグソクムシ」や「チンアナゴ」がいますが、このポートジャクソンシャークもなかなか人気が出そうな姿です。

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口がモフモフっとしているのが愛らしいです。この口の中には丈夫な歯が隠されていて、貝や甲殻類をバリバリ食べるんだとか。

嗅覚で味わう毒、スカンクの臭い体験

さて、この部屋のラストには今回の最大の目玉ともいえる「スカンク」がいます。夜行性なので朝は眠いのか、トローンとした目でまったりだらだら。すっかり毒気なんて抜かれているご様子。一見、超癒し系な生き物。

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でも、スカンクといえば誰もがイメージするのは、そう、匂いでしょう。なんと今回の「もうどく展2」では、スカンクの臭いを体験できるんです!

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お客さんに臭いをかいでもらうために、あつらえられたコーナーはこちら。臭いが拡散しすぎないようにか箱型の空間の中に、下にあるPUSHボタンを押すとシュッと臭いが出てきます。

実際に嗅いでみました。

あれ、平気っぽいぞ…?

…オエー…オエー………やっぱ無理でした

数秒後になって繰り返される嗚咽。鼻ではそれほど強い刺激に感じなかったのに、体が拒否して言うことをきかないのが、むしろおかしく思えるほど!

臭いはもわっとした感じで、つーんとはせず。ちょっと甘さがあり、タマネギニンニクのような。一番身近なものだと、ゴキブリの大好物であるタマネギが入っている、ゴキブリ駆除剤の臭いを数倍濃くして、鼻の中につっこんだ感じでしょうか。

でも、スカンクの臭いとタマネギの臭いに全く同じ臭い成分が入っているわけではありません。Humboldt State Universityのレポートを参考に考えると、スカンクの臭い成分はブタンチオールを主成分としていますが、他にも多くが悪臭を持つチオール系の成分を複数含んでいます。チオールの一種であるエタンチオールの臭いがタマネギやニンニクの腐敗臭と形容されるものなので、共通して感じる部分があるのでしょう。

ところで今回用意されたスカンクの臭いですが、さすがにスカンクを何匹もバックヤードにスタンバイさせておいて、お客さんの前で次々にガスを発射させてローテーション…というわけにはいきません。そんなことしたら、動物愛護団体からも苦情がくることでしょう。オーストラリアのコアラは「コアラ労働基準法」で労働時間1日30分以下と決められているご時世ですし(コアラ、羨ましいぞ)。

サンシャイン水族館の広報、中山さんの話によりますと、そもそもスカンクは輸入時の検疫の段階で、臭腺カットしないと国内に連れ込めないのだそうです。そこで、国内で唯一シマスカンクの繁殖に成功している長崎バイオパークに協力してもらい、過去に除去した冷蔵保存しておいた臭腺を参考にしたそうです。スカンクは生まれた時には臭腺を持っていますが、飼育する上で大変なのでほとんど除去してしまうとのこと。ペットとして売られているフェレットが臭腺を除去されているのと同じですね。

そんなとっても貴重なスカンクの臭い。どのように参考にしたかというと、調香師の匹田愛さんがクンクン。3000もの香りを操るスキルを駆使して調合、再現! クサい臭いゲットのために、なんという本気でしょうか。

(※サンシャイン水族館より、使用許可をいただいております)

もちろん、今回の展示では成分は薄めてあるそうです。スカンクのクサい臭いは通称「おなら」と言われるものの、本来はスカンクが強い危険を感じると肛門嚢から敵めがけて噴射する分泌液。直接かかったら、失神失明までしてしまうほどの威力があるとか。

それに今回は少し離れて嗅いでみましたが、臭いを放出する箱型の空間にダイレクトに鼻をつっこんでいたらこんなレベルでは済まなかったことでしょう。「目がぁ~」って『ラピュタ』のムスカ大尉みたいになってしまったりして…。

レッドゾーン~死亡例のある生物~

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最後の部屋は「レッドゾーン」。死亡者を出したことのある生き物が展示されています。

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ディスプレイも「」を前面に出しており、骸骨がゴロゴロなのがシュール。ご一緒しているのは海のギャングなんて呼ばれる、ウツボの仲間な「ドクウツボ」。内臓筋肉に毒があって、吐き気や下痢、めまいを起こすそうです。毒の部位的に食べられた記録がありそうですね。実際、ウツボ湯引きで食べたことがあるのですけど、癖のない白身とゼラチン質の皮が美味しい魚ですし。

もちろん、この部屋に展示されている生き物、ほぼ毒レベルは5。

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こちらは「ウンバチイソギンチャク」。まるで花弁がたくさんある花のようで美しいですが、毒は痛みや痙攣や呼吸困難を起こす、イソギンチャク界で最も強い毒と言われてるそう。沖縄のどの海域にも生息していて、遭遇率が高そうなのが怖い。ウンバチは海の蜂の意味。

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こちらは「アカエイ」。尾をふりまわして攻撃するんだとか。日本海沿岸にいて海水浴や潮干狩りでの被害が多いそうなので、これからの時期は要注意。ドクロと毒のある生き物を一緒にしたディスプレイが醸し出す、原因と結果感…。

とはいえ、やはり遊び心も。水槽の中をよくよく見ると…

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そして、この部屋では新たな五感、触覚で毒の体験が可能。

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エラブウミヘビ」の「燻製」を触れるコーナーが。こういう切り口できたか、という感じですが、生体を展示したくてもヘビは逃げるのが得意なので管理が難しいとのこと。

そもそも、展示したくても絶滅危惧種なので不可能なものが少なくないという事情もあるそう。毒のある生き物で憧れといったら、オーストラリアの「カモノハシ」と南米の毒鳥「ピトフーイ」なのですが、いつか現地に行って見に行くしかないですね。

考えてみれば、前回展示されていた「スローロリス」も10年ほど前はペットとして飼っている人が見られましたが、2007年にワシントン条約による規制が「附属書II」(商業目的の取引はできるが輸出許可書が必要)から「附属書I」(国際取引禁止)になりました。同じく昨年は、大型インコのペットとして人気の「ヨウム」も。保護のためには仕方がないとはいえ、いつか飼いたいと思っていたのでショックでした。今回展示されていた中でも今後は見れなくなってしまう生き物がいるかもしれず、この機会に今、見ておくべきでしょう。

今回の展示では、他にも青い色が美しい「ブルータランチュラ」や背中の緑にお腹の赤のコントラストが鮮やかな「チョウセンスズガエル」、ヤスデ界で世界最大の「タンザニアオオヤスデ」など興味深い生き物がたくさんいました。しかし生き物なので隠れていたり寝たりしていて、鑑賞の売りである鮮やかな部位が見れなかった生き物も。ということで、またぜひ訪問したいと思いました。

カラフルなコラボメニューで毒を楽しむ

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さて、最後に残った五感は味覚。まさか毒を食べるわけにはいきませんが、3つの部屋をイメージしたカラフルな色のポップコーンがお土産に販売されていました。

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また、カフェではコラボメニューが。「ヒョウモンダコ」と、すでにおなじみの「ポルカドットスティングレイ」を象ったケーキ。そして解毒(デトックス)メニューとしてサラダやドラゴンフルーツが入った、色は毒々しくもさっぱりとしたフルーツヨーグルトが提供されています。

もちろん、私は毒食わば皿までの主義なのでケーキを2つ美味しくいただきました。ヒョウモンダコは前回展示されていた生き物で今回は見れなかったのですが、見た目的にいかにも毒っぽいので、ここは食べるしかないでしょう。ヒョウモンダコはキャラメルムースにオレンジママレードが入ってて、台はチョコレートのクッキーというさわやかなケーキ。ポルカドットスティングレイはチョコレートムースにフランボワーズソースに台はクランチという濃厚なケーキ。人気すぐ売り切れてしまうとか。

五感は展示の全てにあった

さて、五感で満喫してきた「もうどく展2」。味覚に関してはコラボメニューというかたちでしたが、実は味覚を含めた「五感で満喫」は展示全般の根底にあるのではないかと感じました。地域によって食べられている魚もいましたし、エラブウミヘビは沖縄でエラブ汁として食堂のメニューにもありますしね。

また、説明にも「加熱しても毒は消えない」「無毒のものもあるが食べるのはすすめない」「毎年(食べて)死亡例がある」など、食からの視点がうかがえる表記がちらほら。食べるのでなければ捕獲して「ペット」にされているものもおり、毒は怖いが人間はそれを超える最強生物だなと改めて思いました。

ちなみに、やはり日本人にとって毒のある生物で最もおなじみであろうフグを代表して、「コモンフグ」が展示のラストを飾っていました。「日本でもほぼ毎年死亡例がある」という説明はつまり、食べて亡くなるってことですね。でも、きちんと調理すれば食べられるんですよ(ただし要免許)。毒レベルの表記で、強さ以外のエンカウント率などもシミュレーションゲームのキャラクターパラメータのように加味されたら、より興味深いかもしれません。

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コモンフグ。唯一、好奇心旺盛に自分から近寄ってくるところもまた…キングオブ毒のある生き物感。

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サンシャイン水族館の「もうどく展2」は6/25(日)まで開催しています。GWも含めた長期間ですし、サンシャインシティでのお買い物のついでにでも、立ち寄ってみては。そして、嬉しいことに好評だった前回の「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」も再び静岡の七間町通り特設会場で5/14(日)まで開催されています。前回見そびれた方や、今回の「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展・痛(もうどく展2)」でより興味をもたれた方も、足をはこんでみてはいかがでしょうか。

フグはフグの仲間から毒をチャージしている
オーストラリアでは、毒ヒキガエルでツムツムする

image: ギズモード・ジャパン編集部, サンシャイン水族館(提供) / YouTube
source: サンシャイン水族館, Humboldt State University, Wikipedia
reference: Wikipedia 1, 2

(今井麻裕美)

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