SXSWから未来予測! アウトドアメディアはクラウドAIを駆使した「ターゲティング」の時代へ移行する

SXSWから未来予測! アウトドアメディアはクラウドAIを駆使した「ターゲティング」の時代へ移行する

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AIで屋外広告はもっと進化する。

テキサス州オースティンで毎年3月に開催される、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)。音楽・映画・テクノロジーを愛する人々が集まる、世界最大規模のイベントとして注目されています。

今年のSXSWにも多くの日本企業や団体が参加し、先進的な技術やサービスが数多く発表されました。なかでも、博報堂スダラボ、博報堂アイ・スタジオ、日本マイクロソフトの3社が連携して開発したFace Targeting AD(フェイスターゲティング・アド)」の体験ブースには、多くの来場者が集まっているようです。

スダラボといえば、田舎館村の田んぼアートを活用した「ネイチャーバーコード(ライスコード)」や、雪かきの運動量を可視化してゲーミフィケーションする 「DIG-LOG(ディグログ)」など、次世代型のクリエイティブアイデアを次々と実現させる自主開発型クリエイティブ・ラボ。

アウトドアメディア「Face Targeting AD」は、その第6弾プロトタイプです。

「ターゲティング広告」を可能にするミラー型アウトドアメディア

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アウトドアメディアとは、屋外・公共空間・交通機関などに設置されたポスターやデジタルサイネージのこと。これまでは、送り手側が用意した広告を不特定多数の人に向けて発信するため、必ずしも需要と供給が一致してはいませんでした。

そこでスダラボが考えたのは、鏡+顔認証+顔エフェクトを組み合わせた「ユーザーの顔を認識して最適化した広告を配信する」というアイデア。ミラー型サイネージをクラウドAIと組み合わせることで、ユーザーの年齢・性別・顔の特徴・表情などを瞬時に読み取り、最適な商品やサービスを表示するシステムを構築しました。

例えば、疲れている表情をした人には栄養ドリンクの広告を提示し、悲しそうな人には泣ける映画の動画広告というように、WEBでは当たり前となったターゲティング広告を屋外でも可能にしたのです。

ただし、それが消費者にとって不快なもの、UX(ユーザー・エクスペリエンス)を邪魔するものであっては意味がありません。スダラボの須田和博さんは、新たな施策に込められた価値をこのように説明します。

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Face Targeting ADの広告表現は、ユーザーがふと鏡で自分の顔を見ようとした瞬間に、その人の顔をモチーフとしたクリエイティブを表示します。顔認証でターゲティングされた、その広告に接することで、『ああ、ヒゲが目立つのか』とか『そういえば疲れた顔をしているかも』など、鏡と自分の関係をアップデートする “気づき”を提示します」(須田)

動画/静止画広告の表示だけでなく、鏡の中に映った自分の顔にメガネやシワを載せるインタラクティブな演出や、鏡を見る時の気持ちに訴えるコピーの開発など、ただ広告を表示するのではなく、ユーザーにどのような体験や気づきを与えられるかが、プランナーの腕の見せ所になるというわけです。

クラウドベースのAIがカギ

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こうした顔認証によるターゲティング広告を可能にした背景には、日本マイクロソフトのクラウドAIサービス「Microsoft Cognitive Services」の技術サポートが大きく貢献しています。

Face Targeting ADでは、広告の出し分けのすべてをMicrosoft Cognitive Servicesが担っています。システム開発を担当した博報堂アイ・スタジオの河津正和さんは「機械学習のコストをかけずにAI機能が使えるのは大きなメリット」であると、クラウドベースのAIが持つ可能性に注目。その一方で、クラウドならではの悩みもあったとか。

Microsoft Cognitive Servicesは、サーバーとサイネージがデータをやり取りする“通信レスポンス”の時間を考慮しなければなりません。ユーザーが入れ変わるたびに表示広告が変化するFace Targeting ADでは、解析時間を自然に待ってもらうために、内部処理の分散やローディング演出を入れるなどの工夫をすることで解決を図りました」(河津)

このあたりのUXをどれくらい向上させられるかが、開発の肝になってきそうですね。

未来のアウトドアメディアが、AIの普及を加速させる

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今回お披露目されたFace Targeting ADはプロトタイプながら、将来的にはかなりの可能性を秘めています。

タッチスクリーン機能を搭載すれば、ユーザーが直接アクションすることもできますし、サイネージに表示された広告から商品をその場で購入することだって可能。公衆トイレの鏡に導入されれば、そこでの広告収入で清掃費を賄うといった活用法も考えられます。

これらのシステムを支える核となる技術、それは紛れもなく「AI」です。スダラボの須田さんは、「先進技術が本当に普及するのは、生活者レベルで歓迎されるような“仕立て”になったとき」と語り、ユーザーとテクノロジーの接点を模索する広告の発想が、AIの普及に大いに貢献するだろうと予測。

大きくて目立つことだけが最優先された時代は、すでに過去のもの。

AIという新たなパワーを獲得したアウトドアメディアは、よりプライベートな体験をもたらす「ターゲティング広告」へとスイッチしていきそうです。

source: Face Targeting AD, Microsoft Cognitive Services

(稲崎吾郎)

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