SXSWに4年連続出展の「HACKist」が提唱した「味噌汁とプロトタイピング」にアメリカが熱くなった(味噌汁だけに)

SXSWに4年連続出展の「HACKist」が提唱した「味噌汁とプロトタイピング」にアメリカが熱くなった(味噌汁だけに)

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予想を上回る大熱狂であったようです。

先端テクノロジーと音楽の祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。世界中の企業がアイデアやテクノロジーを披露しに集まるこの大型イベントに、4年連続で出展している日本の企業があります。それが、博報堂アイ・スタジオ。これまでもギズモードでは出展の様子(20152016)をお伝えしてきました。

世界的にみても新しいプロダクトがどんどん披露されて注目されているSXSW。その中で博報堂アイ・スタジオのデジタルクリエイティブラボ「HACKist(ハックイスト)」に、大きな注目が集まっていました。

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彼らが行なったセミナー「Miso soup & Prototyping : The Future Of Advertising」(味噌汁とプロトタイピング:広告の未来)。ここでは、彼らが提唱する、プロトタイピングで社会の課題を解決し、ビジネスに繋げる「P2B(Prototype to Business)」という考えを、日本に馴染みのある発酵技術の発展に照らし合わせて発表しました。

「Miso soup(味噌汁)」というオリエンタルなキーワードと、そのアプローチ手法は話題となりセミナーは満員御礼! セミナーエリアのキャパシティを超える大盛況で、現地では「No.1の面白さだった!」といった声すら聞こえてきたようです。

では、「P2B(Prototype to Business)」とは具体的にどういった試みなのでしょうか? HACKistの斬新なアイデアから、社会の問題を解決するものまで、幅広い製品・サービスの前身(=プロトタイプ)がTrade Showで披露されました。その内容を紹介しましょう。

触った野菜が喋る!? みんなが喜ぶ謎テクノロジー

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今年のSXSWに展示されている「TALKINGPOP(トーキングポップ)」は、野菜が喋ります。繰り返します、野菜が、喋るのです。作り物ではなくリアルな野菜、それらに触れるとまるで意志を持ったかのように喋り始めるのです。

これは野菜を触ったときに人の体から流れる微弱な電流を感知し、それをスイッチに音声を流す仕組み。ですが、はて?一体何に使うんだろう…? そう思っても不思議ではない謎テクノロジーですが、大きな活用の場があるのです。たとえば、生産者の声を直接届けることができる点。

農家の方が事前に声を吹き込んでおけば、お客さんが野菜に触れると、野菜が分身となってアピールポイント、美味しく食べるための調理法を喋ってくれるのです。これまでだと店頭POPや写真で伝えるしかなかった生産者の思いをアピールすることが可能になります。

しかも、音声はスマホアプリで設定が可能なので、遠隔地からでも好きな言葉を野菜に喋らせることができます

第一弾は野菜をテーマにしているようですが、食に限らず多様なジャンルの展開も期待でき、ビジネスの可能性を感じる企画です。

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野菜に触れると喋りだすなんて、ちょっとギョッとしてしまいますが、「触る」そして「喋る」という直接的なコミュケーションは実に直感的です。テスト導入されていた大崎にある八百屋さん「旬八青果店」では、店員とお客さんとのコミュニケーションが増えたり、子供が喜んで野菜と触れ合ったりと、全体的にポジティブな意見が多かったようです。数値的にも、コミュニケーション機会や滞在時間が増え、販促ツールとして新たな可能性を感じさせる結果となりました。

進化を続け、実用化に乗り出す注目プロトタイプたち

この他にも博報堂アイ・スタジオHACKistはさまざまなプロトタイプ・アイデアを生み出しています。今回のSXSWで展示されているのが以下のプロトタイプです。

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TREK TRACK(トレックトラック)」は、山全体を監視できる新たなネットワークシステムです。登山者がIoTデバイスを持参することで、位置のログを残すことができ、山に設置された独自ネットワークシステムを介して、登山者の位置情報を収集。自宅に居る家族や山岳地帯の管理者がリアルタイムで位置を確認できるのです。

すでに多くの山岳関係者や自治体担当者の立会いのもと、夏山と冬山での実証実験をクリアしており、採用が決まっている市もあります。

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冬山での実証実験の様子

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これがスタートすれば、遭難者の早期発見が可能となり、遭難事故を減らすことが期待できます。登山やスキーなどのアクティビティはさらに安全になることでしょう。

今回のSXSWのブースでは、Trade Show会場となるコンベンションセンター近辺にゲートウェイを設置し、オースティンの街中を移動するメンバーの軌跡を提示しています。

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他にもこんなユニークな展示も。こちらのヒゲのようなアイテムを新たなインフラとして展開する構想の「Project JACH(プロジェクト ジャック)」。観光スポット、バス停、駅など様々な場所にあるデバイスのイヤホンジャックに接続するだけで、その場その場の情報が自動再生される訪日外国人に向けた観光情報の再生サービスです。街中に設置される他、ポータブル型モデルもデザインされています。2020年に向けて訪日外国人の増加が見込まれる中、ガイド不足が問題となっていますが、ひょっとしたらヒゲを付けた「紳士」たちの活躍で解決できるのかもしれませんね。

この他にも、ベビーカーをシェアするアイデアの「RePhub(リファーブ)」など、社会の課題をテクノロジーで解決しよう!というプロトタイプを出展しています。

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また、今回の出展の中で最もブースが盛り上がっていたのは、HoloLensを利用した体験型アトラクション「INVISIBLE FORCE」。仮想世界のモノと現実世界のモノが相互に影響を及ぼすMRプロダクトで、腕に貯めたパワーを打ち出して、対象の物体を攻撃すると、リアルにその対象物が破壊される!といったまるで超能力者やアニメのヒーローになったかのような体験を得られます。めっちゃ楽しそう!

HACKistは何を狙うのか? プロトタイプの現在形とは

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野菜が喋るユニークなプロダクトは、もともと食の問題として話題になっていた「風評被害の問題を解決できないか」というところからスタートしていて、社会問題を解決するというアプローチが根底にありました。彼らが見据えているのは、「テクノロジー活用と広告クリエイティブ発想でプロトタイピングを行ない、ビジネスに昇華させていくことで世界を拡張したり、社会や企業の課題を解決すること」だといいます。つまり、プロトタイプの次の一手として、ビジネスを生んでいく「P2B(Prototype to Business)」というアプローチなのです。さまざまなテクノロジーが進化し続ける今、この考え方がとても重要なのかもしれません。

今回展示のプロトタイプは、すでに実用化段階にあります。そして今回SXSWでセンセーショナルなデビューを果たそうとするものもあります。では、これらをSXSWで発表することにはどういった意味があるのでしょうか。そして現地での評判は? SXSWに居る博報堂アイ・スタジオのクリエイティブ・ディレクター望月さん、中島さんにお話をお伺いしました。

4年目の変化、日本ブースの反響は? SXSW現地での声をインタビュー

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──セミナーや展示プロダクトの現地での評判はどうでしょうか?

セミナーは、海外の出展者や来場者の方々も「P2B」という考え方に斬新さを感じられたようです。SXSWが開催されているオースティンでは、日本人に対してクールだったり、クリエイティブな印象を持っている方々も多いです。ただ、日本人はシャイなので主張は意外と多くない。そんな中で僕たちがセミナーで「P2B」という考え方を提案したのが心に刺さったみたいですね。「日本人ってイイカンジだな」と思われていた中で、「本当にやっている人たちが居た!」と、良い評価に繋がったのかもしれません。

また、現在、デジタル系の企業が面白いことをやって注目されていますが、アイ・スタジオもそういった文脈で捉えていただいたのだと思っています。

ブースは、やってみても楽しいし、見ていても楽しい! と話題になった「INVISIBLE FORCE」をはじめ、意外性のあるものや方向性の違うさまざまな展示がグラデーションのように存在していて、フォトジェニックだったと思います。

──日本の企業が出展している区画は「ホットロード」と呼ばれ、注目されていると聞きます。今年のホットロードはどんな印象を受け取りましたか?

置いているものも便利で使えそうなものから、「これどうするの?」といったクレイジーなものまでいくつかありましたね(笑)。

でも、今年は特に凄いのではないかと感じています。それこそ、人が通れなく溜まってしまうほど賑わっていて熱気が凄いです。もともと日本のブースの人気が凄い上に、自分たちを含め古参の参加者たちも進化を遂げてきて面白いものを展示しています。ものすごい勢いを感じましたし、もしかしたら日本のブースが一番面白いかもしれませんよ

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──数ある企業が出展している中で、博報堂アイ・スタジオはどんな違いを生み出しているのでしょうか?

ダイバーシティを作っていける集団であるということが、ひとつの特徴だと思っています。

SXSWの来場者は1つの枠に規定されずにさまざまな発信の中で、人に気づきを与える状況を作りたがっています。博報堂アイ・スタジオは、さまざまな多様性をプロトタイピングで作っているので、「どういう風に仕事を作っていくのか」というところから議論し、解決できる集団です。

クラアントとしてのパートナーになるケースもあれば、アライアンスとしてパートナーになってクライアントさんに向き合うケースもありえます。そういった関係を意識する中で、モノだけでなく、「多様性を持ったプロトタイピングで新しい仕事を一緒に作ろう!」という雰囲気とスキームを作れるのが博報堂アイ・スタジオだとおもいます。興味をもたれた方、ぜひお話をお待ちしています!

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スタートアップによるアイデアの披露の場というイメージがあるSXSWの中で社会に寄り添い、ビジネスも強く意識している博報堂アイ・スタジオHACKist。彼らの作り出すプロトタイプは、多くの人々の感覚を刺激し、実用化へと歩みを進めつつあります。

そう、目指すものは「P2B(Prototype to Business)」。

僕らが自然と触れているモノの裏には、HACKistたちの活躍が隠れていた! テクノロジー活用で変わるかもしれない未来。博報堂アイ・スタジオの新たな可能性に期待が高まります。

source: 博報堂アイ・スタジオ

(小暮ひさのり)

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