ゾウの自己認識能力がすごい! 新開発された能力テストにもすべらない~

ゾウの自己認識能力がすごい! 新開発された能力テストにもすべらない~

image: Josh Plotnik

すべらない話。

テストなんかで本当の頭の良さがわかってたまるか~!…と誰でも一度は思ったことがあるはず。テストを受けているのが動物だとしたら、なおさらです。

動物の知性を計ろうと、いままで人間はあらゆるテストをあらゆる動物に施してきました。その最たるものが「ミラーテスト」で、Science Dailyによれば、鏡を見た動物が自分の姿にどう反応するかによって、その動物が自己認識できるかどうかを調べられるそうです。鏡なんて見たこともない野生の動物は、まず鏡の中のもうひとりの自分を見て同類の他人だと思いこみ、なんらかの関係性を見出す行動をとるそうです。たとえば、オーストラリアイシチドリのようにガラスに移った姿をただじーーーっと見つめ続ける動物もいれば、サイドミラーにケンカを売る小鳥もいます。

20170425_humming_bird_jeep_r.jpg

なんだお前?ケンカ売ってんのか?
image: KAZLOVA IRYNA / Shutterstock

実は、動物の大半はこの段階でつまづいてしまうそうです。このミラーテストでは何段階かある規定の反応を全てクリアした動物だけが自己認識を持っていると確証されるそう。人間はあたりまえにできるかもしれないけど、動物にはかなりの難関試験で、いまのところの合格者はチンパンジーなどの類人猿(ゴリラだけなんと不合格)、ゾウイルカカササギ(!)のみだとか。

でも、はたしてミラーテストだけで動物の自己認識能力をちゃんと評価できているんでしょうか?

ケンブリッジ大学のJosh Plotnik教授もそう疑問に思ったひとりでした。そこで、研究を通じてゾウの保護と啓蒙活動を展開している自身のNGO団体「Think Elephants International」の共同研究者であるウィーン獣医大学のRachel Dale教授と組んで、まったく別のテストを編み出しました。

名付けて「Body-Awareness Test(体認識テスト)」。まずは、映像をご覧ください。

Scientific Reports掲載の研究によると、まず目立たない色のマットの先端にひもをとりつけ、ひもの先に短い棒を結びます。次にマットの手前に研究者が立ち、ゾウさんを呼び寄せます。するとゾウさんはマットに上に乗っかってくるので、研究者はすかさず棒きれを渡すように号令をかけます。すると…、マットは自分の重みで固定されているので、棒を渡すことができません。ゾウさんはこれを瞬時に理解して、自分からマット降りて棒を渡すことに成功します。これを12頭のアジアゾウにテストした結果、90%近い成功率だったそうです。すべりません。素晴らしい自己認識能力です。

そんなにすごいことに見えないかもしれません。では、この研究の元となったこちらの赤ちゃんの実験も併せてご覧ください。

月齢15ヵ月から18ヵ月のよちよち赤ちゃんにショッピングカートを押してもらい、同じことを試した前例です。赤ちゃんの月齢が上がるごとに、自分がマットに乗っかっているせいでショッピングカートが前に進まないことに気づきます。

人間月齢18ヵ月ほどで自己認識できるようになるといいます。自己認識とは、単純にいえば自分という存在を環境から切り離して考えられる能力。18ヵ月以上の赤ちゃんたちは「自分」を「他人」や「環境」から切り離してとらえることができるため、自分のせいでショッピングカートが進まないことを理解できるのだそうです。そして、自己認識できるようになってからはじめて他人と共感したり、独自の視点を持ったり、自分自身を客観的に見られたりと、高度な認知能力が備わると考えられています。

いままでのミラーテストにおいては、自己認識があるか、ないかの二択制でした。でも、今回ゾウさんの自己認識を研究したPlotnik教授は、自己認識の領域動物によって異なるのではないかと指摘しています。そして、動物が人間とは違う度合いや領域の自己認識能力を持っている場合、それを人間のやり方で計ろうとしてもなかなかうまくいかないのではないかと推察しています。

ミラーテストは視覚的な情報に頼る動物には有利ですが、ほかにも聴覚や、嗅覚や、科学的反応など異なる方法で身の回りの世界を認知している動物には難しいのかもしれません。Plotnik教授らが開発した「Body-Awareness Test(体認識テスト)」は、自己の体と環境との関係だけを見ているので、多種に及ぶ動物に適用可能かもしれないそうです。ミラーテストと平行して使えば、ミラーテストに合格した動物はもちろんのこと、合格しなかった動物も研究の余地が大いにありそうです。

それにしても、ゾウさんはミラーテスト、体認識テストのどちらも楽勝でしたね。もしかしたら人間が知らないだけで、実はゾウって人間よりスゴイ知性を持っていたら…なんて考えるだけでワクワクしますね。

サルが空気を読む能力は想定外に高度、他者の間違った思考までお察し
ゾウは賢いゾウ…驚くべき嗅覚と記憶力で地雷撤去に貢献?

image: Josh Plotnik, KAZLOVA IRYNA / Shutterstock
source: Scientific Reports, Science Daily, Cambridge University / YouTube, David Martin / YouTube
reference: Think Elephants International

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(山田ちとら)

    あわせて読みたい

    powered by