いつかやってくる世界的な感染爆発で生き残るには

いつかやってくる世界的な感染爆発で生き残るには

できれば考えたくないけれど、いつかは準備をしなければいけない不測の事態。

既存のバクテリアか、バイオテロ目的の新兵器か...いずれの発端でも起きうるパンデミック(感染爆発)もそのひとつです。

人類の歴史のなかで大流行した病原体を振り返ると、世界規模で大流行したインフルエンザは1918年に世界人口の3-5%にあたる5千万〜1億人の死者を出し、HIVウイルスは1980年代に7千万人の感染者、3千500万人の命を奪いました。

いまでは新種のウイルスSARS、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ、ジカのほか、遺伝子編集や遺伝子配列決定などテクノロジーによる最悪のシナリオも想定されています。ビル&メリンダ・ゲイツ財団によれば、この種のバイオテロリズムが起きると、1年で3千万人が死亡することが示唆されています。

さらに国境を越えて世界中で蔓延するウイルスは、温暖化、衛生悪化、都市化、世界中の長距離移動の増加などによって前例にないほど拡散する勢いを増しています。

そんななか、ただ暗い気持ちになっていてはいけません。自分自身だけでなく家族も含めて「不測の事態に何ができるか」、「いざというときにはどうすれば良いか」を考えるうえで、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)やアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)は次のようなことを推奨しています。

インフルエンザを例に、ウイルス感染を考える

将来どのようなかたちで病原体ウイルスの大流行が起きるか、正確に知ることは難しいですが、たとえばインフルエンザに似たものだと仮定して考えてみましょう。

蚊などによる媒介感染とは異なり、咳やくしゃみなどから空気感染するインフルエンザの場合、症状が現れる前の潜伏期間中でもウイルスは広まることや、多くの人に免疫や抵抗力がないことから感染率が高いとされています。

さらにインフルエンザウイルスは変異しやすく、鳥インフルエンザ(H7N9型)、H5N1型やH1N1型などの新型ウイルスは場合によって致死の可能性もあることで知られています。こうした病原体ウイルスは、世界規模で起きるパンデミックの予備軍であることを忘れてはいけません。

最悪の事態に備えること

生活に必要な消耗用品を備えておくことは、やはり重要です。

「何をどれくらい」といった細かい事情は人それぞれあるとして、参考までにFEMAは2週間分の水と食糧を備えておくことを推奨しています。ただし感染爆発が2週間で収まらない可能性を踏まえれば、4〜6週間、可能であればそれ以上蓄えておくのが理想です。もちろん、腐りやすいものや冷蔵品、加熱処理が必要なものは除くこと、水は飲料のほか食事の準備や衛生用に1人1日あたり約4リットルの水を用意しておくことが望ましいとされています。

公衆衛生の準備と対応を専門にするPublic Health Preparedness and Response(PHPR)所長のDr. Stephen Reddは米Gizmodoの取材に対して、ストックするアイテムには季節性を考慮して、コートや毛布などの防寒対策も重要であるほか、ラジオなどの電池や1ヶ月分の処方薬を準備することも勧めています。

FEMAは処方薬のほか、一般用医薬品や応急処置用品や痛み止め、胃腸薬、風邪薬などの医療用品も備えておくことや健康診断書、お薬手帳などの身許保証を取っておくことも推奨しています。

ただしSkoll Global Threatsの最高医学責任者で疫学者のMark Smolinskiさんは、インフルエンザの抗ウイルス剤を蓄えておこうと考える人に向けて、こうした薬は時間が経つに連れて効果がなくなることを喚起しています。

予期せぬことに向けて計画する

病院、銀行、郵便局、スーパーやコンビニ、交通インフラなど日常的なサービスが途絶える事態にも準備しておくべきだとCDCはいいます。

ATMが使えないときのために少額の現金を確保しておくこと、ガソリン不足やバス・電車が動かない事態を想定したり、学級閉鎖になった小さな子どもの面倒を見たりする際の計画を立てておくことは不可欠です。

また不測の事態に際して、SmolinskiさんとDr. Reddの両者がマスクを常備しておくことはグッドアイデアだといいます。また日常的に使用しているマスクよりも、N95マスクのほうが大気中の固体粒子を95%ブロックできるためより良いとのこと。

社会崩壊に注意

個人がどんなに気を配って対策をしたとしても、コミュニティが混乱することだってありえます。それは、ときに病気そのものよりも恐ろしいことだとSmolinskiさんは指摘します。

CDCのDr. Reddいわく、ウイルス感染の一般的な特徴は、誤った情報が一人歩きすること。特に最初の数日は受け取る情報の扱い方に注意が必要だそうです。

次に重要なのは、どんな行動をとるか。たとえば、人から人へ感染することのない炭疽菌汚染があったときは、その地域から物理的に距離を置くこと。感染する病気についても同様に、感染の仕方や症状を知って、学校や空港、病院など感染する疑いのある場所をできる限り避けるのが賢明です。

ウイルスの「拡散源」になるべからず

感染爆発が発生したときに重要なのはまず予防ですが、同じように考えなければならないのが、感染した事後にどうするか、ということ。

人から人へ、ウイルスが感染するときは特にごくわずかなマイノリティが感染源であることが多く、たとえばエボラはたったの3%の感染者が61%の発症に影響していたことが明らかになっています。もし自分が感染してしまったら、自主的に外部との接触を控えることは重要です。

さらに、家族が発症したときにも自発的に隔離することがCDCによって推奨されていています。「("自発的”というのは)すなわち、ぼくの妻が病気になったら、面倒を見ながら自宅待機して、他の人にまで感染を拡げないようにします」と、Dr. Reddはいいます。

身近なサバイバル策

ワクチンが完成(あるいは入手)する前にも、実践できる行動はいくつかあります。それは医療に限らず常識的なこととして、マスクをするだけでなく、くしゃみや咳をする際は手で覆って、無意識にウイルスを撒き散らさないこと。また、手洗いうがいをこまめにすることは自分だけでなく周りの人が感染するリスクを減らすことができます。

学級閉鎖や職場の在宅ルールの柔軟さ、スポーツ、コンサート、フェスティバルといった人が多く集まるイベントの中止や延期など、コミュニティレベルでできる身近なサバイバル策もあります。

病気の特性によって異なりますが、毎年冬に流行するインフルエンザのように連続的にやってくるものもあります。ワクチンの開発や医療の発展も期待できますが、その保証はどこにもないため自分自身にできることを実践することは、軽視できません。

こればかりは「備えあれば憂いなし」と言い切れるものでもありませんが、わかっているけれど…と、完全にoff guard(警戒を怠る)でいるのとでは、いざというときに違いが出るのは問うまでもないかもしれません。

「たとえば、コミュニティの半分が突然病気になったらどうするか?」など、不測の事態を想定した会話が大事だとSmolinskiさんはいいます。

世界の人口という視点で振り返る、人類の歴史

image: Andreas Prott / Shutterstock.com
source: CDC 1, 2, FEMA, Missouri Department of Health & Senior Services
reference: CDC, Business Insider, Nature Research

George Dvorsky - Gizmodo US [原文
(Rina Fukazu)

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